契約の更新と延長と義務と債務の違い・・・

契約の更新と延長と義務と債務の違い・・・

継続的な契約の場合、契約書の条項に、契約の更新又は期間の延長と記載しますが、更新と延長の違いは何でしょうか。

更新という文言を明確に用いている法律が借地借家法で、この中で、法定更新されるのが大前提となっていますから、建物賃貸借契約書、土地賃貸借契約書では更新という文言が使われます。

商品の継続的販売契約である代理店契約書や特約店契約書では、当事者の一方から事前の通告がない限り、延長するという文言を使います。

更新か延長かについて区別する実益はないようです。

また、契約書の条文の中で、債務という文言と義務という文言、さらには負担という文言も出てきます。

義務は、国民の権利並びに義務というように、国民が法律上なすべきこと、してはならないことを意味しています。

債務は、特定の者に対して具体的に何かをし、あるいはしないという具体的な内容をもつ義務を指しています。

例えば、債権者に対して金**円を支払う義務、建物を明渡す義務、などこれら全て債務です。

義務を負担する側からみれば債務ですが、逆の立場からは、債権になります。

負担は、不動産の売買で、土地や建物に付着した抵当権や質権などの法的なマイナス要因を指しています。

債務以外の法的な義務を負っていることを負担といっています。

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契約の権利と権限と権原と権能の違い・・・

権利とは、広い概念の文言になります。

権限とは、例えば、代理人についていえば、代理人の行為が本人に効力を生ずる範囲をいいます。

会社などの法人の代表者や、支配人などについてもこれらの者の行為について、法人に効力が及ぶ範囲を権限といいます。

権原は、その人が法律上行為や事実上の行為をすることができる法律上の原因をいいます。

例えば、宅地を賃借した者は家を建てる権原があり、農地を賃借した者は作物を作る法律上の権原をもちます。

宅地の所有者自身は、その宅地を売却したり、賃貸したり、抵当権を設定するすることが可能で、これを権原があるといいます。

その宅地の管理をまかされている人間が、その土地の地代を集めたり、値上をすることができるのは、権限があるからです。

管理を任された人間は、権原はもっていないのです。

権能とは、代理人の場合における権限と同様に用いられる用語です。

所有権は物を自由に使用、収益、処分する権利で、使用や収益をすることができることを権能ということもあるようです。

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契約の請求と請求権と債権の違い・・・

請求とは一般的には、相手方に対して、一定の行為を要求することをいい、契約書では、その条項において、各当事者が相手に対して「**してくれ」と相手の行為を求めることです。

お金を支払う行為を要求できる場合や、登記申請手続をする行為を要求できる場合もあります。

また、解除請求というのがあり、契約解除とは、法律上の解除の要件を満たした場合、あるいは契約で定めた解除事由が生じた場合に、一方的になされるもので、一定の行為を要求する請求とは異なります。

請求権とは、他人の行為を要求する権利をいい、請求権の主要なものは、債権と呼ばれます。

また、請求権としては、物権的請求権があり、自分の占有している土地に他人が入り込んできた場合に、これを追い出す権利も、物権的請求権といいます。

土地の売買契約で、代金を受領した売主に対し、買主は土地の所有権移転登記請求権を取得しますが、契約書で買主の移転登記を明らかに定めておけば、登記を求める債権に基づいて権利を行使できます。

また、土地の請求権を取得したということに基づき、物権的請求権に類似した請求権として、土地の移転登記を請求することもできます。

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契約の賠償と補償の違い・・・

損害賠償を定めた条項は、賠償する義務を負うという場合と、損害を補償する義務を負うという場合があります。

賠償とは、契約の当事者の一方が、違法に債務を履行しない場合に、その不履行によって、相手に生じた損害額を金銭で支払う行為を指します。

法律の規定では、国家賠償法が、公権力の行使にあたる国の損害賠償責任を定めたものであるのに対し、刑事補償法は、捜査当局の故意過失を問題にせずに、無罪とされた者に対し、一定の金銭を支払うことを定め、賠償と補償を区別しています。

賠償という場合は、義務者側における違法性の存在があるのに対し、補償は必ずしもそれがないということです。

例えば、土地の収用で、立ち退く場合には補償という表現を使います。

契約書では、よく損害は賠償し、損失は補償するとされています。

保証人が主債務者に代わって、債務を支払った場合、主債務者に対して、肩代わりして弁済した金額を払えという求償権を取得しますが、この場合、主債務者に対して、「損害を賠償しろ」ではなく、「損失を補償しろ」の方が合います。

高層マンション建築に際して、業者が周辺住民と公害防止協定を締結することがありますが、この中で、日照障害に対して支払うことを約した金額は、補償金といい、建築中の事故に対して支払う金は賠償金といいます。