小額訴訟とは・・・

小額訴訟とは・・・

小額訴訟とは、債権額が60万円以下の金銭請求をする場合に、簡易裁判所へ申立をし、1日で審理が終わり、その日のうちに判決が下りる訴訟制度をいいます。

小額訴訟を起こすことができるのは、金銭請求事件に限られています。

売掛金でも、貸金でも、敷金請求でもよいのですが、家屋の明け渡しや離婚の請求などの事件については認められません。

会社であっても小額訴訟を起こすことができます。

ただし、会社が訴訟を起こす場合には、訴状には会社の名前とあわせて代表取締役の名前も記載します。

代表者の資格を証明するため会社の登記簿謄本を添付書類として提出します。

会社の従業員を訴訟代理人とすることもできますが、この場合には裁判所の許可が必要になります。

その際は、訴訟委任状の提出が必要です。

民事訴訟法368条(小額訴訟の要件等)

一 簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が60万円以下の金銭の支払いの請求を目的とする訴えについて、小額訴訟による審理及び裁判を求める事ができる。

ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求める事ができない。

二 小額訴訟による審理及び裁判を求める旨の申述は、訴えの提起の際にしなければならない。

三 前項の申述をするには、当該訴えを提起する簡易裁判所においてその年に小額訴訟による審理及び裁判を求めた回数を届け出なければならない。

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小額訴訟の審理・判決とは・・・

小額訴訟も訴状の提出から始まります。

訴状の提出先は、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所です。

訴訟に必要な費用は、訴状に添付する印紙代と郵便費用になります。

裁判所に小額訴訟の訴状の提出を受理されると、口頭弁論の期日が指定されます。

東京の場合は1ヶ月から1ヵ月半くらいかかります。

原告には手続説明書が、被告にはこのほかに訴状の副本が送られてきます。

被告は主張したい事があれば、答弁書を裁判所に提出します。

この副本は原告に送られます。

口頭弁論は、1日で終わらせる関係で、提出できる証拠は当日に取調べができるものに限られ、また証人には当日に法廷に在籍させる事が必要となります。

証拠や証人調べが制限されたのでは、十分な主張ができないという場合には、簡易裁判所における通常訴訟を選択することになります。

小額訴訟手続の法廷には、裁判官のほかに、民間から選ばれた調停役の司法委員、書記官が出席します。

小額訴訟の法廷では、最初に裁判官が小額訴訟手続についての注意点を説明します。

裁判官は紛争の要点を整理し、当事者の主張を聞き、証拠調べをし、和解できるものであれば和解の勧告をします。

和解できなければ、その日のうちに裁判官から判決が下されます。

請求を求める判決には、すぐに強制執行のできる仮執行宣言が付けられます。

また、貸し金の請求であるとか、売買代金の請求の場合、本来の請求金額が60万円以下であれば、利息や違約金を加えて60万円以上になったとしても、小額訴訟を起こすことはできます。

民事訴訟法371条(証拠調べの制限)

証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができる。

民事訴訟法372条(証人等の尋問)

一 証人の尋問は、宣誓をさせないですることができる。

二 証人又は当事者本人の尋問は、裁判官が相当と認める順序でする。

三 裁判所は、相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話する事ができる方法によって、証人を尋問する事ができる。

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小額訴訟には制限がある・・・

小額訴訟は、同じ当事者が同じ裁判所で利用できる回数が年に10回と制限されています。

原告は訴えを起こす際に、当該裁判所で何回小額訴訟手続を利用したかを届け出なければならず、定型フォームには回数の記入欄が設けられています。

虚偽の届出をすると10万円以下の過料の処分があります。

原告がいくら小額訴訟手続による審理を希望しても、被告にも小額訴訟手続によるか、一般訴訟手続によるかの選択権が保証されていますので、被告が小額訴訟手続に同意しない限り小額訴訟手続による事はできません。

被告は最初の口頭弁論期日までに、通常訴訟による審理を求める申述をすることができます。

被告が口頭弁論に応じ、または第1回期日が終わってしまうと、通常訴訟への移行はできなくなります。

利用回数の要件を満たしていない場合、催告しても利用回数の届出をしない場合、公示送達しか送達の方法が無い場合、小額訴訟による事が相当でない場合などのときは、通常訴訟に移行することになります。

小額訴訟の判決に対しては、控訴することができませんが、異議申し立てをすることは認められています。

異議申し立ては、判決書または調書の送達を受けた日から2週間以内にしなければならず、異議申し立てが出された場合には、訴訟は口頭弁論終結前の段階に戻る事になり、同じ簡易裁判所で、今度は通常手続による審理・裁判が行われることになります。

小額訴訟の勝訴判決には、仮執行宣言が付けられますので、執行停止の手続をとらない限り、強制執行をされる場合があります。

被告側としては、通常訴訟を望むのであれば、通常訴訟による審理を求める申述をします。

民事執行法377条(控訴の禁止)

小額訴訟の終局判決に対しては、控訴をすることができない。

民事訴訟法378条(異議)

一 小額訴訟の終局判決に対しては、判決書又は第254条第2項(第374条第2項において準用する場合を含む)の調書の送達を受けた日から2週間の不変期間内に、その判決をした裁判所に異議を申し立てることができる。

ただし、その期間前に申し立てた異議の効力を妨げない。

二 第358条から360条まで(手形判決に対する異議申立権の放棄、異議の却下、異議の取下げ)の規定は、前項の異議について準用する。

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