養育費放棄の撤回・・・

養育費放棄の撤回・・・

離婚に際して子がいる場合には、夫婦のいずれかが引き取って育てることになりますが、引き取らないほうの親にも子を養育する費用を負担する義務があります。

その際に、養育費を放棄する旨を約束した場合、その養育費放棄を撤回ができるのかが問題になります。

養育費を請求する権利は扶養を請求する権利であり、扶養を受ける権利は、これを処分することができないと規定されています。

(扶養請求権の処分の禁止)
民法第881条 扶養を受ける権利は、処分することができない。

また、扶養を受ける権利は、子が親に対して持つものであるので、親が勝手に放棄できるものではありません。

未成年者の扶養義務者である父母の間でその一方が他方に対し養育費を請求しない旨の念書を差し入れたとしても、それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養請求権の放棄であれば民法881条によりその効力がないことは明らかであるとして、親が勝手にした養育費の放棄を無効であるとした事例があります。

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交際を引き裂いた慰謝料・・・

例えば、交際していた男性との交際を友人に引き裂かれた場合、つまり、その男性と友人が交際することによって引き裂かれた場合、慰謝料を請求できるかどうかの問題がでてきます。

この場合に慰謝料を請求するには、その男性との間に法律で保護してくれるような婚約関係があることが前提となります。

婚約関係の成立については、法律では規定がありません。

2人が将来結婚しようと約束すればそれで婚約が成立します。

ただし、それは請求しようとする側が立証しなければなりません。

結納の取り交わしとか、その他慣習上の儀式をあげて約束しなくても、男女が誠心誠意をもって夫婦になる約束をし、そういう約束のない男女とは身分上の差異を生ずるようになったときは婚約ありとした事例があります。

しかし、結納や婚約指輪の交換、婚約披露など何か外部に示されたものがないと、相手が裏切った場合に立証が難しくなります。

肉体関係があったことも現代の男女交際の実情では、決定的とはいえません。

であれば、やはり、結納や結婚指輪の交換など、婚約を立証することができなければならないとされています。

友人の女性が正式な婚約中であると認識しながら、悪意・害意をもって積極的にその男性を誘惑したなど社会通念上認容できない行動がないと、慰謝料請求はできません。

原則として、恋愛は自由であり、交際しているとか、同棲しているだけでは婚約とはいえず、慰謝料請求もできないのです。

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一方的な婚約破棄の慰謝料・・・

正式に結納を行い、結婚式場や新婚旅行の予約も済ませ、後は当日を待つばかりというときに、相手から一方的に婚約破棄を通告された場合には、当然、慰謝料の問題がでてきます。

まずは、その一方的な婚約破棄について慰謝料請求できるかどうかは、正当な理由があるかどうかによります。

正当理由としては、次のような理由です。

①婚約者に不貞な行為があった場合

②婚約者から虐待、重大な侮辱を受けた場合

③婚姻届の提出、結婚式や新婚旅行の計画等を合理的な理由もなく延期、変更された場合

④婚約者が精神病や交通事故、災害などにより身体障害者になった場合

⑤婚約者が性的不能者となった場合

⑥婚約者が失業、倒産などにより収入が著しく低下した場合

⑦婚約者の異常な性格、金銭感覚が著しく細かい場合

⑧婚約者の悪質な前科、虚偽がある場合

⑨円満な結婚生活が脅かされる可能性がある場合

正当な理由がない場合には、不当な婚約破棄として、結納の返還、慰謝料の請求ができます。

結納は、結婚を前提とした一種の贈与とみられていますから、結婚に至らなかった場合には、受け取った側は不当利得として返還する義務があります。

ただし、結納を送った側の不当な婚約破棄によるときは、信義則上返還請求を認めないという判例が多いようです。

会場の解約手数料など、結婚を前提にしたため無駄になった支出も賠償請求できます。

婚約中の遊行飲食費、旅行費などについては、賠償の対象とするのは難しいとされています。

また、婚約破棄の申入れに当たって、親の意思・反対が働いている場合があります。

その場合に、親の干渉が不法行為となり、婚約者と共同不法行為の責任を負うためには、単に反対する程度では足りず、積極的な干渉、妨害の域に達することを要します。

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