調停とは・・・
調停は、第三者である調停機関が紛争の当事者双方の合意が得られるように説得しながら、和解が成立するために調整する手続です。
簡易裁判所で行われる民事調停は、売買や賃貸借など、身近な財産上の紛争を解決するために利用されています。
裁判所における調停には、一般民事事件を扱う民事調停と、家庭事件を扱う家事調停があります。
民事調停は、民事調停法という法律に基づいて簡易裁判所で行われます。
家事調停は、家事審判法という法律に基づいて家庭裁判所で行われます。
いずれの調停も手続の進め方に厳格な定めはなく、紛争の実情に即して、当事者双方の納得のいく解決がはかれるよう行われます。
調停委員会は、原則として裁判官や民間人から構成され、委員には司法関係者の他に大学教授や医者・建築家・公認会計士・不動産鑑定士といった各分野の専門家も選ばれます。
調停が成立すると調停調書が作成されます。
これは判決と同一の効力を持ちます。
調停は、双方がお互いに譲歩し納得しながら解決策を探るのに適した方法です。
当事者の対立が激しく、ほとんど歩み寄りの余地がない場合には適しません。
調停を申し立てても、相手方が調停期日に出席しなかったり、また出席したとしても合意が得られなければ、調停は不調に終わります。
スポンサードリンク
民事調停の手続とは・・・
調停の申立は、簡易裁判所に申立書を提出して行います。
申立が受理されると、相手方には申立書のコピーである副本が、当事者双方には期日を通知する呼出状が送られてきます。
調停期日には、原則として本人が裁判所へ出頭しますが、仕事の都合や病気など、止むを得ない事情があれば、調停委員会の許可を得て、代理人を出席させることも出来ます。
話し合いは、当事者と調停委員がテーブルを囲んで行われます。
公開の法廷で行われる訴訟と違って、非公開の調停室で進められますから、個人のプライバシーが外部に漏れることはありません。
裁判官は手続の要所要所に出席するだけで、おもに2人の調停委員が当事者から事情を聞いて、紛争の要点を把握します。
裁判所に出頭して出頭簿に署名し、呼び出しがあると、当事者は個別に調停室に呼ばれ、それぞれの意見が聴取されます。
この意見聴取は双方同席で行われることもありますが、相手方に聞かれたくない場合は調停委員にその旨を申し出ると、そのように取り計らってくれます。
調停委員は双方から言い分を聞き、相手方の言い分を伝え合って、合意の糸口を探り出します。
また、必要があれば証拠の取調べや職権による調査も行います。
そのうち、妥協案を提示しますが、金銭の支払い請求などでは、債権者に支払期限の猶予や債権の一部免除・分割払いなどの条件変更を提案したり、債務者には新たに担保の追加を提案したりします。
スポンサードリンク
調停証書の作成とは・・・
話し合いがまとまれば、裁判官の立会いのもとに、調停内容が読み上げられます。
このとき、自分の主張に反する箇所があれば、必ず訂正を申し出ます。
いったん調書になってしまえば、後から訂正しようとしても出来ません。
調停が成立すると、調停調書には確定判決と同一の効力が与えられていますので、もし相手方が約束を履行しない場合は、強制執行をすることもできます。
強制執行には調停調書の送達証明書が必要ですから、相手方に不履行の気配があれば早めに請求しておくべきです。
調停が合意にいたらなくて終わっても、2週間以内に訴えを起こせば、最初から民事訴訟を起こしたのと同じことになります。
この場合、訴状に貼る印紙代として、調停のときすでに納めた印紙代を流用できますから、訴状には残りの印紙代を貼って提出します。
また、調停が合意に至らない場合でも、当事者間にまだ歩み寄る余地があるとみれば、裁判所は調停に代わる決定を出す事もあります。
この決定も確定判決と同じ効力を持ちますが、決定の日から2週間以内に異議が申し立てられれば無効となります。
スポンサードリンク
調停申立書とは・・・
調停申立書は3枚複写になっています。
調停を申し立てるには上の2枚を裁判所に提出します。
そのうちの1枚は裁判所の保管用でもう1枚が相手方に送付されます。
3枚目は自分の控えになります。
申立の手数料は収入印紙にして、1枚目に貼っておきます。
この他、相手方の呼び出しを郵便で行うためには郵便料金が必要です。
申立人や相手方が会社であるときには、その会社の商業登記簿謄本か抄本、又は資格証明書が必要です。
これらの書類は、その会社で発行してもらえます。
その他、借用証書などがあれば、そのコピーを申立書と一緒に提出することになっています。
費用欄については、「申立手数料の算出方法」によって算出した額や裁判所でいわれた額を記入します。
申立書の1枚目に収入印紙を貼りますが、割り印はしません。
申立人欄には自分の名前を書きますが、氏名の横に押印します。
この場合の印は認印で大丈夫です。
相手方欄には、相手方の住所・氏名を書きますが、このとき相手方が会社などである場合には、商業登記簿などの記載どおりに記入します。