不動産の強制執行は・・・
不動産に対する強制競売の執行を行うのは、執行官ではなく裁判所が行います。
不動産に対する強制執行は、登記簿への記載によってするもので、書面上の手続になるからです。
管轄裁判所は、不動産所在地の地方裁判所です。
これが執行裁判所となります。
申立には「不動産競売申立書」を提出します。
申立の記載事項は次になります。
①債権者及び債務者並びに代理人の表示
②債務名義の表示
③債務名義の表示
④強制執行の目的とする財産の表示及び求める強制執行の方法
⑤一部執行のときは、その旨及びその範囲
添付書類は次になります。
①執行力のある債務名義正本
②送達証明書
③資格証明書
④委任状
この申立により、執行裁判所は競売開始決定をします。
この開始決定が出されると、決定は登記簿に記入され、その不動産の差押さえの効力が生じます。
この際に費用の予納や登記印紙代の納付が必要です。
この後、裁判所により不動産の現況の調査や最低競売価額を定めるための評価が行われます。
この間が長く1年以上かかります。
競売の公告がなされ、競売期日が指定されます。
競売期日には、競売又は入札で最高の値をつけた者が競落し、裁判所の競落許可決定により競落が決定します。
その支払い代金から、債権者は支払いを受けます。
債権者が数人いれば配当手続をします。
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債権の強制執行は・・・
ここでいう債権とは、強制執行の対象になる債権で、債務者が所有する銀行預金などの債権のことをいいます。
債権者側の強制執行で請求する債権を「請求債権」といい、差し押さえられる債務者の債権を「差押債権」といいます。
競売申立書の債権目録も「請求債権目録」「差押債権目録」と表示します。
債務者が銀行預金や他人への貸金など債権を有していれば、債務者の財産ですから、これに対して強制執行ができます。
この債権を差し押さえて弁済を受け、回収に充てる事ができます。
手続は執行官ではなく裁判所の手続になります。
管轄の執行裁判所は債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。
この執行裁判所へ債権差押申立書を提出します。
これには一定の添付書類、債務名義の送達証明書などが必要です。
この申請により、差押命令がなされ、第三債務者に債務者への支払いの禁止が命じられます。
その後は、債権者が第三債務者から取り立てます。
差し押さえる債権が銀行預金の場合は、第三債務者は銀行になります。
取立てができた額だけ弁済されたことになります。
差押命令の効力は次になります。
①債権を消滅させる行為の禁止
債権差押の実効性を確保するために、第三債務者にも債務者に対してその債務を弁済などで消滅させる行為を禁止しています。
②債務者に対する効力
債務者はその債権の弁済を受けたり、譲渡したり、質権を設定することが禁止されます。
③第三債務者への効力
債権差押命令が第三債務者に送達されると、弁済が禁止されます。
その他に転付命令という手続があります。
銀行預金等の差押債権を、差押債権者の権利に移転してしまう、という手続です。
これは差押債権者が競合せず単独である場合だけ取ることができます。
転付命令を得た差押債権者は、転付命令による債権の取得自体で弁済を受けたことになり、その債権を独占することができます。
民事執行法145条(差押命令)
一 執行裁判所は、差押命令において、債務者に対し、債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
二 差押命令は、債務者及び第三債務者を審尋しないで発する。
三 差押命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
四 差押の効力は、差押命令が第三債務者に送達されたときに生ずる。
五 差押命令の申立についての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
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債権差押命令申立書とは・・・
債権差押命令の申立は書面でしなければなりません。
申立書には、債権者、債務者、第三債務者を記載します。
代理人がいるときは、代理人も記載します。
通常、別紙当事者目録を作成します。
債権者、債務者の表示は債務名義の記載と一致しなければなりません。
異なるときは、変更を証明するために、戸籍謄本等を添付し、債務名義上のものと変更後のものとを併記します。
債権差押申立の根拠となっている債務名義を記載します。
請求債権は債務者が有している債権のことで、これも通常、別紙目録を作成します。
差押債権の表示も別紙目録として作成します。
添付書類を記載します。
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