妻の不注意の失火の夫婦の責任・・・
夫婦で借家に住んでいたのですが、妻の不注意から、借家を全焼させてしまったのですが、どのような責任を負わなければならないのでしょうか。
賃貸借契約の当事者である夫は、借家を家主に返還できないという債務不履行の責任が生じ、妻は損害賠償を負いません。
これは、借家人である夫は、借家を善良なる管理者の注意をもって保管しなければならない義務があるからです。
この注意義務は、夫だけに課せられたのではなく、妻にも同様に課せられ、夫が違反しなくても妻がこの注意義務に違反した場合、家主に責任を取るのは、契約者である夫なのです。
民法では、履行補助者の故意・過失といい、契約の当事者である夫は、常に責任を負わなければなりません。
(債務不履行による損害賠償)
民法第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
民法415条は、債務者自身の故意・過失だけでなく、信義則上これと同視すべきものとして、履行補助者の故意・過失が含まれます。
したがって、債務者は、履行補助者の過失に対しても債務不履行の責任を負うとされます。
この場合、失火責任法の適用はないとされ、もし、妻に重大な過失があった場合には、失火責任によって不法行為責任が生じます。
しかし、その責任は借家の所有者である家主に対して生じるのです。
この場合、家主は夫へ債務不履行責任、妻へ不法行為責任を請求できることになります。
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妻が交通事故で死亡の損害賠償・・・
専業主婦である妻が交通事故に遭ってしまい、死んでしまったのですが、相手の運転手にどのような請求ができるでしょうか。
自動車によって生命を奪われた場合、加害者には被害者自身である妻に対しての不法行為による損害賠償責任と、夫に対して妻を奪われたことによる精神的損害、及び手術やその他の財産的損害に対する賠償責任が生じます。
妻自身の賠償請求権は、夫やその他の相続人に相続されます。
夫は、妻自身と自分自身の2つの損害賠償請求ができます。
この場合、妻が専業主婦で無収入の場合、財産的損害があるかについて、裁判所は、家事労働ができなくなるのも財産上の損害であるとし、将来、生きていたら得られたであろう財産上の利益として、損害賠償の対象とされます。
妻の家事労働の評価について、判例は、女子の平均賃金で評価し、妻の財産的損害は、女子の平均賃金から生活費を引き、それに奥さんの平均余命をかけた金額ということのなります。
また、妻は自分が死亡したことに対する慰謝料の請求権をもつとされます。
夫は妻の相続人として、自分の相続分に従って、妻の財産的損害と慰謝料を請求できます。
治療費などを出費した場合は、本人あるいは夫の損害として賠償を請求できますし、妻を失ったことに対する慰謝料も、夫自身の損害として賠償を請求できます。
運転手に雇い主がいたり、運転手が他人の自動車を使用していた場合は、雇い主や自動車の持ち主に対しても、賠償請求できます。
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不貞行為の相手方の慰謝料・・・
夫婦はお互いに貞操を守る義務があり、夫婦の一方が他人と不貞行為を行うと、貞操義務に違反する違法な不法行為となります。
それは夫婦の離婚原因となり、不貞を働いた夫や妻に対し、離婚を請求するのことができます。
また、夫婦の一方と情交関係を結んだ者は、夫婦の残った方に対し、共同して不法行為をしたことになり、不法行為者として、損害賠償の義務が生じてきます。
この場合、その夫婦が不貞行為を理由に離婚したか、あるいは、それを許して結婚を続けているかに関係なく、損害賠償の義務があります。
これは、精神的苦痛による損害賠償となりますから、慰謝料です。
現在では、浮気した妻や夫に対しては、その不貞行為を許しながら、不貞行為の相手方に対してのみ損害賠償の責任を問うのは、相手方の方から誘惑したり、その貞操義務違反い積極的に加担したりした場合に限るべきであるとの学説があるようです。
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