相続の限定承認申述審判・・・
民法924条に基づく相続の限定承認申述の受理は、甲類審判事件です。
(限定承認の方式)
民法第924条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。
①申述権者
申述権者として相続人全員が共同して申述する必要があります。
(共同相続人の限定承認)
民法第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
相続人が数人ある場合の限定承認の申述は、そのうちの一部の相続人について所定の申述期間を経過した後も他の相続人の申述期間内であれば、なお共同相続人全員で限定承認をなし得るとした事例があります。
②管轄
相続開始地の家庭裁判所です。
③添付書類
相続人・被相続人の戸籍謄本
財産目録
④申述書の記載要件
相続人は限定承認をするには、申述書を作成して家庭裁判所に提出しなければなりません。
申述書には、申述者の氏名及び住所、被相続人の氏名及び最後の住所、被相続人との続柄、相続の開始があったことを知った年月日、相続の限定承認得する旨を記載し、申述者又は代理人がこれに署名押印します。
申述書には原則として本人又は代理人の自署を要します。
⑤財産目録の提出
相続人は限定承認をする場合、相続財産を調査し、作成した財産目録を申述書とともに家庭裁判所に提出します。
相続人の調査にもかかわらず、積極財産、消極財産ともに不明の場合は、限定承認申述書にその旨を付記すれば足りるとした事例があります。
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限定承認の相続財産 損害賠償請求権・・・
限定承認の場合において、相続財産たる土地について不法占拠による損害賠償請求権は相続開始の前後を問わず相続財産に含まれます。
(限定承認)
民法第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(共同相続人の限定承認)
民法第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(限定承認の方式)
民法第924条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。
(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
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限定承認の相続財産 生命保険金 ・・・
保険金受取人が第三者の場合、その者が死亡したときは、保険契約者は更に保険金受取人を指定することができます。
保険契約者がこの権利を行使しないで死亡したときは、保険金受取人となるべき者の相続人をもって保険金を受け取るべき者と定められています。
保険約款上、保険金の支払理由発生前に限り保険契約者又はその承継人が死亡保険金受取人を変更できることを前提として、「死亡保険金受取人の死亡時以後、死亡保険金受取人が変更されていないときは、死亡保険金受取人は、その死亡した死亡保険金受取人の死亡時の法定相続人に変更されたものとします」とある趣旨は、保険金受取人と指定された指定受取人の死亡後、保険金受取人の変更のないまま保険金の支払理由が発生して、その変更の余地がなくなった場合には、その当時において指定受取人の法定相続人又は順次の法定相続人で生存する者を保険金受取人とすることにあると解するのが相当であるして、保険契約者甲、指定受取人乙とする契約において、まず、乙が死亡してその法定相続人は甲、A、Bとしましたが、上告審ではA、Bとされているので、この場合は、甲の相続財産にはなりません。
(限定承認)
民法第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(共同相続人の限定承認)
民法第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(限定承認の方式)
民法第924条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。
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限定承認の相続財産 簡易生命保険金・・・
簡易生命保険の実務は、保険契約者である被相続人が指定した保険金受取人が死亡し、更に保険金受取人を指定しない場合、保険金請求権は相続財産に属せず、相続財産管理人は保険金請求権を有しないという立場で行なわれています。
受遺者の請求による場合のものですが、相続財産管理人による請求も簡易生命保険審査会によって棄却されています。
簡易生命保険たる養老保険契約において、保険契約者であり、かつ、被保険者兼保険金受取人である者が、生前に保険金受取人の指定変更手続を採ることなく死亡したときは、簡易生命保険法55条1項括弧書きの場合に該当し、同条1項2号により被保険者の遺族が保険金受取人となると解して、相続財産であることを前提とした受遺者の請求は棄却されています。
(無指定の場合の保険金受取人)
簡易生命保険法第55条 終身保険、定期保険、養老保険又は財形貯蓄保険の保険契約(特約に係る部分を除く。)においては、保険契約者が保険金受取人を指定しないとき(保険契約者の指定した保険金受取人が死亡し更に保険金受取人を指定しない場合を含む。)は、次の者を保険金受取人とする。
1.被保険者の死亡以外の事由により保険金を支払う場合にあつては、被保険者
2.被保険者の死亡により保険金を支払う場合にあつては、被保険者の遺族
2 前項第2号の遺族は、被保険者の配偶者(届出がなくても事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに被保険者の死亡当時被保険者の扶助によつて生計を維持していた者及び被保険者の生計を維持していた者とする。
3 胎児たる子又は孫は、前項の規定の適用については、既に生まれたものとみなす。
4 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは適用しない。
5 第2項に規定する遺族が数人あるときは、同項に掲げる順序により先順位にある者を保険金受取人とする。
6 遺族であつて故意に被保険者、先順位者又は同順位者たるべき者を殺したものは、保険金受取人となることができない。
簡易生命保険法55条の規定は、他人のためにする保険契約の場合であろうと、自己のためにする保険契約の場合であろうと等しく適用があると解されています。
(限定承認)
民法第922条 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
(共同相続人の限定承認)
民法第923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
(限定承認の方式)
民法第924条 相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。
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