住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除、住宅ローン減税)の仕組みとは

住宅借入金等特別控除とは

住宅借入金等特別控除は、一般的に「住宅ローン控除」、「住宅ローン減税」と呼ばれます。

マイホーム取得のために住宅ローンを利用する際に、一定の要件を満たす場合に限り、年末時点のローン残高に応じて、所得税が控除される制度です。

これは所得控除ではなく税額控除で、計算された控除額が所得税から直接差し引かれます。

控除額は次の計算式で計算します。

毎年の控除額=年末の住宅ローン残高×控除率0.7%

控除期間は原則13年間です。(中古住宅などの一部条件では10年間の場合もあります。)

所得税から控除しきれない金額がある場合、一定の範囲内で住民税からも控除されます。(上限97,500円で条件により異なります。)

一定要件を満たす場合とは

主な適用要件は次になります。(2025年入居の場合)

・入居期限は2025年12月31日までに入居すること

現行の住宅ローン控除は、2025年末までの入居を対象としています。

つまり、2026年1月以降の入居の場合、現行のような制度の延長がない限り税制優遇を受けられません。

ただし、現時点では終了が確定しているわけではなく、2025年末までに公表される改正内容に注視する必要があります。

過去、住宅ローン控除は改正を重ねながら50年以上続いている制度で、2025年末で完全に終了する可能性は低いことが考えられます。

国としても「無理のない負担で居住ニーズに応じた住宅を確保することを促進する」ことを目的に設けている制度であることから、今後も安定した住宅市場を目指すことが伺えます。

国土交通省 住宅ローン減税

・所得条件は控除を受ける年の合計所得金額が2000万円以下であることです。

・床面積は取得した住宅の床面積が50平方メートル以上であり、その2分の1が自己の居住用であることです。

・返済期間は住宅ローンの返済期間が10年以上であることです。

・その他

□自己居住用の住宅であること

□生計を一にする親族など特別な関係からの取得でないこと

□贈与による取得でないこと

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また、控除の対象になる借入金には上限があります。

2024年以降に居住を開始した場合の主な借入限度額(新築・買取再販の場合)

住宅の種類 借入限度額 年間の最大控除額(0.7%乗算)
長期優良住宅・低炭素住宅 5,000万円 35万円
ZEN水準省エネ住宅 4,500万円 31.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 28万円
その他の住宅 3,000万円 21万円

住宅ローン控除の手続とは

給与所得以外の収入がない会社員が住宅ローン控除を受けるには、年末調整が必要になります。

年末調整で控除が受けられるのは住宅ローンを組んで入居した2年目以降からになります。

1年目はご自身で確定申告をしなければならないのです。

確定申告に必要な書類は次のようなものになります。

・確定申告書

・マイナンバーなどの本人確認ができる書類の写し

・給与所得の源泉徴収票

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

・住宅ローンの年末残高等証明書

・建物・土地の登記事項証明書

・土地・建物の売買契約書や建物の工事請負契約書の写し

2年目以降の住宅ローン控除手続

2年目以降に住宅ローン控除手続きを行う場合には次の書類が必要になります。

・年末調整の書類

・「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」

・住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書

国税庁 年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受ける方へ

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給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書は、初年度の確定申告後に税務署から控除対象となる年数分の書類が送付されてきます。

1枚につき1年分で控除期間13年の場合は2年目分以降の計12枚(12年分)が1回で送られてきます。

ですので、紛失には十分注意が必要です。

住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書は、毎年10月~11月頃に金融機関から届きます。

これらを年末調整の際にあわせて提出することになります。

住宅ローン控除と住宅取得資金の贈与

住宅取得資金の贈与を受けた場合には一定の範囲で非課税となります。

具体的には、親や祖父母などから住宅取得費用を贈与されたときに、最高1,000万円まで贈与税を非課税にできる制度になります。

この住宅取得資金の贈与と住宅ローン控除は併用できます。

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ただし、住宅取得資金の贈与の非課税を受けた部分は、住宅ローン控除を受けることはできません。

<例>

住宅取得価格:3,000万円

贈与を受けた住宅取得資金:500万円

住宅ローの残額:2,800万円

この場合、まず贈与額を住宅取得価格に充て、残りの部分を住宅ローンに充てます。

3,000万円-500万円=2,500万円

2,500万円-2,800万円=△300万円

つまり、住宅ローン300万円については住宅ローンの控除を受けることができません。

ですので、住宅資金贈与の非課税制度と住宅ローン控除を併用する場合には、贈与とローンのバランスを確認しておく必要がありそうですね。

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