取引停止処分の解除と取消し・・・

取引停止処分の解除と取消し・・・

取引停止処分を受けた会社のほとんどは倒産してしまいますが、稀に優良企業や投資家などの資金援助を受けて、回復する場合があります。

このような場合、処分を受けている振出人は取引停止処分の解除を求めることができます。

解除の手続は、その振出人の取引銀行を通じて行われ、この場合、振出人の陳述書、預金残高証明書、貸借対照表、取引停止処分解除請求書を手形交換所に提出します。

手形交換所は提出された書類をもとに審査し、取引停止処分の解除を認めてもよいと判断した場合に処分を解除し、各金融機関に連絡します。

例えば、手形の決済に利用している通帳を間違えたといった振出人の明らかなミスが原因となって取引停止処分を受けた場合にも、ミスが証明されれば処分が解除される場合があります。

また、処分を取消せる場合もあり、2号不渡事由が原因となって取引停止処分を受けた場合です。

手形の偽造や変造、紛失や盗難などが原因で不渡を出した結果、取引停止処分を受けた場合、振出人に支払義務がないことを証明できる資料を手形交換所に提出し、取消を求めることができます。

審査の結果、振出人に支払義務がないことが認められれば、処分は取消されます。

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不渡の異議申立手続・・・

手形が呈示されると支払銀行から手形の支払がなされ、手形の決済は終了しますが、事情によっては、振出人に支払を拒むことのできる正当な理由が存在することがあります。

呈示された手形が盗難や紛失によるものであったり、偽造や変造されたものである場合です。

手形を振り出した直接の受取人が呈示した場合の、その手形を振り出す原因となった売買契約において商品を受け取っていないような場合も振出人には支払を拒否する正当な理由があります。

しかし、2号不渡事由に該当する事情がある場合でも、放置しておくと、呈示された手形は不渡となり、不渡報告が出されます。

また、その後6ヶ月以内に新たな不渡を出すと、取引停止処分を受けてしまいます。

振出人は、この不渡の流れを止めなければならず、この場合の止める手続きとして、異議申立てがあります。

異議申立ては、支払を拒絶する正当の理由がある振出人が取引銀行を通じて手形交換所に申し立てることができるものです。

異議申立ては、手形が呈示された日の翌々取引日の営業時間内に行わなければなりません。

異議申立てを行う場合の手続は次のように行われます。

①支払義務のない手形が呈示されます。

②振出人が取引銀行に異議申立ての意思表示を行い、手形金を支払わない正当な理由を申立て、異議申立預託金を預けます。

③振出人の取引銀行は手形交換所に異議申立てを行うと同時に異議申立提供金を提出します。

④手形交換所は、提出された異議申立書を確認し、支払拒絶が妥当であると判断した場合には不渡報告への掲載や取引停止処分を行わないことにします。

振出人が取引銀行に預ける異議申立て預託金は、呈示された手形と同額の現金です。

振出人が取引銀行に預けた異議申立預託金は、取引銀行が手形交換所に異議申立書とともにそのまま提出され、このとき、この原因を異議申立提供金と呼ばれます。

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異議申立預託金の免除・・・

異議申立の正当な理由のない申立を排除するためには異議申立預託金は必要です。

逆に、手形が偽造されたり、変造された場合にまで、振出人が呈示された手形と同額の預託金を呈示日の翌々取引日の午後3時までに用意しなければならないというのは、振出人とって大変です。

このような場合には、異議申立をするときに証明書類を提出することで、預託金を提出することを免れることができます。

預託金を免除してもらうには、異議申立書とともに、次の書類を提出する必要があります。

①振出人等の陳述書

②当座勘定取引証明書(証明書に加えて3ヶ月程度の当座勘定取引明細書も必要な場合もあります。)

③届出印の写し

④偽造・変造された手形の写し

⑤告訴状の写しと告訴状受理証明書の写し(告訴状が必要とされなかった場合には被害届の写しと被害届受理証明書の写しでよい場合もあります。)

告訴状とは、捜査機関に対して、犯罪被害者本人が申告する書面をいいます。

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