請求の趣旨とは・・・
訴状には、「請求の趣旨」という欄を最初に書くことになっています。
この欄では、「被告は原告に金100万円を支払え」とか「被告は原告に****の家屋を明け渡せ」というように請求の結論を簡潔に明らかにします。
ここでは、結論だけを記載し、金100万の内容が貸金なのか売掛金なのか、などの内容は書きません。
その内容については、「請求の原因」で記載します。
訴訟では、原告は当然のこととして、まず請求とその根拠を言わなければなりません。
つまり、裁判所は原告が何を請求しているのかを明白にさせます。
次にその根拠となる言い分が正しいのか否か、そして根拠があるのかどうかを明らかにします。
これが訴訟という手続です。
まずは、請求が意味のある適法なものでなければならないのです。
請求する理由自体は理屈に合っていても、嘘であってはいけません。
主張事実が真実でなければなりません。
それには、裁判官を納得させるだけの証拠が必要なのです。
裁判には「請求の趣旨」として請求の結論のほかに、その理由が必要となり、さらに裏づけとなる証拠が必要になるのです。
「請求の趣旨」としては、「金100万円を支払え」と、結論そのものを明らかにするだけで、それが貸金であるとか売掛金であるとかの説明は一切つけません。
なぜ、100万円支払わなければならないかの理由は、その次に説明します。
それが「請求の原因」なのです。
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請求の原因とは・・・
訴状では、「請求の趣旨」の欄の次に「請求の原因」という欄をおいて、この欄で請求の理由を明らかにします。
請求の原因の中身は、主張なのです。
請求の原因には、請求を根拠付ける役割と、請求を特定する役割の2つがあります。
訴状には、よく訳のわからない内容の訴状があります。
長すぎるような訴状に多いようです。
このような場合には、「論旨不明につき請求を棄却する」と裁判所は棄却されるおそれがあります。
また言い分は明確でも、賭博の金を支払えなどの違法な理由は当然駄目です。
利息制限法違反も同じ事です。
また、損害賠償として、あの絵を引き渡せ、などというのも駄目で、損害賠償は金銭払いと決まっているのです。
そして、請求の原因が適法であれば、後は証拠になります。
ここで注意が必要なのは、請求の原因の記載でも、証拠とを一緒くたにしてしまうことなのです。
請求の原因と証拠は、別々にしなければなりません。
例えば、「原告は被告に貸金として金100万円を貸し付けた。その証拠にこの書面がある」ではなく、「原告は被告に金100万円を貸し付けた。」と証拠は書き込まないのである。
その理由を相手が認めれば、証拠は不用なのです。
認めなかったときに、初めて証拠が問題となり、書面のことを提示するのです。
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裁判所の弁論主義とは・・・
訴訟の主役は裁判所ではなく、原告と被告です。
裁判所では審判するだけなのです。
訴訟は当事者が主張したことだけに基づいて勝敗を決めるのです。
当事者の主張にないことを裁判官が勝手に取り上げて判決をしてはならないのです。
ですので、原告は訴状、被告は答弁書、その後はお互いに準備書面で主張を述べなければなりません。
述べなければ負けるのです。
例えば、貸金返還の訴訟で、被告がそのお金を返したということが証拠上は認められても、被告がその金を返したという主張をしない限り、これを判決の上で認めることはできないのです。
この制度を弁論主義といいます。
原告と被告は主張しあうのですが、その中で一方が相手の言い分を認めたら、その部分は争いのない事実として、裁判所もその通りに認定します。
主張の段階では、原告も被告も勝手に有利な言い分を言い、相手が認めた部分は争いのない事実として認定し、主張の食い違う部分のみについて証拠を持ち出して、どちらの主張が正しいのかを認定するのです。
相手の主張に反論するのであれば、自分の関与した事柄であれば「否認する」と述べ、自分の関与しない事柄であれば、「知らない」と述べます。
注意が必要なのは、相手の主張に反論せず、黙っていれば認めたことになるので、認めることができないことは必ず「否認する」とか「知らない」と述べなければならないのです。
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