仮差押、仮処分等の保全処分とは・・・

仮差押、仮処分等の保全処分とは・・・

訴訟は時間がかかります。

その間に、相手方の財産が他人の手に渡ってしまったり、財産を隠したり、名義変更されたしては、訴訟で勝ったとしても、意味がありません。

そこで訴訟前に相手の財産を差押えたり、処分を禁止する必要が出てきます。

民事保全制度は、訴訟において判決が確定するまでの間、被告側の財産を一時的に差押えたり、差し迫った被害や危険をさけるためにとられる暫定的な措置をいいます。

民事保全法では、仮差押、係争物に関する仮処分、仮の地位を定める仮処分が定められています。

民事保全制度は、相手方に察知されないよう秘密裏に行われるのが原則になっています。

裁判官は債権者の言い分だけを聞いて、一応確からしいという心証を得たら、迅速に財産保全などの命令を下します。

保全処分が認められるには、裁判官に保全されるべき権利が債権者側に存在し、その権利を保全すべき差し迫った理由が存在する、という2つの心証を与える事が必要です。

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仮差押、仮処分の保証金とは・・・

保全処分の手続は、原則として債務者である被告になる予定の者の言い分は聞かずに進められます。

もし、債権者が嘘をついていても、裁判官のほうでは実際に確認する方法がありません。

そこで裁判官は、債権者の立証が不十分であると判断した場合、債権者に保証金を積むよう指示します。

嘘だと判明した場合、これを債務者が受け取るべき損害賠償金に充てるわけです。

保証金は裁判官の自由な裁量によって決まりますが。証拠が少ない場合は多めに、証拠が多い場合は少なめに支払うことになっています。

債権額の1~3割ぐらいが目安です。

保証金は、現金又は有価証券として法務局・地方法務局又はその支局・出張所に供託金を預けることになります。

裁判所の許可を得れば、金融機関との間に支払保証委託契約を結び、法令保証証券とよばれる証券を発行してもらい、これを保証金とすることもできます。

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訴訟費用は・・・

訴訟費用とは、訴訟を進めてもらうために必要となる費用で、裁判費用と当事者費用の2種類があります。

裁判費用は裁判所に対して納めます。

これには、手数料とそれ以外の裁判費用とがあります。

手数料は、原告が裁判所に訴えを起こすときに必要な費用で、訴訟の目的の訴額にしたがって定められています。

手数料は、収入印紙にして訴状に貼付します。

この手数料を納めないときは、訴えは却下されてしまいます。

手数料以外の裁判費用としては、証拠調べや書類の送達費用など、裁判所が手続に必要な行為を行うための費用です。

証人尋問をするときは、証人に旅費や日当を、鑑定をするには鑑定人に鑑定料などを支払わなければなりません。

また、書類を郵送で送達するには、郵便料を支払わなければなりません。

これらの費用は、裁判所からあらかじめ納めておくように言われます。

これらの費用が納められていないと、裁判所はその費用がかかる行為、例えば証人尋問や鑑定などを行わないことになります。

当事者費用とは、訴訟の当事者が訴訟を進めていくため自分で支払う費用です。

訴訟の当事者が法人の場合に必要となる商業登記簿謄本などの資格証明書、不動産に関する紛争の場合に不可欠の不動産登記簿謄本、その他訴状や準備書類など書面の作成費用などです。

当事者費用で、最も高いのは弁護士費用です。

弁護士費用は、現在のところでは、裁判所が特に付き添いを命じたような場合、その他特別の場合以外は、たとえ勝訴しても、敗訴者に負担してもらう事はできません。

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管轄裁判所とは・・・

管轄裁判所とは、それぞれの裁判所がどの事件を担当するかという割り振りのことです。

裁判所が、自分の管轄外の事件を処理することは認められていません。

訴訟を起こす場合には、どこの裁判所になるのか調べておく必要があります。

地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所のいずれかです。

この中で家庭裁判所は、家庭事件の審判・調停及び少年保護事件の審判を行う裁判所ですから、それ以外の一般の訴訟は、地方裁判所か簡易裁判所のどちらかになります。

それは訴訟で主張される金額、訴訟物の価額が利息や遅延損害金を除いて140万円を超えるかどうかで決まります。

140万円以下なら簡易裁判所、これを超える場合には地方裁判所が管轄になります。

この金額は元本が基準になります。

簡易裁判所には小額訴訟という特別な制度もあります。

60万円以下の貸金を返還するように求める場合は、この小額訴訟を選択できます。

小額訴訟の審理は、原則として第1回の口頭弁論で完結し、審理終了後すぐに判決が行われます。

不服申立も制限されています。

民事調停も原則として、簡易裁判所の役割です。

簡易裁判所は、証拠保全、即決和解、支払督促などの手続を担当することになります。

簡易裁判所か地方裁判所かが決まったら、具体的にどの裁判所に訴えを起こすのか決めなければなりません。

原則として、被告の住所地を管轄する裁判所に訴えを起こします。

被告が会社など法人である場合には、原則として主要な事務所又は営業所の所在地を管轄する裁判所がその訴えを扱います。

中には被告の住所地以外の裁判所が管轄になる訴訟もあります。

財産権上の訴えでは義務履行地、手形・小切手に関するものならその支払い地、不動産に関する訴えなら不動産所在地などに訴えを起こすことも出来ます。

第一審の裁判所に限っては、原告と被告の合意によってあらかじめ特定の裁判所が管轄となるよう取り決めをしておくこともできます。

これを合意管轄といいます。

契約書の最後のほうに「この契約に関する争いについては、東京地方裁判所が第一審裁判所とする」という条項がおかれていることがありますが、これは合意管轄を定めたものとされています。