交通事故の紛争解決センターとは・・・
交通事故については、自賠責などの責任保険制度も発達していますから、保険会社が関与して示談交渉で解決する場合が多いのです。
保険で支払えない部分については、調停や訴訟など、通常の紛争解決手段を利用することもできます。
交通事故に関する紛争を処理する代表的な機関としては、(財)交通事故紛争処理センターと(財)日弁連交通事故相談センターがあります。
(財)交通事故紛争処理センターと(財)日弁連交通事故相談センターの相談費用は無料です。
専門の弁護士が相談に応じています。
電話相談は日弁連交通事故相談センターでは、本部と東京、札幌、熊本の各相談所で実施しています。
面接相談は日弁連交通事故相談センターでも、交通事故紛争処理センターでも実施していますが、交通事故紛争処理センターは予約制です。
日弁連交通事故相談センターは予約制ではありませんから、当日早めに行けば相談が受けられます。
両機関とも示談あっせんがうまくいかない時には、審査という制度があります。
審査とは、示談あっせんが不調となった場合、当事者から申出があれば、3人の審査委員で構成される審査会が判断を下す手続です。
審査結果に保険会社等は拘束されますが、被害者側は同意するかしないかは自由です。
被害者側が同意すれば、審査結果に従った示談書が作成されます。
交通事故の有利な解決を図るために重要なのは、多くの証拠となる書類を用意することです。
事故証明書や、事故の状況を示す地図やメモ類、相手方や保険会社からの提出書類など集めることが大切です。
スポンサードリンク
借地非訟事件とは・・・
借地に関する紛争については、借地非訟という特別な手続が用意されています。
非訟手続というのは、民事上の紛争について、訴訟手続によらないゆるやかな手続で処理できるように設けられたものです。
通常の民事訴訟のように、当事者が対立する構造をとるのではなく、裁判所が間に入り紛争解決を手助けするものです。
手続は申立によるほか、裁判所の職権によっても開始されます。
審理は公開されず、裁判所の判断も判決ではなく決定という形がとられます。
この手続は、借地に関する紛争の全てに利用できるわけではありません。
利用できるのは次になります。
①建物の種類・構造に関する借地条件の変更の申立
②増・改築許可の申立
③賃借権譲渡・土地転貸許可の申立
④競売又は公売に伴う土地賃借権譲渡の許可の申立
⑤賃貸人自らの建物譲受の申立
⑥更新後の建物の再築許可の申立
地非訟の申立は、借地権の目的である土地の所在地を管轄する地方裁判所に、申立書を提出します。
ただし、当事者の合意がある場合は、その土地の所在地を管轄する簡易裁判所でも行えます。
借地権の目的となっている土地所在地にある地方裁判所に申立て、申立が受理されると、地代や契約期間などについて上申書にまとめて提出します。
一方、相手方は答弁書を作成し、その中で申立の却下を求める事になります。
手続がさらに進行すれば、借地人と地主はそれぞれ訴訟と同様に証拠や参考資料を提出しなければなりません。
裁判所は、当事者の主張を整理、検討しつつ、鑑定委員会の意見を聞いた上で、最終的な紛争解決のための基準を作っていきます。
鑑定委員の意見書を参考にしながら、場合によっては和解を促したり、民事調停に移行するなどの処置をとります。
しかし、これらの手続を取る事が出来ない場合は、最終的に決定します。
裁判所の決定に不服がある場合には、抗告することができます。
スポンサードリンク
近隣関係の紛争とは・・・
隣近所の紛争には、大きく分けて2つの種類があります。
1つは相隣関係事件、もう1つは生活妨害事件です。
隣り合わせになっている土地・建物のお互いの関係を相隣関係といいます。
相隣関係については、境界線や樹木・用水路など権利関係も調整について民法に規定がありますが、お隣同士の紛争は話し合いをすることがもっとも重要です。
生活妨害とは、日照や通風の阻害や、一般の住宅から出る騒音、・ばい煙・悪臭などによって、特定の少数者が迷惑を被っているような場合です。
当事者同士の話し合いがうまく行かなくても、いきなり訴訟を起こすのではなく、裁判所に調停を申し立てる方法があります。
調停は相手方の住所や本店の所在地を管轄する簡易裁判所に申立ます。
スポンサードリンク
離婚による紛争とは・・・
離婚する場合には、当事者の間で話し合いをすることが最優先になります。
離婚についての話がまとまれば、理由の如何を問わず、離婚する事ができます。
このような離婚方法を協議離婚といい、実際に離婚する人の9割以上が協議離婚によっています。
市役所や町村役場から離婚届の用紙を貰ってきて、これを窓口に提出すれば離婚は成立することになります。
夫婦のどちらか一方が離婚に反対したり、離婚しても良いが、財産分与、慰謝料、養育費などの金銭問題、あるいは子供の親権をどちらにするかなどの離婚条件について反対している場合には、いきなり裁判所に訴訟を提起することは出来ません。
訴訟を起こしたい場合は、まず家庭裁判所で、離婚の調停をしなければなりません。
これを調停前置主義といいます。
家庭裁判所では、家事調停委員を交えて話し合いが行われ、ここで離婚の話し合いがまとまれば離婚できます。
これを調停離婚といいます。
家庭裁判所では、夫婦のいがみあいが激しかったり、夫の暴力で妻が精神的な問題を抱えている場合などは、カウンセリングなどもあります。
離婚調停がまとまらず、調停委員が審判に回したほうがよいと判断した場合、あるいは離婚自体には応じるが、金銭問題について話がつかないようなときには、家庭裁判所で審判をしてもらうことになります。
このような離婚を審判離婚といいます。
調停がまとまらず、また審判に納得がいかなければ、裁判所に離婚訴訟を起こして離婚の請求をすることになります。
この場合には法定の離婚事由がなければなりません。
これが裁判離婚です。
裁判所に離婚を請求するためには、次の理由のうちいずれかがあることが必要です。
①配偶者に不貞行為がある場合
②配偶者に悪意で遺棄された場合
③配偶者の生死が3年以上不明の場合
④配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込がない場合
⑤その他の理由により婚姻継続が困難な重大な事由がある場合
これらの離婚原因があることの他に、形式的に婚姻を継続させても実質的な夫婦関係の修復は不可能であろうという事情があって、裁判離婚が認められます。