債務者が行方不明・・・

債務者が行方不明・・・

債務者が行方不明になった場合、まず最後の住所地の住民票を取ってみます。

住民票が移転されていれば、転出先の現地調査を行います。

住民票を移転しないまま行方不明になったときは、近所の人や判明している親族、取引先に尋ねるなどの調査を行います。

それでも債務者が見つからない場合は、債権回収は難しいかもしれません。

例えば、稀に行方不明の債務者の財産などが見つかった場合には、最後の住所地の裁判所に対し訴訟を起こし、その裁判所に公示送達の申立をすることができます。

この場合、債権者は債務者の所在不明を証明することが必要になります。

通常、転居先不明で返送されてきた内容証明郵便や、現地の調査報告書などによって証明します。

裁判所は公示送達が相当であると判断すると、裁判所の掲示場に内容が記載された書面を掲示するとともに、この掲示のあったことを市町村役場の掲示板に掲示します。

その後、2週間が経過すると、意思表示が債務者に到達したことになります。

連帯保証人がいる場合は、連帯保証人から債権の回収を行います。

スポンサードリンク

債務者が死亡した場合・・・

債務者が死亡した場合は相続が発生し、債務者の除籍謄本その他の戸籍謄本を取寄せて、相続人の全員を把握します。

相続には、単純承認、限定承認、相続放棄があります。

単純承認は相続の原則形態のようなもので、債務は各相続人が法定相続分に従い分割して承継します。

単純承認の場合、相続発生後、資産があって実質的に債務者の後継者と目される相続人に全債務を引き受けてもらい、他の相続人にはこれを連帯保証してもらう方法があります。

これはあくまで相続人の同意がある場合です。

限定承認がなされると、被相続人の債務は相続財産からのみ支払われ、相続財産が全債務を支払うに足りない場合は、債権額の割合に応じて均等弁済されます。

限定承認は、全相続人が相続発生を知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てることになります。

限定承認を申し立てるときは、相続人は家庭裁判所に財産目録を提出しなければなりませんので、債権者としては、まずこの財産目録を閲覧謄写して、全部の債権の弁済を受けられるのか確認します。

家庭裁判所から相続財産管理人が選任されますので、指定された期間内に相続財産管理人に債権を届け出て、配当を受けることになります。

相続人の1人でも限定承認前に相続財産の一部を処分した場合は、相続人全員が単純承認をしたものとみなされます。

相続放棄がなされた場合は、相続放棄をした相続人は初めから相続人でなかったことになりますので、それ以外の相続人に請求することになります。

全相続人が相続放棄をした場合は、相続財産は法人を形成し、そこから均等弁済を受けることになります。

スポンサードリンク

債務者以外へ貸金請求・・・

連帯保証人になっていない限り、債務の履行を請求できるのは、債務者に対してだけです。

法律上、会社と社長は別個の人格ですから、会社の債務を社長に負わせることはできませんし、逆に、社長個人に対する貸付について会社に請求できません。

また、息子の債務について、親に対して何とかしてくれと交渉することはできますが、法律上、息子の債務を親に請求することはできません。

ですので、債務不履行が発生する前に、予め連帯保証人をとっておくことが大切なのです。

しかし、会社が債務を弁済できなくなった場合に、社長を含む取締役に対し損害賠償を請求しえる可能性はあります。

取締役対第三者責任を追及する方法です。

(役員等の第三者に対する損害賠償責任)
会社法第429条
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
一 取締役及び執行役 次に掲げる行為
イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録
ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
ハ 虚偽の登記
ニ 虚偽の公告(第440条第3項に規定する措置を含む。)
二  w:会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
三 監査役及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録
四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

取締役が取締役としての仕事をするにあたって悪意又は重大な過失があったときは、その取締役は、第三者が被った損害について賠償しなければなりません。

この責任を問うためには、取締役の任務違反行為、それについての悪意又は重過失、当方の損害の発生、取締役の任務違反行為と損害との間の相当因果関係が必要になります。

事例としては、明らかに会社が弁済することが極めて困難であるのに、多額の借財をし、又は物品を購入し、弁済ができなかったような場合です。

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする