全保連で家賃を滞納した場合には

全保連とは

全保連とは、家賃債務保証を中心とする事業を行う独立系企業です。

正式名称は「全保連株式会社」といい、三菱UFJニコスの連結子会社です。

この家賃保証債務保証事業とは、賃貸物件の入居者が家賃を滞納した場合、入居者に代わって物件のオーナーや管理会社に家賃を立て替えて支払うサービスを提供しています。

また、退去時の原状回復費用なども保証します。

全保連の仕組みとは

物件の賃貸借契約時に入居者の信用を審査し、審査に通ると家賃保証の契約を結びます。

その際に、入居者は初回保証委託料を支払います。

この保証委託料は契約が続く限り、年に1回更新料を支払うことになります。

初回保証委託料は、月額賃料の1か月分、最低保証委託料は3万円となっています。

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月額賃料の計算対象は、家賃、共益費、駐車場代などの月額賃料の合計額となります。

保証委託料はサービス利用料のため、退去時に返金されることはありません。

なぜ家賃保証システムを使うのか

入居者が連帯保証人を見つけにくい場合などがあります。

そのような場合に家賃保証会社が連帯保証人の代わりをしてくれるわけです。

高齢者や外国人でも連帯保証人がいなくても物件が借りやすくなります。

家賃の滞納が発生した場合には、家賃保証会社が立て替えて、家主に支払う仕組みなのです。

そして、入居者は立て替えてもらった家賃を後日支払うことになります。

家賃を滞納すると

家賃の支払い日が来て、数日経っても入金が確認できない場合には、管理会社から催促の電話がかかります。

この時点で支払いをすれば問題はないのですが、1カ月近く家賃を滞納すると全保連から代位弁済が行われることになります。

その後、全保連から督促の連絡が来ます。

それでも支払わない場合には、緊急連絡先、所属する会社などに電話がかかってきます。

また、連帯保証人への電話連絡や内容証明郵便で督促状を送付してきます。

3か月ぐらい滞納が続けば退去勧告を受けるケースが多いようです。

その場合には、「契約解除通知」が内容証明郵便で届き自主的に退去するか、退去しない場合には裁判所へ請求の申立てが行われます。

そうなると、強制執行手続きをされ、裁判所による強制退去になるという結果になります。

家賃滞納をした場合のリスク

全保連は信販系保証会社に分類され、クレジット会社や消費者金融と同じ分類になります。

各社で個人情報センターの情報を共有しているのです。

全保連で滞納すると金融事故を起こしたことになりえないのです。

ブラックリストに載るということなのです。

そうなると、クレジットカードやローンの審査に通りづらくなる可能性があります。

今後、信販系保証会社を利用する賃貸物件も借りづらくなります。

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また、訴訟になり敗訴すると、財産を差し押さえられることになります。

この場合、家財や給料などを押さえられることになります。

家賃を滞納した場合の対処法

家賃を滞納した場合には、管理会社や保証会社に誠実に連絡をとることが大切です。

今後の具体的な返済計画を伝えて、支払う意思をはっきりと伝えましょう。

裁判の手続やその他の督促手続きは労力を使いますので、応じてくれる可能性は十分にあります。

全保連の「賃貸借保証委託契約」の内容とは

全保連の「賃貸借保証委託契約」の内容には、契約時には保証業務の対価として初回保証委託料を支払うことが明記されています。

家賃を滞納した場合には、代位弁済した家賃の支払い請求だけでなく、「保証事務手数料」の支払い義務を明記しています。

この「保証事務手数料」とは何でしょうか。

消費者機構日本にきた苦情から

ある入居者が月5万円の家賃を数日遅延したときに、督促状に保証事務手数料2,970円(税込み)の支払い請求をされ、支払ったそうです。

家賃の遅延で延滞利息を計算しても1ヵ月で数百円で、この手数料を利率計算すると年利73%になります。

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遅延損害金の延滞利息14.6%の5倍以上なのです。

この保証事務手数料は実質的には延滞利息に当たらないか?が疑われるのです。

消費者機構日本は消費者契約法第41条に基づく差止請求書を送付(2025.7.15)しました。

是正措置がとられなかったようなので、東京地方裁判所に差止請求訴訟を起こしたようです。

消費者機構日本 差止訴訟

(書面による事前の請求)
第四十一条 適格消費者団体は、差止請求に係る訴えを提起しようとするときは、その訴えの被告となるべき者に対し、あらかじめ、請求の要旨及び紛争の要点その他の内閣府令で定める事項を記載した書面により差止請求をし、かつ、その到達した時から一週間を経過した後でなければ、その訴えを提起することができない。ただし、当該被告となるべき者がその差止請求を拒んだときは、この限りでない。
2 前項の請求は、その請求が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
3 前二項の規定は、差止請求に係る仮処分命令の申立てについて準用する。

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