手形の不渡りとは・・・

手形の不渡りとは・・・

◇手形の不渡りとは、手形交換所に支払いのため呈示したにもかかわらず、手形の振出人から支払いを受けることができないことをいいます。

不渡りには0号不渡り、1号不渡り、2号不渡りがあります。

①0号不渡り

形式不備、裁判所の保全命令等により交換が拒絶された場合

②1号不渡り

資金不足、取引なしという支払う人の信用に関する理由により交換が拒絶された場合

③2号不渡り

印鑑相違、契約不履行など信用に関しない理由により交換が拒絶された場合

手形の1号不渡り、2号不渡りが確定すると、支払銀行は不渡宣言を行い、その手形を取り立てに持ち出した持出銀行に返還します。

支払銀行は2通の不渡届を作成し、1通は持出銀行に送り、もう1通は手形交換所に提出します。

持出送付された不渡届も手形交換所に提出され、双方届出方式によって不渡りが確認されます。

不渡届が確認されると、手形交換所はこれを不渡報告に掲載し、交換参加銀行に通知します。

不渡手形は、手形交換所が不渡報告に掲載すると、取立委任者に返還されます。

第1回の不渡報告後、6ヶ月以内に2回目の不渡りを出すと、銀行協会は手形振出人に対して手形交換所の取引停止処分をし、以後2年間の銀行取引を停止します。

これが事実上の倒産になります。

不渡りになったとしても、所持人は時効期間である満期日から3年間は振出人に支払い請求ができます。

所持している手形が不渡りになったら、振出人、裏書人、保証人に対しての財産調査を行い、それらの財産を保全するために仮差押手続をする必要があります。

仮差押手続後は、債務名義を取得するために手形訴訟を提起する必要があります。

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手形のジャンプとは・・・

手形のジャンプとは、手形振出人が期日に決済できず、所持人に対して期日の延期を依頼するために、新たに先の期日に手形を交付することです。

ジャンプに応じたとき、所持人が従前の手形を振出人に返還すると裏書人に対する権利を失います。

返還しても裏書人に権利を行使することが出来るようにするためには、一旦期日に呈示することが必要になります。

従前の手形を一度取り立てに出し、遡及権行使の要件である「有効な呈示があった」ことにしなければなりません。

その後に取立てを撤回する依頼返却を申出るという手続を踏むと、裏書人に対する権利を失いません。

ジャンプを依頼されたときは、条件として、担保提供や公正証書作成をすることが保全につながります。

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融通手形とは・・・

手形の発行には原因となる法律行為があります。

原因となる売買があり、売買代金の決済として手形が交付されます。

融通手形とは、売買などの原因関係がないのに手形が交付されるものをいいます。

融通手形が発行されるのは、受け取った人がこれを割り引くことにより、資金を調達するためです。

融通手形を発行する場合には、その手形を満期までに受取人が振出人に手形額面を返還するという約束になっています。

しかし、受取人が満期日までに手形金を用意することができない場合が多々あります。

また、銀行も融通手形であることが判明した場合には、割引に応じてくれません。

<融通手形と疑わしい場合>

①手形金額が切りの良い金額、あるいは不自然な端数の手形

②振出人と受取人の取引関係からみて不自然に金額の多い手形

③手形金額のインクと他の記載事項のインクが違う

④振り出した会社が通常決済日としている日以外の日が決済日

⑤振出人が日常取引のない金融機関発行の手形

⑥手形を受け取るたびに期日が少しずつ延びている

⑦振出人と第一裏書人の印影の朱肉が一緒

⑧振出人と裏書人がまったく異業種であるなど、取引関係が不自然

⑨仲間同士間の手形である

⑩仕入先からの手形であるなど

⑪親会社と子会社など関連先の手形

⑫不況業種とされる企業の振り出した手形

⑬土地代金と称した手形

⑭会社の規模からみて不自然に手形が出回っている

⑮季節的に暇な時期に金額の大きな手形

⑯業種柄小口販売なのに、金額の大きな手形

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手形・小切手の紛失と盗難・・・

手形・小切手を紛失したり、盗まれた場合、手形を善意取得する人が現れる可能性があります。

そんな場合に、手形・小切手を紛失したり、盗まれた人がその手形を現在所持する人がいれば、その人に一定の期間内に権利の届出を求め、もし届出が無かったときは、裁判所の決定によって手形を無効にする手続きがあります。

この手続きを公示催告手続きといい、その裁判所の決定を除権決定といいます。

公示催告手続きは、簡易裁判所が2ヶ月以上の公示催告期間内に権利を届け出るよう催告し、その期間内に権利届出がなければ手形等の無効宣言をする公示催告の公告を掲示板に掲示し、かつ官報に掲載して行われます。

公示催告期間内に権利の届出者がいない場合には、申し立てられた手形の権利を失わせる除権決定がなされることになります。

除権決定後は、手形が無効になっているので、第三者は善意取得できなくなります。

除権決定前に、手形を善意取得した人は、除権決定によっても権利を失うことはありません。

<公示催告手続きの流れ>

公示催告の申立(管轄は簡易裁判所)

↓→却下決定(申立の費用を納めない、理由がない)→即時抗告

公示催告手続開始の決定

公示催告の公告→公示催告手続終了の決定(申立が不適当、理由がない)

↓→公示催告期間2ヶ月以上→申立人の権利を争う申述→審理

↓→権利の届出あり→審理

権利の届出の終期

権利の届出なし→審理

除権決定

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