国際結婚の法的効力・・・

国際結婚の法的効力・・・

日本人同士なら当事者である2人が日本の法律によって届出を出せば法的な効力を持つ結婚と認められますが、国際結婚は、2つの異なった国の法律や制度をクリアしなくては、両方の国で法的に認められた結婚とはなりません。

国際結婚が関係諸国すべてで法的に認められるためには、各国がそれぞれに定めた国際私法にのっとった手続きが必要です。

国際私法とは、国際的な要素を含んだ事柄にどの国の法律で対応するかを定めている法律のことで、日本では「法の適用に関する通則法」をいいます。

国際結婚の成立、解消ばかりでなく、親子関係や夫婦の財産、養子縁組のことなど、この法律が適用されます。

結婚を成立させるための手続きは国によって様々です。

役所が認めることで成立する結婚を民事婚、宗教儀式が公的な結婚となるものを宗教婚といい、両方を法的に効力があると認めている国もあります。

民事婚とは、役所が認めることで結婚が成立するものです。

民事婚のなかでも日本のように結婚の届出が役所で受理されることで成立する婚姻を届出婚と呼び、ほかに儀式が必要な儀式婚、在外公館で式を挙げる外交婚があります。

儀式婚はアメリカ、フランス、イタリアなどで採用されており、役所で結婚の誓約をし、サインをするといった儀式を行うことで婚姻が認められるものです。

国によっては、重婚を防ぐ目的で、婚姻の前に役所の決められた場所に2人の名前を一定期間公示する制度があります。

外交婚とは、2人がいる国にある相手の国の大使館で儀式婚を挙げて結婚することをいいます。

日本の届出婚では外国人と結婚する場合、相手が結婚に必要な条件を満たしていることを証明する婚姻要件具備証明書が必要なので、その種の証明書を発行してもらうためにまず外交婚を挙げるのです。

宗教婚とは、結婚相手の宗教がカトリック、ロシア正教、イスラム教などの場合、教会や寺院で宗教儀式を行なわなくてはならず、これによって結婚することをいいます。

宗教婚を法的に効力がある正式な結婚とし、民事婚と宗教婚の両方を認める国もあります。

国や地域によって宗教婚のみを正式な結婚とみなす場合もあります。

スポンサードリンク

外国の婚姻制度・・・

アメリカでは、最初に役所で結婚許可であるマリッジライセンスを取得し、その後結婚式を行い、結婚式の司会者の署名をライセンスに記載したのち、役所にこれを提出して婚姻を登録します。

フランスで有効な結婚は、役所において行なわれる儀式婚のみです。

ギリシャでは、民事婚を認めていますが、ギリシャ正教で宗教婚を挙げる人が多いようです。

イランでは、イラン人男性が異教徒の女性と結婚することは許されていますが、イラン人女性が異教徒の男性と結婚することはできません。

結婚や離婚の登録は、町や村にある民間の登録所が政府の許可を受けて事業として行なっています。

結婚もイスラム教の教えに基づく規律に従わなくてはなりません。

フィリピンでは、結婚を正式に執り行える人として判事、教会の権威者のほかに、艦長、軍事司令官、領事、市長などが定められています。

届出婚又は儀式婚を認める国 日本、オランダ、スイス、ドイツ、フランス、イタリア、ロシア、ルーマニアなど
宗教婚、届出婚両方を認める国 オーストラリア、スウェーデン、デンマーク、ブラジル、ギリシャ、フィリピン、インドなど
宗教婚、儀式婚両方を認める国 イギリス、オーストラリア、カナダなど
宗教婚のみ認める国 カトリック、ギリシャ正教、ロシア正教などキリスト教を国教とする国、そのほかイランなどイスラム教諸国

スポンサードリンク

国際結婚の要件・・・

結婚には、実質的要件があり、これは結婚する2人が婚姻を成立させるために満たしていなければならない条件のことです。

日本人同士なら日本の民法によりますが、外国人と結婚する場合は国よって婚姻の要件が違うため、本人だけが自国の要件を満たしていればいいとされる一方的要件と本人も相手も満たしていなければならない双方的要件の2種類の要件を満たす必要があります。

日本の通則法で定められている一方的要件の主なものは、結婚可能年齢を満たしていることです。

双方的要件には、配偶者がいないこと、再婚禁止期間を経過していること、近親婚でないことなどがあります。

日本人の婚姻の実質的要件は次になります。

①一方的要件

男性18歳以上、女性16歳以上であること。

未成年者は、父又は母の同意を得ること。

②双方的要件

配偶者がないこと。

再婚の女性は前婚の解消、又は取り消しより6ヶ月を経過していること。

3親等以内の近親婚でないこと。

直系姻族間の婚姻でないこと。

養親子関係間の婚姻でないこと

外国の婚姻要件は次になります。

婚姻可能年齢

アメリカ 州法により婚姻可能年齢は違うが、男性21歳以上、女性18歳以上、ただし両親の同意があれば男性18歳以上、女性16歳以上
イギリス、オーストラリア 男女とも18歳、両親の同意があれば16歳
ドイツ、イタリア、韓国、イラン 男女とも18歳
中国 男性22歳、女性20歳
フィリピン 男女とも18歳、25歳以下は両親の同意書か承諾書が必要

再婚禁止期間

中国 なし
パキスタン 女性のみ3ヶ月
韓国 女性のみ6ヶ月
メキシコ 女性のみ300日
ドイツ 女性のみ10ヶ月
タイ 女性のみ310日
アメリカ 州ごとに違う

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする