留置権とは・・・

留置権とは・・・

◇留置権とは

例えば、AがBに材料を提供して、加工を依頼します。

しかし、Aは以前の取引の加工賃料を未払いのままで、Aに対して信用不安が起きたときは、Bは加工賃料の支払いがなされるまでその加工品の引渡しを拒むことができます。

この担保権を留置権といいます。

留置権者は、債権全額の弁済を受けるまで目的物全部を留置することができます。

ただし、目的物を金銭に代えて優先弁済を受けることはできません。

Bは最終的にその加工品の競売を申し立てることができ、その加工品が第三者の所有で無い限り、事実上優先弁済を受けることができます。

留置権には、民事留置権と商事留置権があります。

商法では、特別に代理商、問屋、運送取扱人、運送人、船長等の留置権が認められています。

◇民事留置権

民事留置権は下記の要件があるときに成立します。

①「他人の物」を占有していること。

他人とは債務者に限らず債務者以外の人の所有物も含まれます。

②「その物に関して生じた債権」があること。

債権が物自体から生じた場合と、債権が物の返還義務と同一の法律関係または事実関係が発生した場合があります。

③債権が弁済期にあること

④占有が不法行為によって開始したのではないこと。

◇商事留置権

商事留置権は、下記の要件がある場合に成立します。

①当事者双方が商人であること。

商人資格は、被担保債権の成立時に有していれば足ります。

②当事者双方のために商行為たる行為によって生じた債権であること。

③債権が弁済期にあること。

④留置の目的物は、債務者所有の「物または有価証券」であること。

⑤留置の目的物は、債務者との商行為によって債権者の占有となったものであること。

民法の場合と異なり、債権と物との牽連性は必要ありません。

◇留置権の実行

民事留置権も商事留置権も優先弁済を受けることはできませんが、目的物を留置し続ける債権者のために、競売の申立ができます。

これを形式競売といいます。

形式競売は、執行裁判所または執行官に申し立て、差押によって開始します。

他の債権者からの配当要求は認められません。

換価金は競売申立人に交付されます。

競売申立人は、換価金を留置目的物の所有者に返還しなければなりません。

留置権による競売は、競売による換価金が留置権者に交付されるので、留置目的物の所有者が債務者の場合は、被担保債権と換価金返還債務を相殺して事実上優先弁済を受けることができます。

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先取特権とは・・・

先取特権とは、債務者の財産について、他の債権者に先立って自分の債権の弁済を受ける権利です。

先取特権には不動産に関するものと動産に関するものがあります。

動産を売却した売主は売掛金が回収されるまで、法的にその売った商品の上に先取特権が有するとされています。

買主が代金未払いの場合はその商品を競売して優先的に弁済を受けることができます。

動産売買の先取特権で競売するには相手方から商品を差し出してもらわなければなりません。

それについては、債権者が担保権の存在を証明する文書を提出して動産競売をすることができるようになりました。

買主が第三者に売却した代金を動産売買先取特権に基づく物上代位により差し押さえることができるようになりました。

雇用関係の先取特権は給料その他の債務者と使用人との間の雇用関係に基づいて生じた債権について、特に期間の制限なく、先取特権が認められるようになりました。

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保証人とは・・・

◇保証とは、債務者が債務の履行をしない場合に、債務者に代わって履行する責任を負うことをいいます。

保証は、債権者との契約によりその責任が発生します。

この場合の債務者を主たる債務者といい、保証人を人的担保といいます。

保証人は、主たる債務がなければ成立せず、主たる債務より責任が重くなることもありません。

また、主たる債務が消滅すれば保証債務も消滅します。

これを保証債務の附従性といいます。

附従性により、主たる債務が時効消滅したら保証債務も消滅時効にかかります。

また、主たる債務が債権者から債務免除により消滅すれば、保証債務も消滅し、期限の猶予などをされたら保証債務も期限が猶予されます。

他人の債務のために自己の所有不動産に抵当権を設定した人を物上保証人といいます。

保証人は、保証人の全ての財産が他人の債務の担保となっていますが、物上保証人は、抵当権を設定した不動産の限度で他人の債務の担保となっていることになります。

◇保証と連帯保証の違い

保証と連帯保証の違いとして、連帯保証の場合には、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益がありません。

①催告の抗弁権

債権者が保証人に債務の履行を請求した場合、保証人は「まず主たる債務者に請求せよ。」と保証債務の履行を拒絶できます。

この拒絶できる権利を催告の抗弁権といいます。

連帯保証人はこの催告の抗弁権がありません。

②検索の抗弁権

保証人は、主たる債務者が弁済の資力があること、その財産の執行が容易であることを証明した場合は、「まず主たる債務者の財産について執行せよ。」と要求する権利を有しています。

これを検索の抗弁権といいます。

連帯保証人はこの検索の抗弁権がありません。

③分別の利益

保証人が数人いる場合を共同保証といいます。

この場合、各保証人は債権者に対して、平等の割合で分割された額についてのみの保証債務を負担すれば足ります。

これを分別の利益といいます。

しかし、連帯保証人は分割された額ではなく、一人一人全額を弁済する義務があります。

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