会社以外の法人との契約の場合・・・
株式会社の他に、法人として公益法人、特殊な法人としての各種組合などがあります。
公益法人は社団法人と財産法人があり、民法で規定されています。
協同組合などの事業経営に関係のある組合もそれぞれの特別の法律に基づいて設立され、登記もされています。
その他、特別の法律に基づいて、宗教法人、学校法人、医療法人として設立され、登記されています。
社団法人には、1人以上の理事がおかれており、理事は、株式会社の取締役に相当し、多くの権限があります。
理事は、2人以上であっても、各自が社団法人・財団法人を代表することになっています。
「理事長」とは、法律に規定された資格ではなく、正式には「理事」となりますので、契約上の表示は「代表者理事 山田太郎」となりますが、「理事長」となっていても差し支えはないようです。
公益法人の場合は、会社の場合と違い、代表理事などに法人を代表する権限を与え、一般の理事は代表権がないというような取り決めをしても、善意の第三者に対して、これを主張することはできません。
次のような組合は特別な法律に基づいて設立された特殊な法人です。
中小企業共同組合、農業協同組合、消費生活協同組合、そのほか中小企業団体の組織に関する法律に基づいて設立された各種の組合などがあります。
消費生活協同組合と農業協同組合には理事がおかれ、その理事が代表権をもっています。
中小企業協同組合には、株式会社と同様、代表理事を定め、これが組合を代表します。
宗教法人の場合は、代表役員がお寺などの法人を代表します。
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契約書の署名と記名との違い・・・
署名とは、本人が自分の氏名を自筆で書いて、その書面の成立の真正であることを明らかにすることです。
記名とは、単に姓名が書かれているだけで、タイプされていたり、本人以外の者が手で書いたり、印刷されていたりしているような場合です。
記名の下部に印を押すことによって、法律上の意味が生じます。
署名して押印することが慣習として完全な状態と思われていますが、法律では、原則として、署名するだけで足り、押印を要求していません。
実際には、記名押印が行われ、記名押印は法律上署名の代用として認められています。
不動産登記、商業登記の申請に際して添付される書類の場合、署名だけでは完全とはされません。
代理人が申請する場合なども、委任状には記名押印し、印鑑証明を添付します。
会社の代表取締役の署名を形どって作ったゴム印の使用が一般的に行われています。
これは署名ではありませんから、記名として、あらためて印鑑を押す必要があります。
重要な契約書には記名押印ではなく、署名を求めるべきで、それによって契約書が偽造でないこと、真正に成立したことを証明できます。
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実印や認印や社判の違い・・・
印鑑には、実印、認印、会社印、個人印、職印などありますが、重要なものは実印だけです。
実印の中には、個人の実印と会社の代表取締役の実印があります。
印鑑を役所に登録しますと、印鑑証明書の交付を受けることができ、重要な契約書には、当事者が押印し、印鑑証明を添付し、これを実印といいます。
印鑑証明の交付は本人しかできませんから、実印を押し、印鑑証明を添付することは、作成者の真意に基づいて作成されたものであることを証明することができるのです。
個人が持っている印で、実印以外のものを「認印」といいます。
個人の姓、又は名あるいは姓名の一部を組み合わせた字を彫った印です。
認印だからといって、本人が押した以上、責任を負わなければならないことは、実印と同じです。
会社の文書の中には、代表取締役の印、支店長印、担当者の個人印などが氏名の下に押されているだけでなく、会社の商号「株式会社山田工業之印」などというような大きな四角い印を押してあることがあります。
これは法律上の意味はありません。
法律上の要件は、代表者あるいは代理人の署名若しくは記名押印ですが、社判は、記名押印の押印には該当しません。
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