調停離婚と審判離婚とは・・・

調停離婚と審判離婚とは・・・

調停離婚とは、家庭裁判所で話し合うことによって、離婚とそれに伴う条件を決める方法です。

日本では、離婚等の人事に関する紛争は、訴訟を提起する前に家庭裁判所の調停を申立てをしなければならないと規定されています。

これを調停前置主義といいます。

これは、夫婦を含む親族間の紛争は公開の法廷で争わせることは必ずしも道義上好ましくない、人間関係の調整を要することが多い、紛争解決後も当事者間の身分関係が継続する場合が多い、などの理由から協議による自主的な解決が望ましいと考えられ、まずは調停手続きで解決させようというものです。

家庭裁判所では、離婚の調停申立がされたからといって、最初から離婚の条件を話し合うのではなく、裁判所では、事件名を「夫婦関係調整」とし、婚姻関係の円満調整ができない事案かをさぐり、必要な助言、調整を行なっていきます。

家庭裁判所の調停委員と裁判官とが調停委員会を構成し、双方の意思の合致が得られるよう調整していきます。

調停委員は自己の考えを押し付けることなく、当事者の自主的な解決を手助けしていき、必要があれば、家庭裁判所の調査官に部分的に調査を命じて意見を聴いたり、調整したりしてできるだけ後日にしこりを残さない方法を探っていきます。

家庭裁判所の調停で合意できず、家事調停委員の意見を聴き、職権で一切の事情をみて離婚するのが相当であると認められる場合に当事者双方の申立ての趣旨に反しない限度で審判によって離婚を認めます。

当事者は、審判書謄本を受領した日から2週間異議申立てができ、異議が出されると失効します。

スポンサードリンク

離婚調停の手続き・・・

家庭裁判所は、調停委員を選任し、調停期日を指定します。

家事審判官と調停委員とで調停委員会を組織し、当事者の主張を聴きます。

場合によっては、職権で調査等を行ないます。

調停期日では、当事者が離婚を申立てをしていても、まず、円満に同居していく手立てはないのか探ることになります。

双方が離婚に同意していたり、一方が絶対に離婚しかないというような意思表示をしていて相手方も仕方なく離婚でもよいということになった場合には、離婚についての条件を決めていきます。

その結果、当事者が合意に達するとその内容を調停調書に記載します。

調停調書に記載された内容は確定判決と同一の効力を有します。

当事者間に合意する見込がない場合や成立した合意が相当と認められない場合で、家庭裁判所が審判をしない場合には、調停が成立しないものとして調停事件を終了させることができます。

スポンサードリンク

離婚調停成立後の戸籍・・・

調停離婚が成立したり、審判が確定すると、それは確定判決と同一の効力を有するが、戸籍の届出はしなければなりません。

訴訟において判決が確定した場合も同じです。

届出義務者は、申立人で、申立人が届け出ることができない場合には、相手方が届け出ます。

実務では、婚姻時に姓を改めた方が届け出る場合が多く、それは、新戸籍を作成するか、婚姻前の戸籍に戻るかの選択があるからです。

届出期間は、調停成立の日又は審判確定の日から10日以内です。

届出は、夫婦の本籍地の役場又は住所地の役場です。

離婚届出をすると、婚姻時に姓を改めた方は、原則婚姻前の戸籍に戻ります。

届出義務者が婚姻時に姓を改めたのであれば、届出時に新たな戸籍を作ることもできます。

新たな戸籍を作る場合には、婚姻時の姓をそのまま名乗るか旧姓に戻るかを選択できます。

旧姓に戻った後3ヶ月以内であれば、届出によって婚姻時の姓に変更することができます。

ただし、婚姻時の姓を名乗る届出をしますと、後で旧姓に戻す場合には家庭裁判所の許可が必要となります。

婚姻時に姓を改めた者が未成年者の親権者となっても、届出と同時に未成年者の戸籍が親権者の戸籍に移動することはありません。

子の氏の変更の許可を家庭裁判所に求め、許可されその謄本と役場に届出してはじめて一緒の戸籍となります。

法律上は、親権者の戸籍に必ず入れなくてはならないということはないのです。

スポンサードリンク

離婚調停成立後の家庭裁判所・・・

裁判所書記官は、離婚調停が成立した場合や離婚の審判が確定した場合には、遅滞なく、その夫婦の本籍地の戸籍事務管掌者に通知しなくてはなりません。

家庭裁判所は、事件関係人の申請を相当と認めるときには、裁判所書記官に記録の正本、謄本、事件の証明書交付させることができます。

当事者が調停調書の謄本、正本等の交付を申請した場合には、裁判所書記官はそれらを交付します。

家庭裁判所では、調停や審判で定められた義務の履行を確保する方法として、強制執行とは別に次のような方法が定められています。

①履行勧告

家庭裁判所は、権利者から申出があると、調停や審判で定められた義務の履行状況を調査し、義務者に対して、その履行を促します。

権利者からの申出は、書面でもよいし、電話でもよいとされます。

義務内容は、金銭等の支払だけでなく、子の面接交渉をさせてもらえないというような場合でも可能です。

②履行命令

家庭裁判所は、調停や審判で定められた金銭その他の財産上の給付を目的とした義務を怠った者がある場合には、権利者の申立てにより、義務者に対し、相当な期限を定めてその義務の履行をすべきことを命じ、これに従わないときは10万円以下の過料に処されます。

③寄託

調停や審判で定められた金銭の支払を目的とする義務の履行について、義務者から申出があるときは、権利者のために家庭裁判所が義務者から金銭を預かります。

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする