夫婦の契約取消権・・・
夫婦間で契約をしたときは、その契約はいつでも夫婦の一方からこれを取消すことができます。
(夫婦間の契約の取消権)
民法第754条 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
この場合、取消の理由を必要としません。
これは、夫婦間の契約は、愛情に基づく非真意の表示であることが多く、これを法律によって強制することは、当事者の真意に反する結果となることが少なくないからです。
①夫婦間の契約を取消すことができるのは、契約の当事者が夫婦であることが要件であって、当事者の一方が夫又は妻であって、当事者の一方が夫又は妻であって他方が夫婦以外の者である場合は、取消すことができません。
②夫婦が結婚前にした契約は、取消権によって取り消すことはできません。
③内縁の夫婦については、契約取消権は認められません。
④夫婦間の契約上の権利は、結婚解消のときから6ヶ月内は時効が完成しません。
夫婦のいずれか一方が他方に対して契約の取消しをしないで離婚したときは、取消せません。
(夫婦間の権利の時効の停止)
民法第159条 夫婦の一方が他の一方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
⑤夫婦間の契約が取り消されたときは、契約のときに遡って効力を生じます。
取消前に契約の履行をした者は現状回復の請求をすることができます。
ただし、第三者の権利を害することはできません。
夫婦間の契約はこれを取り消すことができますが、夫婦間の関係が破綻しそうな状態の場合には、取消権の行使を認めないとした事例があり、離婚合意と密接不可分の関係にある財産分与の契約は取り消せません。
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夫婦の財産関係・・・
夫婦の財産関係は、結婚前に、合意によって夫婦財産契約を結んだ場合を除き、民法の規定に従います。
これを法定財産制といいます。
①夫婦の一方が、結婚する前からもっていた財産及び結婚中に自分の名で得た財産は、特有財産とされます。
②夫婦のどちらに属するか明らかでない財産は、夫婦の共有財産と推定されます。
③結婚生活のための費用は、夫婦の資産、収入その他一切の事情を考慮して分担することになります。
この費用は、衣食住、出産、医療、交際などに要する費用はもちろん、未成年の子の養育及び教育の費用を含みます。
④日常の家事に関して、夫婦の一方が第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について連帯して責任を負います。
(夫婦の財産関係)
民法第755条 夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかったときは、その財産関係は、次款に定めるところによる。
(夫婦財産契約の対抗要件)
民法第756条 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
(婚姻費用の分担)
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
(日常の家事に関する債務の連帯責任)
民法第761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
(夫婦間における財産の帰属)
民法第762条 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
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夫婦財産契約・・・
男女が結婚しようとするとき、結婚後の夫婦の財産関係を契約によって定めることを、夫婦財産契約といいます。
夫婦の財産関係は、財産契約を結ばなかった夫婦の場合は、法定財産制に従います。
この法定財産制とは別に、夫婦となる男女が結婚前その合意によって、夫婦の財産関係を定めたものが、夫婦財産契約です。
①夫婦が、法定財産制と異なる契約をしたときは、結婚届をするまでに、夫婦財産契約の登記をしなければ、夫婦の承継人及び第三者に対抗することができません。
②夫婦財産契約の内容は、自由に定めることができます。
例えば、夫婦が婚姻中に取得する財産を夫婦の共有とする旨を定めることができます。
③夫婦財産契約の内容を自由に定めることができるとはいっても、夫婦共同生活の本質に反する定めをすることはできません。
例えば、同居、協力、扶助の義務を否定することになる合意は、無効とされます。
④夫婦財産契約は、相続人その他の第三者に重大な利害関係がありますので、結婚届をした後でこれを変更することはできません。
⑤夫婦の一方が他方の財産を管理する場合に、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他方は自分で管理することを家庭裁判所に請求することができ、その登記をすることによって第三者に対抗することができます。
この場合には、共有財産の分割の請求をすることもできます。
⑥夫婦財産契約中に条項によって変更が留保されているときに、これにもとづいて変更することができ、この場合にもその登記をすることによって第三者に対抗することによって第三者に対抗することができます。
(夫婦財産契約の対抗要件)
民法第756条 夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
(夫婦の財産関係の変更の制限等)
民法第758条 夫婦の財産関係は、婚姻の届出後は、変更することができない。
2 夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であったことによってその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
3 共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。
(財産の管理者の変更及び共有財産の分割の対抗要件)
民法第759条 前条の規定又は第755条の契約の結果により、財産の管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
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