公正証書遺言の遺言人と立会人と遺贈とは

公正証書の遺言人とは

公正証書遺言の遺言人とは、遺言書に自分の財産に関する最終的な意思表明をする人をいいます。

遺言人は公証役場で公証人の前に立ち会い、遺言内容を口頭で告げ、遺言人が内容を十分に理解し、意思に基づいて作成していることを公証人に確認してもらう必要があります。

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公証人は法律実務の経験のある準国家公務員なので、公証人に作成してもらう公正証書遺言は形式不備などで無効になるリスクが低く、原本を公証役場で保管してもらえるので紛失や偽造、変造などのリスクが低いといえます。

公正証書遺言の立会人とは

公正証書遺言の作成には立会人(証人)が2人必要で、立会人(証人)は遺言が間違いなく本人のものであること、遺言の内容が本人の意思をきちんと表していることの証明が必要なのです。

立会人(証人)になれない人とは(欠格者)

①未成年者

未成年者は遺言の内容をきちんと把握する能力がないとされているからです。

②推定される相続人、受遺者(財産をもらう人)、これらの配偶者および直系血族(祖父母、両親、子孫など)

遺言の立会人(証人)は、利害関係の無い第三者がなる必要があるからです。

③公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

公証人の不正を防ぐ目的で公証人と関係がある人は立会人(証人)にはなれません。

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立会人(証人)は遺言書を作成する当日に公証役場に行って立ち会う必要があり、本人確認書類と印鑑が必要です。

公証人が何らかの理由で出張して公正証書遺言を作成する時も立会人(証人)は立ち会う必要があります。

公正証書遺言作成の当日の流れ

①公証人が公正証書遺言の内容を読み上げる

公証人が遺言人本人から遺言内容を聞いて、用意している遺言書を遺言人、立会人(証人)2人の前で読み上げて、意思確認をします。

②間違いがなければ署名押印

読み上げた内容に間違いがなければ、遺言人と立会人(証人)2人、公証人が遺言書に署名押印します。

③完成した遺言書は公証役場で保管

原本は公証役場で保管され、遺言人には正本や謄本が交付されます。

公正証書遺言の遺贈とは

遺贈とは、遺言によって財産の全部また一部を他者に無償で譲ることをいいます。

これには遺言書が必須になります。

財産を受け取る受遺者は法定相続人である必要はなく、特定の個人、法人、団体を指定できます。

ただ、受遺者が法定相続人以外の場合には、相続税額が2割加算されることがあります。

遺贈は公正証書がおすすめ

公正証書は遺言が無効になる可能性が低く、遺言の原本が公証役場に保管されるため偽造や紛失のリスクがないからです。

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遺言書に法定相続人以外の相続財産を渡す場合には、必ず「遺贈する」と記載します。

遺言執行者を決めて、その旨も記載します。

遺言執行者とは、相続人全員の代理人となり、単独で相続手続きを行う義務や権限を持つ人のことをいいます。

この遺言執行者は遺言に記載することで指定することができます。

遺言執行者は受遺者へ財産を分配する際の手続をすべて行うことができます。

遺贈と死因贈与の違いとは

遺贈と死因贈与の違いは、「契約」か「一方的」かという点です。

遺贈は遺言者の単独の意思表示で成立する「一方的な行為」であり、死因贈与は贈与者と受贈者の双方の合意に基づく「契約」です。

つまり、死因贈与は財産を受け継ぐ人の承諾が必要ということです。

死因贈与は契約なので、財産を受け取る側が約束を破ることはなく、受け取った側は遺贈よりも受け取ることが確実とされています。

遺贈は、遺言書をいつでも撤回・変更できますが、死因贈与も原則として撤回できますが、負担付死因贈与の場合は受贈者が負担を履行すると撤回できなくなります。

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