契印や割印や訂正印や捨印の押印・・・
契約書で当事者の氏名の下に印鑑を押すことは、契約では必須で、これを記名押印、署名押印といいます。
押印も捺印も同じです。
契約書が2枚以上の書面にわたる場合、それらが一体をなすことを証明するために、契印を押します。
契印は割印ともいい、書面の各葉のつながりを示すものですから、見開きになった二葉にまたがって印鑑を押すのです。
契印は各当事者が複数の場合、全員が押す必要はありません。
一方の当事者のうちの主な人が、自分の側を代表して契印すればよいとされます。
他方の当事者が大勢いる場合、契印を押すと契約書の本文に侵蝕し、文面が見づらくなる可能性があるからです。
契約書の本文中訂正箇所があるときは、訂正印を押します。
訂正印は署名押印若しくは記名押印に用いた印鑑を用いなければなりません。
訂正印の押される場所としては、契約条文の本文の訂正箇所に押す方法があります。
また、本文中の訂正箇所の真上の欄外に押して、その場所に「加入二字」「削除三字」「訂正五字」などと記入する方法です。
また、契約書末尾の空欄に押して、その箇所に「第3条中五字削除」「第5条中三字加入」などと記入します。
あらかじめ訂正箇所の生ずることを予定して、上部の空欄に押しておく印を捨印といいます。
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実印を印鑑登録する・・・
個人の実印は、住所地の市、区、町、村長あてに登録した印鑑を指します。
会社の実印というのは、会社の実印ではなく会社の代表者の実印であり、所轄の法務局に届け出てある印鑑を指します。
個人の印鑑が登録されていれば市、区、町、村長から印鑑証明が発行されます。
会社の代表者印の場合は、届け出た先の法務局が印鑑証明書を発行します。
印鑑証明書により、実際に契約書などの書類に押した印鑑が実印かどうかの確認ができます。
印鑑登録できる印は、氏名、若しくは氏、名のいずれかを表しているものであること、これら以外の事項が入っていないこと、印材がある程度硬いもの、8ミリ四方の正方形におさまらず、かつ、25ミリ四方の正方形におさまるもの、印影が不鮮明でなく、文字が判読可能のもの、などの条件があります。
会社の場合は、「株式会社山田工業之印」あるいは単に「代表取締役之印」などという印鑑を法務局に届け出ます。
会社の設立の際の登記申請と同時に届出をする場合は、届出書に本店、商号、代表者の資格、氏名、生年月日などを記載すると同時に、個人の実印を押し、かつ、その印鑑についての市区町村長の発行した3ヶ月以内の印鑑証明書を提出しなければなりません。
会社の場合は代表者の印鑑の証明の申請には、その印鑑を印鑑カード番号で特定し、かつ印鑑カード番号を提示することが必要です。
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契約書を公正証書にする・・・
公証人が当事者の委嘱を受けて法律に基づき作成した証書を公正証書といいます。
通常の契約書は全て公正証書にすることができます。
あらかじめ契約書の案と当事者全員の印鑑証明書をそえて、公証役場に持参し、各当事者全員が公証役場に出頭して署名する日時を打ち合わせます。
当事者全員が実印をもって、あらかじめ打ち合わせた日時に公証役場に出頭して、公証人から契約の内容を読んで聞かせてもらい、各当事者が公正証書原本に署名押印します。
当事者には公正証書の正本若しくは謄本が交付されます。
代理人によって公正証書を作ることも可能で、この場合、契約書案に委任状を添付し、委任者が署名押印して、委任状と契約書案にわたり、かつ契約書案自体も各葉にわたって割印をし、印鑑証明書をそえます。
代理人自身も印鑑証明書と実印が必要で、代理人が当事者に代わって公証役場に出頭して、署名押印します。
一方の当事者が多人数でも、1人の代理人に委任することができます。
公正証書にする理由の第一は証明力で、その契約が真正に成立したという証明力が強くなります。
そして、第二の理由は、執行力で、公正証書の正本に基づいて、強制執行をすることができます。
強制執行といっても、家や土地の明渡しはできず、一定の金額の支払、米や麦などの代替物、有価証券などの一定の数量の給付を、はっきりと公正証書に規定している場合に限られます。
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