訴状を裁判所に提出するには・・・
訴訟価額が140万円以下は簡易裁判所、140万円を超える場合は地方裁判所に訴状を提出します。
訴額が60万円以下場合には、1日ですむ簡便な小額訴訟という方法もあります。
この場合は簡易裁判所に申し立てます。
会社が訴訟を起こす場合には、会社名のほか代表者の氏名も記載します。
訴訟物の価額は、相手に請求する金額です。
印紙は訴訟物の価額により決まります。
弁済期や利息を記載します。
弁済期が定まっていないときは、相当の猶予期間をおいて催告する必要があります。
この期間内に弁済がないときに、初めて訴訟を起こせることになります。
利息がはっきりしない場合は、無利息という約束がはっきりしている場合を除き、通常、年5%、商事の場合は年6%の利息を請求できます。
また、無利息の約束がある場合でも、弁済期が過ぎた後は、年5%で遅延損害金の請求ができます。
また、利息制限法で定められた利率以上の利息、損害金を請求する事はできません。
元本が10万円未満・・・年20%
元本が10万円以上100万円未満・・・年18%
元本が100万円以上・・・15%
遅延損害金・・・上記利息金の1.46倍まで
ちなみに、訴状には証拠について記載する必要はありませんが、後で出すのなら証拠書類の写しを訴状に添えることも訴訟を早めるのに役立ちます。
この場合には、訴状の末尾に、証拠の題名と立証の趣旨を記載します。
原告の出す証拠は「甲*号証」と書きます。
訴状の末尾に
証拠方法
一 甲第一号証 借用書 1通
原告、被告間の本件金銭貸借の事実を立証するように記載します。
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裁判所の管轄は・・・
民事事件も刑事事件も三審制度が採用されており、債権回収事件は民事事件であり、第1審は地方裁判所、または簡易裁判所です。
その区分けは、訴訟物の価額が140万円以下の事件なら簡易裁判所、140万円を越える事件は地方裁判所の管轄と決められています。
これを事物管轄といいます。
また、簡易裁判所は価額が60万円以下の小額訴訟も取り扱います。
訴額は、貸金100万円の請求なら金100万円です。
利息や損害金は算入しなくてもかまいません。
土地建物の所有権などの争いなら、固定資産税の評価証明書によることになります。
賃借権の争いの場合には、その2分の1の額が訴額となります。
その他のものは時価で計算します。
算定しがたい性質のものの場合は、160万円とみなされることなど、訴訟物の価額については規定があります。
また、どの場所の簡易裁判所または地方裁判所になるか、というのは地域管轄といいます。
地域管轄は原則として、被告の住所地を管轄する裁判所です。
住所がないときは居所が住所の代わりとなります。
会社などの団体ならば、主たる事務所又は営業所の所在地、それがないときは主たる業務担当者の住所地の管轄裁判所です。
その他、義務履行地、手形・小切手の支払地、事務所や営業所所在地、不法行為地、不動産所在地、被相続人の住所などの管轄裁判所へも提訴する事ができます。
裁判所を間違えれば受理されませんが、間違って受理されれば「管轄違い」として正しい裁判所へ移送されます。
民事訴訟法8条(訴訟の目的の価額の算定)
一 裁判所法の規定により管轄が訴訟の目的の価額により定まるときは、その価額は、訴えで主張する利益によって算定する。
二 前項の価額を算定することができないとき、又は極めて困難であるときは、その価額は140万円を超えるものとみなす。
民事訴訟法4条(普通裁判籍による管轄)
一 訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属する。
二 人の普通裁判籍は、住所により、日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所により、日本国内に居所がないとき又は居所が知れないときは最後の住所により決まる。
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訴状の提出の手続きとは・・・
訴状は裁判所の窓口に正本と副本を提出します。
裁判所の窓口では、法律上は訴状の受理を拒む事はできないことになっています。
訴状にどんな不備があっても受理しなければならず、その不備な点の補正を命じる事ができるのは裁判長だけになります。
この裁判長の命令による補正をしなかった場合に、訴状は却下される事になります。
訴状を提出すると、その訴訟の番号が決められます。
これを事件番号といいます。
この番号を控えておきます。
訴状の提出以後の手続は、事件番号で処理されるようになります。
また部が多くある裁判所では、第何部の係りであるかも控えておきます。
その訴訟は、その部の書記官が扱います。
訴状を提出すると、期日の呼び出しの通知が来ます。
この通知状には事件番号や当事者の氏名とともに、何月何日の何時に、どの法廷へ出頭すべきかが記載されています。
民事訴訟法138条(訴状の送達)
一 訴状は、被告に送達しなければならない。
二 前条の規定は、訴状の送達をすることができない場合(訴状の送達に必要な費用を予納しない場合を含む)について準用する。
民事訴訟法139条(口頭弁論期日の指定)
訴えの提起があったときは、裁判長は、口頭弁論の期日を指定し、当事者を呼び出さなければならない。
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