婚約者の性的暴行の慰謝料・・・
既に性交渉を持ったことのある婚約者が、無理やり性的暴行をされた場合、婚約破棄と慰謝料請求ができるかについて、拒んでいたのに無理に性行為をしたのであれば、不法行為が成立します。
(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
不法行為の成立は、これまでに性交渉を許していたかどうかは関係ないとされます。
配偶者であっても、相手方に性交渉を要求する権利はあるものの、正当な理由のない性交渉拒否が離婚事由になるに過ぎないだけであって、無理に性交渉を強要する権利などは認められていません。
無理やり性行為を行なうと、民事上の不法行為責任が発生するとともに、刑法177条で定める強姦罪にあたります。
(強姦)
民法第177条 暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
家庭内暴力から逃れるために実家に帰った妻を連れ戻す途中で友人と強姦をした夫が、強姦罪で実刑を課された事例があります。
夫婦の間であっても、このような事例があるのですから、結婚をしていない婚約の状態では、当然、婚約解消と慰謝料の請求ができます。
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同棲の内縁関係解消の慰謝料・・・
内縁とは、事実婚や準婚といわれ、事実上の婚姻関係にあるものの、婚姻届という形式要件を満たさない結婚であるとされています。
内縁関係にあるというためには、単に同棲しているというだけでなく、男女がともに結婚関係にあるのと同じ効果を持つ意思が必要です。
具体的には、2人で仲人を務めたり、お金を出し合って家を買ったり、一緒に店を開いたりするようなことがあれば、実質的に婚姻関係があったものと考えられます。
そのため、法律では正式な結婚と同様の保護を与えることとされており、公的年金や福祉手当等の受給権、財産分与等についても入籍している夫又は妻と同様の権利が認められます。
内縁関係にあると認められた場合には、お互いに同居義務、扶助義務、貞操義務が発生するので、いずれか一方が正当な理由なく一方的に内縁関係を破棄した場合には、もう一方は慰謝料の請求をすることができます。
これを内縁関係解消の慰謝料といいます。
ここでいう「正当な理由」とは、離婚の場合とほぼ同じです。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
ですので、単なる同棲であれば、内縁関係解消で慰謝料を請求することはできません。
相手に戸籍上の配偶者がいることを知っていながら内縁関係にあった場合は、特別な事情がない限り、通常の内縁関係破棄の場合に比べて慰謝料の算定に多少不利になることもありますが、一応慰謝料請求自体は認められます。
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自分の子でない認知の拒否・・・
婚姻中に妻が産んだ子は夫の子であると推定され、反証がない限り父子関係は確定します。
この子を嫡出子といいます。
(嫡出の推定)
民法第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
婚姻外で生まれた子供については、「その父又は母がこれを認知することができる」として、父の認知があってはじめて父子関係が確定することになっています。
この子を非嫡出子といいます。
(認知)
民法第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
婚姻関係にない男女であれば、たとえ婚約していたり内縁関係にあったりしていても、まだ他の男性と性交渉をした可能性があるため、認知という手続によって父を確定する必要があります。
結婚前に生まれた場合でも、男女が認知して結婚すれば、その子は嫡出子となります。
母の場合も認知によって母子関係が確定するという民法779条の規定ですが、母の場合は分娩という事実が明らかですので、認知をする必要はありません。
男は、自分の子でないと疑う場合には、当然認知を拒否することができます。
父とされる男が認知を拒否した場合には、その子、実際は法定代理人として母は、あきらるか又は認知を求めて裁判所で争うことになります。
認知の請求をできるのは、子、その直系卑属、これらの者の法定代理人であり、父又は母が死亡して3年を経過するまで請求できます。
(認知の訴え)
民法第787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。
最初に、家庭裁判所に調停を申立て、調停の場で認知する事の合意を求めます。
調停での合意がない場合には、次に地方裁判所に提訴することになります。
裁判になりますと、認知を請求する母は、相手と性交渉を持ったこと、少なくとも1年以内には相手の男以外とは性交渉をもっていなかったことを証明しなければなりません。
その他の証拠とあわせて、裁判所が血液型やDNA鑑定などの調査を行い、父であるか否かの判断がされます。
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