契約の解除とは・・・

契約の解除とは・・・

契約の解除とは、契約が締結された後に、当事者の一方のの意思表示によって、その契約をはじめからなかったことにすることをいいます。

解除なしうる権利を解除権といい、これには法律の規定によって認められる法廷解除権と、契約によって認められる約定解除権があります。

法定解除権は、債務不履行と相当期間をおいた催告があって、契約解除が可能になります。

契約成立後、当事者間の合意によりその契約を解消させる行為を合意解除といいます。

解除の意思表示を行った後に、撤回ということが行われることがあります。

撤回とは、未だ法律的効果を生じていない意思表示の効力を阻止して、将来効果が発生しないようにする一方的意思表示のことです。

契約申し込みの撤回、書面によらない贈与の撤回、相続の承認または放棄の撤回、遺言の撤回などです。

解除の場合は、すでに効果が発生しているので、法律上、撤回により解除の効果を覆滅させることはできません。

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債務不履行とは・・・

◇債務不履行とは

債務者が債務の本旨に従った履行をしないことを債務不履行といいます。

債務不履行の場合、債権者は履行の請求ができ、また損害賠償を求めることができ、さらに契約を解除することができます。

債務不履行には、下記の態様があります。

①履行遅滞

債務の履行が弁済期を過ぎてもなされないことをいいます。

②不完全履行

履行に相当する給付がなされたが、それが不完全であること、または主たる債務のほかの付随的債務の不履行があったことをいいます。

③履行不能

履行が契約締結後に不可能になることをいいます。

◇債務不履行の効果

債務不履行によって下記の効果が発生します。

①完全履行請求権

債務不履行の事実さえあれば認められます。

②損害賠償請求権の発生

・債務不履行の事実

・履行しないことに債務者の責任があること

・債務不履行と因果関係のある損害が発生していること

金銭債務の場合には、債務者の過失は必要ありません。

③解除権の発生

解除権発生の要件は、債務不履行と相当期間を定めた履行の催告、それでも履行しない場合に解除権が発生します。

◇債務不履行と危険負担

危険負担とは、双方の各債務が完全に履行される前に、一方の債務が債務者の責任のない事由によって履行が不能になった場合に、どちらがそれを負担するかということです。

建物売買契約の締結後、売主に責任はなく建物が焼けてしまい、売主の建物引渡しができなくなった場合に、買主の代金支払い債務は消滅するのでしょうか?

消滅するのなら、売主が危険を負担したことになります。

不能となった債務を基準として買主と売主を区分し、買主が負担する場合を買主危険負担主義(債権者主義)、売主が負担する場合を売主危険負担主義(債務者主義)といいます。

民法は、原則として売主危険負担主義(債務者主義)とし、例外として特定物に関する物権の設定、または、移転を目的とする双務契約につき、買主負担主義としています。

また、不合理な点もありますので、契約の際に、引渡まで危険は移転しないなどの特約を規定などをしています。

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約定解除とは・・・

◇約定解除とは

約定解除は、特約で解除権が与えられているものです。

法定解除の要件である債務不履行まで待たなくても、他の信用を害する事実を解除原因として合意しておけば、債権者は期限を待たずに契約の解除できるので、契約書に約定解除原因を記載しておきます。

具体的事由としては、手形のジャンプ要請がなされた事実、債権者集会の通知を出した事実、大幅な債務超過の判明、親会社の倒産、などがあります。

◇解除の意思表示

解除も意思表示であり、意思表示は、その通知が相手方に到達してはじめて効力を生ずるので、解除の効力を生じさせるためには意思表示が相手方に到達することが必要です。

解除の意思表示の通知方法として、通常は配達証明付内容証明郵便で行われます。

◇公示送達

相手方が所在不明の場合には、意思表示の送達が不可能です。

そこで、公示送達の方法により意思表示が送達したとする方法があります。

公示送達とは、簡易裁判所に申立てをすることによって、相手方の最後の住所地の管轄役所、簡易裁判所等の掲示板に、送達の意思表示内容等をいつでも交付する旨を掲示してもらい、14日間の経過により送達の効力を生じさせるというものです。

公示送達には、私法上の意思表示の送達と民事訴訟手続上の場合があります。

いずれも当事者が裁判所に公示送達の申立てを行います。

意思表示の公示送達の要件は下記になります。

①公示送達の申立てがあること

②公示送達をしなければならない理由があること

意思表示の相手方を知ることができない場合、または、意思表示の相手方の所在を知ることができない場合

③その事由について証明があること

所在不明の場合は、最後の住所にあてた郵便局の返戻郵便物、住民票、不在証明書、戸籍の付票、近隣居住者に対する調査報告書、民生委員の証明などです。

◇執行官送達

私法上の法律関係に関する告知書または催告書の送付の事務は各地方裁判所に所属する執行官の職務になります。

債務者が行方不明ではないが、受取を拒絶しているような場合に執行官による送達が行われます。

◇みなし送達

住所移転届出の提出を怠るなど、相手方の責めに帰すべき事由などにより、債権者から通知等が延着し、または送達されなかった場合には、通常到達するべきときに到達したものとみなす旨の約定をして、「みなし送達」の規定を契約書に記載しておくと、当事者では有効とされます。

◇原状回復義務

解除によって、各当事者は、その相手方を現状に復する原状回復義務を負います。

解除によって契約は当初から存在しなかったことにより、契約から生じた効果は遡及的に消滅します。

未履行の債務は消滅しますが、既履行の給付は法律上の原因を失うために不当利得となります。

原状回復義務は不当利得返還請求なわけです。

◇第三者

解除によって、解除する前にその契約を前提として登場した第三者の権利を侵害することはできません。

ただし、第三者は解除までに対抗要件を備える必要があると解されています。

解除後の第三者は、対抗関係として解決され、解除する人と第三者とで、先に対抗要件を取得した人が勝ちます。

◇損害賠償請求権

契約の解除により契約はなかったことになりますが、契約関係に入ったことにより損害が残ることがあります。

その場合には、損害賠償請求権が認められます。

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自社商品の引揚げとは・・・

商品販売取引においては、取引先が信用不安に陥った場合に備えて、あらかじめ商品を引揚げることができるようにしておくことが必要になってきます。

それには、売買契約時に所有権留保を合意したり、商品引揚げ条項を設けておきます。

①解除による引揚げ

売買契約において債務者の債務不履行を理由とする解除を行うと、所有権が売主に復帰することから所有権に基づく返還請求権が発生し、それに基づいて引揚げを行うことができます。

②所有権留保

所有権留保の合意がある場合は、担保権実行の意思表示を行うことにより、商品を引揚げることができます。

③商品引揚げ条項

契約書に、一定の事由が生じた場合は、商品を引揚げることができるという条項を設けておけば、契約を解除しなくても引揚げることができます。

④返品処理

所有権留保の合意も商品引揚げの特約もない場合は、返品伝票を切ってもらうという方法もあります。

返品処理の合意をすることで、債務者からの商品の引揚げを合法化できます。

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