抵当権・根抵当権の設定をする・・・

抵当権・根抵当権の設定をする・・・

◇抵当権設定

担保権は、担保される債権が成立していなかったり、時効により消滅してしまった場合は原則として無効になります。

これを附従性といいます。

保証にも附従性があります。

不動産に関する抵当権、質権その他の担保権は、登記、占有など公示方法を備えなければ第三者にその担保権の権利者であることを主張できません。

このような登記・占有を備えることを「対抗要件を具備する」といいます。

抵当権も抵当権設定契約により発生しますが、不動産の所有権者が時を前後して2人の人と抵当権契約を締結した場合は、共に抵当権を有効に取得したことになります。

2人の間では先に抵当権の設定を登記をした人が先順位の抵当権者となります。

有効な権利を有する当事者間で、決着をつける機能を対抗要件といいます。

対抗要件を取得できなかった抵当権者は、所有権者に損害賠償請求をしたり、担保提供義務の不履行により、貸金契約の期限の到来を理由に、直ちに貸金返還請求をすることができます。

<登記申請手続の必要書類>

①申請情報を記載した書面

②登記義務者の登記識別情報または登記済証

③法人の場合、資格証明書

④代理人の場合、委任状

⑤登記原因証明情報

⑥作成後3か月以内の印鑑証明

◇根抵当権設定

根抵当権設定登記における必要的記載事項は、担保すべき債権の範囲、極度額、債務者です。

任意的記載事項は、根抵当権の効力が不動産の付加物に及ばない旨の定めと、担保すべき元本の確定すべき期日の定めについてです。

根抵当権は一定の範囲に属する不特定の債権を極度額の限度において保全する担保権ですが、担保すべき債権の範囲が「一定の範囲に属する債権」となります。

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保証契約とは・・・

◇保証契約

保証契約は書面でしなければ、無効になります。

取締役会のある株式会社を保証人とする場合は、保証人となる会社の取締役会決議で保証人になることを承認する議事録が必要です。

債権者が債務者である取締役の会社から保証をもらう場合、その会社の株主総会または取締役会において、会社がその取締役の債務の保証をすることを承認した旨の記載がある議事録のコピーを、保証契約書に添付してもらうことが必要です。

◇根保証契約

根保証契約とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約をいいます。

このうち限度額、保証期間の定めがないものを特に包括根保証といいます。

通常の保証であれば、保証人が死亡した場合でも、その保証契約は相続人に承継されますが、この包括根保証は相続しません。

保証契約は債権者と保証人との間で合意解約する以外に消滅させることはできませんが、この包括根保証契約は、期間の定めがない場合は、保証人の方から一方的に相当期間経過後、将来に向かって解約できるとされています。

これを任意解約権といいます。

相当の期間が経過していなくても債務者の資産状態が急激に悪化したときは解約できます。

これを特別解約権といいます。

保証責任は、相当と認められる金額まで制限されます。

◇貸金等根保証契約

法人以外のものが保証人になる根保証契約のうち、その債務の範囲に金銭の貸し渡しまたは手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれる貸金等根保証契約については、保証される債務の範囲を定めた極度額および元本確定期日の定めは、書面に記載しなければ効力が生じません。

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継続的商品取引契約とは・・・

商取引における契約といえば継続的商品取引契約と特約店(代理店)契約が主です。

継続的商品取引とは、メーカーと卸売商、一次卸売商、卸売商と小売商との間で行われているような継続的、長期的、反復的な売買をいいます。

継続的商品売買契約書においては、下記を定めます。

・個別契約における商品取引の範囲、個別契約成立、代金決済の条件

・契約有効期間、更新条件、解約の申し入れ、契約条件の変更に関する条件

・取引限度額の設定、オーバーした場合の担保措置についての約定

・販売地域、他社競合商品の取扱、再販売価格協定など

また、下記の点に注意します。

①出荷制限・出荷停止の条項を設ける

「甲は市場の景況、販売状況その他甲の裁量により出荷の増減または停止など適宜の措置をとることができ、乙はこれに異議を述べない」

②取引条件などは別の明細にする

契約書に記載すると経済状況の変化に対応できなくなったり、その度に契約書を改訂しなければならないなどの不便が生じます。

③注文方法を特約しておく

商人が継続的取引で、契約の申込みを受けたときに、遅滞なく諾否の通知をしないと申込みを承諾したことになります。

このような申込みの擬制を避けるため、注文方法を書面に限るとか、注文を受けた後、3日以内に何らの通知をしないときは注文はその効力を失う、というような規定を設けておきます。

④代金の支払方法

締め日、支払日を決め、その支払方法として、手形のサイトを定め、振出手形か受取人の承認する回し手形かを約定しておきます。

⑤相殺予約条項を入れておく

「甲は乙に対して債務を負担するときは、甲の乙に対する債権が弁済期前であっても、甲はこれをもっていつでも相殺することができる」

⑥いつでも契約を解約できる

解除事由を広く、催告無しの解除を可能にしておきます。

⑦法定損害金より多額の損害金を取れるようにしておきます。

⑧担保のための根抵当権を設定します。

⑨保証人は限定根保証とします。

⑩契約期間はなるべく柔軟に定める

自動更新などにします。

連帯保証人は最初の契約が終了すると、保証契約も終了してしまうからです。

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特約店(代理店)契約とは・・・

継続的商品取引契約の典型としての特約店(代理店)契約があります。

特約店とは、メーカーや卸売業者などの供給者から、継続的にその供給者の商品を自己の名前と計算で買い入れて、販売にあたる流通業者をいいます。

このような供給者と特約店契約については、下記の取り決めが必要です。

①取引条件

②支払い条件、担保

③約束違反の措置

・期限の利益喪失

・遅延損害金

・保証人の責任

・担保権の実行

・代物弁済

・損害賠償

・取引停止

・在庫品、帳簿の調査の受け入れ

④契約の有効期間

⑤約定解除事由

⑥営業機密漏洩禁止

また、さらに下記の点にも注意が必要です。

①販売地域について

独占的、排他的かどうか。

メーカーは他に代理店を設定できるか。

地域の変更ができるか。

②商品の変更の禁止を定めます。

③再販売方式と委託販売方式の区別と販売手数料の率、支払方法を明示しておきます。

④保証金やリベートを明確にしておきます。

⑤契約上発生する債権の無断譲渡、質入れ禁止の条項を定める。

相殺の制限になります。

⑥再販売価格の維持について独占禁止法に注意します。

委託販売方式の場合はメーカーは価格指示ができます。

再販売方式の場合は、医療品と一部の化粧品を除いて価格の支持はできません。

「乙は甲の指示する価格を独占法規に違反しない限りにおいて遵守する」

⑦契約が終了した後のことを定めておきます。

「・・・以後、甲の社名、商標その他一切使用しないものとする」