兄姉は直系尊属なのか・・・
直系尊属とは、自分より目上の人とのことですが、兄は直系尊属なのでしょうか?
兄は、直系尊属ではありません。
親族には、直系と傍系があります。
直系とは、直系血族のことで、自分を中心として、上下の関係、上は父母、祖父母、曾祖父母など、下は子、孫などをいいます。
兄弟姉妹は、直系ではなく、傍系になります。
尊属については、親族には、尊属と卑属があります。
尊属とは、自分より目上の親族で、これに対して、卑属は自分より目下の親族です。
自分を中心とした親族関係の上下をいいます。
兄は自分より目上ですが、法律上は、自分と同格とみなし、尊属でも卑属でもない二親等としています。
(親族の範囲)
民法第725条 次に掲げる者は、親族とする。
1.6親等内の血族
2.配偶者
3.3親等内の姻族
(親等の計算)
民法第726条 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。
2 傍系親族の親等を定めるには、その1人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の1人に下るまでの世代数による。
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ヤクザの兄と縁を切る・・・
兄は、中学からグレてしまい、父から勘当されて、今ではヤクザの幹部です。
兄は、妹の家に来るのですが、その容姿から夫や近所の人たちが嫌がります。
兄と縁を切る方法はあるのでしょうか?
親族関係のうち、法定血族関係である養親子の場合は、養子を離縁すれば、養子との縁、つまり親族関係は一切切れて、消滅します。
しかし、親族関係のうち、血がつながっている自然血族関係は、死亡による以外、消滅することはありません。
たとえ、勘当したとしても、血のつながりを消すことはできません。
兄との縁を切り、親族関係から除外することは、法律上できません。
(親族の範囲)
民法第725条 次に掲げる者は、親族とする。
1.6親等内の血族
2.配偶者
3.3親等内の姻族
(親等の計算)
民法第726条 親等は、親族間の世代数を数えて、これを定める。
2 傍系親族の親等を定めるには、その1人又はその配偶者から同一の祖先にさかのぼり、その祖先から他の1人に下るまでの世代数による。
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先妻の子の後妻への扶養義務・・・
後妻に入った当時、幼い2人の先妻の子がおり、この子達は、今結婚をしており、独立しておりますが、それまで実母同様にかわいがり、育てました。
現在、夫に先立たれ、その上、病弱で経済的に生活できない状態にあります。
2人の子に扶養してもらえないでしょうか?
扶養義務者は、原則として、直系血族と兄弟姉妹です。
(扶養義務者)
民法第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
後妻は、2人の子供たちと姻族関係にありますから、扶養権利者になりえません。
しかし、特別の事情があるときは、家庭裁判所の調停又は審判によって、その2人の子供が扶養義務を負わされることもあります。
後妻が、2人の子供を小さいときから苦労して育てたことは、この特別の事情にあたります。
2人の子供は、後妻を扶養する義務があるといえます。
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妹の子の扶養義務・・・
妹夫婦が家族でドライブ旅行に行き、交通事故に会い、亡くなり、2人の幼い子が残されました。
今のところ面倒を見ているのですが、兄と姉夫婦がおり、世話をするのは嫌だと言っています。
妹夫婦の残された子は、伯母と甥、姪の関係で、三親等の傍系血族関係です。
2人の子の扶養義務者は、子の直系血族である祖父母である両親になります。
しかし、両親がいない場合には、家庭裁判所の調停又は審判によって、特別の事情がある場合に限り、三親等の親族が扶養義務を負うことになります。
(扶養義務者)
民法第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
兄姉3人がこの対象になります。
ただし、扶養する余裕がない場合には、対象から除外される場合もあります。
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扶養の方法の協議・・・
娘2人が嫁いだ後、夫と暮らしておりましたが、その夫も先月亡くなりました。
残された財産はわずかで、これからも一人で暮らすには、やっていけそうもありません。
そこで、長女と同居し、二女は裕福なので、その二女から扶養料をもらうことはできるでしょうか?
直系血族は扶養義務者ですから、2人の娘は母を扶養する義務があります。
(扶養義務者)
民法第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
扶養の方法として、引取扶養と給与扶養のの2つがあり、それをどのようにするかは、娘との協議によります。
長女が母を引き取り、日常的な世話を行い、他方二女から扶養料をもらうことも、協議が調えば可能です。
しかし、二女が裕福だからといって、その夫には扶養する義務はありません。
その夫を含めて、扶養料のことを協議する必要があります。
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