民事調停が開始する手順とは・・・

民事調停が開始する手順とは・・・

調停が申し立てられると、調停委員が組織され、担当書記官も配属され、裁判所は申立人の都合を聞いて調停期日を定めます。

相手方に調停申立書の副本とともに、裁判所へ出頭するよう呼出状を送達します。

実務上では、申立の受理から、第1回目の調停期日まで、1ヶ月程度を要します。

手続が開始されると、呼び出しを受けた事件の関係者が正当な事由がなくて出頭しないときは、裁判所から5万円の過料に処せられることになっています。

ただし、欠席したとしても、申立の内容を認めたことになるなど不利益はありませんから、相手方が出頭しない場合には、申立人がその申立の内容を実現するには訴訟を行うほかありません。

調停は非公開で行われます。

調停委員の呼び出しを受けた当事者は、原則としてみずから出頭しなければなりません。

やむを得ない事由があるときのみ、代理人を出頭させ、または補佐人とともに出頭する事ができます。

親戚や友人、同僚などを頼むときは、裁判所の許可が必要です。

調停委員が直接、当事者から言い分を聞き、また、当事者を直接に説得する事によって、譲歩を引き出し、調停を成立させます。

調停期日に関係人が出席しますと、調停委員は、まず当事者間の紛争の実態を把握するよう努めます。

調停委員は、まず申立人と直接に面接し、申立人に対し、その主張を詳細に述べさせます。

その後に相手方と面接してその主張を十分述べさせます。

調停委員のほうで紛争の実態が分かれば、問題点を整理して、さらに当事者双方と話し合いを継続して、合意を得るように努めます。

1回の調停期日で合意が得られない場合は、さらに新しい期日を決めて調停を続けます。

調停の結果について利害関係を持つ者は、調停委員会の許可を受けて、参加人となることができます。

民事調停規則7条(期日の呼出)

一 調停委員会は、期日を定めて、事件の関係人を呼び出さなければならない。

二 呼出状には、不出頭に対する法律上の制裁を記載しなければならない。

民事調停規則8条(本人の出頭義務)

一 調停委員会の呼出しを受けた当事者は、自ら出頭しなければならない。

ただし、止むを得ない事由があるときは、代理人を出頭させ、又は補佐人とともに出頭する事ができる。

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特定調停とは・・・

特定調停は、調停の特別の制度で、支払不能に陥る恐れのある債務者等の経済的再生に資することを目的としています。

債権者の権利の行使に待ったをかけて、債務者を立ち直らせよういうものです。

特定調停の申立が債務者からあると、裁判所が相当であると認定すれば、債権者からの強制執行の停止が命じられ、強制執行は停止します。

そのためには、債務者も財産の状況を示す資料を提出しなければなりません。

その後、調査などにより、合意があれば調停が成立する事は普通の調停と同じですが、裁判所の判断で認められない場合もあります。

また、債権者と債務者の共同の申立により裁判所の調停条項案が出される事があり、その告知があれば調停が成立した事になります。

まお、公正かつ妥当な合意成立の見込が無い場合は調停不成立となり、調停事件は終了します。

また、強制執行の執行停止も終了します。

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調停の証拠調べとは・・・

調停手続であっても、事実関係の調査はします。

必要な証拠は当事者も提出しなければなりませんが、調停機関は職権で、事実の調査および必要であると認める証拠調べをすることができます。

調停委員会は、調停主任に事実の調査または証拠調べをさせ、または地方裁判所もしくは簡易裁判所に嘱託する事もでき、相当と認めるときは当該委員会の民事調停委員に事実調査をさせる事もできます。

民事調停における証拠調べは、民事訴訟の例によりますから、商人尋問、鑑定人尋問、検証、書証の取調べ、当事者尋問が含まれます。

調停委員会は、必要があると認められるときには、当該調停委員会を組織していない民事調停委員の専門的知識にもとづく意見を聴取する事ができ、その調停委員は、その調停委員会に出席して意見を述べます。

調停の話し合いをしている間に、債務者が財産を処分してしまうと、調停が成立しても、相手が約束を守らない場合、強制執行しても債権の回収は難しくなります。

これを予防するのが「調停前の措置の申立」といいます。

これが認められると、調停委員会は、相手方または利害関係人に、現状の変更または目的物の処分の禁止、その他調停の内容である事項の実現を不能または著しく困難にする行為の排除を命じてくれます。

ただ、執行力はなく、違反しても10万円以下の過料ですみます。

また、債権者が強制執行の手続をとっている場合、債務者が調停の申立をすることにより、担保権に基づく競売手続や、公正証書に基づく強制執行手続を停止する事ができます。

ただし、裁判所が関与した判決や支払督促の場合は、できません。

民事調停規則12条(職権調査)

一 調停委員会は、職権で、事実の調査及び必要であると認める証拠調べをすることができる。

二 調停委員会は、調停主任に事実の調査又は証拠調べをさせ、又は地方裁判所若しくは簡易裁判所にこれを嘱託することができる。

三 調停委員会は、相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員に事実の調査をさせることができる。

四 調停主任は、調停委員会の決議により、裁判所書記官に事実の調査をさせることができる。

五 証拠調べについては、民事訴訟の例による。

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