支払督促の申立書とは・・・

支払督促の申立書とは・・・

民事訴訟法の定めによれば、支払督促の申立は、書面または口頭ですることになっています。

原則はこうなっていますが、現実には簡易裁判所の窓口は、大変忙しく、口頭による申立を受け付ける余裕はありません。

ですので、実務では、口頭での申立はできず、申立書を作成する必要があります。

規則では、申立書の作成については、紙の大きさがA4判の用紙を使用しなければならないと規定しているだけですが、簡易裁判所では支払督促についての規定は次のように改善されています。

①事件の記載は全て横書きとし、記録は左綴じとする。

②一般の債務者も一読して支払督促の内容が理解できるよう難解な法律用語を使わず、請求の趣旨及び原因の記載も箇条書きとし、用紙に収めるようにする。

③裁判所は、支払督促を迅速に発するため、相手方への支払督促状に申立書を引用添付して作成するため、債権者はわかりやすい申立書を作成しなければならない。

④申立書が読みやすく簡潔に記載されるとしても、訴訟において要求される請求原因事実は網羅されているものでなければならない。

なお、支払督促に関する書式のモデルが最高裁判所により公表され、これに準じた書式が簡易裁判所に用意されています。

支払督促申立書

ちなみに、支払督促が出されたとしても、法的には仮定的なものです。

仮執行宣言の付く前の支払督促は、あくまでも暫定的なもので、いったん「異議」が出されれば、支払督促は無効になるのです。

しかし、支払督促に仮執行宣言が付くと、この支払督促に基づいて強制執行ができます。

これに対しても異議を申し立てる事もできます。

仮執行宣言付支払督促に対して異議が申し立てられず、確定すると、確定判決と同一の効力をもちます。

民事訴訟法384条(訴えに関する規定の準用)

支払督促の申立には、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。

民事訴訟法271条(口頭による訴えの提起)

訴えは、口頭で提起する事ができる。

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支払督促の申立書の書き方とは・・・

支払督促の申立書は「表題部」「当事者目録」「請求の趣旨及び原因」の三つの部分に分かれています。

①表題部ですが、「支払督促申立書」と書きます。

②どんな事件かを書きます。

③行を変えて、「当事者の表示」と書いて、「別紙当事者目録記載の通り」として、当事者の住所、氏名は別紙に書きます。

④「請求の趣旨及び原因」と書いて、「別紙請求の趣旨及び原因記載のとおり」と書き、請求の趣旨と原因は別紙に記載します。

⑤「債務者は債権者に対して、請求の趣旨記載の金額を支払え、との支払督促を求める」と書きます。

⑥申立手続費用の合計額とその内訳、申立の年月日、申立人の住所と氏名、申立裁判所、支払督促の手数料、算定の基礎となる価額、印紙額、予納する郵券の額、添付書類を順に書きます。

⑦申立人の氏名の後に捺印します。

当事者目録には、支払督促の当事者の郵便番号、住所、電話番号、氏名を書きます。

債務者の住所、氏名は必ず確認します。

当事者が会社など法人の場合は、住所のほか、代表社名を書きます。

請求の趣旨では、支払督促によって相手方に請求するものを、簡潔に箇条書きにして書きます。

遅延損害金の率と、いつから請求するかを書きます。

それは利息制限法を超えないようにします。

支払督促にかかった手続費用を書きます。

請求の原因では、請求の趣旨として書いた金額を、どのような原因に基づいて請求するかを書きます。

民事訴訟法384条(訴えに関する規定の準用)

支払督促の申立には、その性質に反しない限り、訴えに関する規定を準用する。

民事訴訟法133条(訴え提起の方式)

一 訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。

二 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

1、当事者及び法定代理人

2、請求の趣旨及び原因

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支払督促申立ての付属書類とは・・・

支払督促の申立をする場合には、場合によって様々な付属書類が必要です。

①委任状

本人自体が申立をする場合には必要ありませんが、代理人に頼んで申立を行う場合に必要です。

②法人の登記簿謄本

支払督促の当事者のうち、どちらかが会社や公益法人の場合には、代表者であることを証明するために法人の登記簿謄本の提出が必要です。

この書類を資格証明といっています。

大体、発行後3ヶ月以内のものを用意します。

③訴訟能力に関する証明書

支払督促の当事者が未成年の場合には法定代理人が、被成年後見人の場合には成年後見人が申立をする事になります。

その場合には、未成年者については戸籍謄本または抄本、被成年後見人については後見登記の登記事項証明書を提出しなければなりません。

ちなみに代理人について、訴訟の場合には、法令で裁判上の行為を代理できる旨を規定している場合のほか、弁護士でなければ訴訟の代理人となる事はできません。

ただし、支払督促の申立など簡易裁判所の行う事件については、裁判所の許可を得れば、当事者でなくても訴訟代理人に選任することができます。

実務上は、弁護士でない代理人が、支払督促申立書に委任状と代理人許可申請書とをつけて代理人名義で支払督促を申立てています。

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