婚姻届の無効・・・

婚姻届の無効・・・

結婚は、当事者に結婚の意思がなければ無効です。

(婚姻の無効)
民法第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
1.人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
2.当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

また、結婚は配偶者のある者は重ねて結婚することはできません。

(重婚の禁止)
民法第732条 配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

例えば、勝手に婚姻届を出されていたような場合には、どのように婚姻届の無効を主張するかが問題になります。

まずは、婚姻無効の調停を家庭裁判所に申立て、調停で届出無効の調停をしてもらいます。

無断届出をしたことが明らかになったところで、合意に相当する審判で、婚姻無効を認めてもらうことになります。

家庭裁判所の調停で不調になった場合には、当事者の申立て、又は職権で、同じ家庭裁判所に対して、婚姻無効の人事訴訟を提起しなくてはなりません。

そこで判決をもらい、戸籍を訂正します。

ちなみに勝手に婚姻届を出す行為は、刑法上、私文書偽造・公正証書等原本不実記載という犯罪行為です。

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内縁の妻の勝手な婚姻届・・・

法律的に結婚というのは、結婚生活の約束とその実態があること並びにこれについて所定の届出があることをいいます。

婚姻届が内縁の夫の意思と関係なく行なわれれば、結婚は最初から無効になります。

(婚姻の無効)
民法第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
1.人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
2.当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

内縁の妻が、勝手にではありますが、その婚姻届をした時に、夫に結婚をする意思がなければ、妻の届出は法律上無効になります。

妻の行為は、婚姻届を夫に無断で勝手に印鑑を押して届け出たわけですから、文書偽造という刑法上の犯罪になります。

妻が勝手に婚姻届を出したので無効ではあるのですが、夫がそれを認めた場合、これを法律上追認といい、無効な行為を有効にする措置として認められています。

(無効な行為の追認)
民法第119条 無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。

追認に特別の届出はなく、そのまま容認するだけです。

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婚姻の無効と取消・・・

法律上の婚姻の要件に違反すると無効であり、若しくは取消すことができます。

(婚姻の無効)
民法第742条 婚姻は、次に掲げる場合に限り、無効とする。
1.人違いその他の事由によって当事者間に婚姻をする意思がないとき。
2.当事者が婚姻の届出をしないとき。ただし、その届出が第739条第2項に定める方式を欠くだけであるときは、婚姻は、そのためにその効力を妨げられない。

取消ができる原因としては、次の場合です。

①不適齢

男が満18歳未満、女が満16歳未満である。

②再婚禁止期間経過前

女が前婚の解消又は取消の日から6ヶ月以内は再婚禁止期間になります。

④近親結婚

直系血族又は三親等内の傍系血族間、養親子関係者間の結婚をいいます。

⑤詐欺、強迫による結婚

無効原因は、人違いやその他の理由によって、当時者間に結婚をする意思がないときです。

また、一方的に、勝手に婚姻届を出されてしまったときも無効原因です。

婚姻を取消すには、家庭裁判所の調停を経て、審判を得るか、人事訴訟により地方裁判所に訴訟を提起し、判決を得なければなりません。

取消原因によっては、期間の制限があり、不適齢者が適齢に達したり、女が離婚の翌日結婚してもその後まる6ヶ月経過してしまったり、詐欺を発見したり、強迫が去ってから、3ヶ月を過ぎてしまうと、取消の請求ができなくなります。

無効は、初めから当然に効力のないもので、裁判所の審判や判決は、無効を確認するだけです。

しかし、取消の場合は審判や判決で取消が確定して初めて将来の向かって効果が消滅します。

取消す前の状態は、合法的な結婚と同様に扱われ、子供が生まれれば、その子は嫡出子とされます。

結婚の取消しは、復氏、子の監護者の決定、財産分与の問題など、離婚の規定が準用されます。

結婚によって財産を得た場合は、取消原因があることを知っていたときは得た財産に利息をつけて返済すべきであり、知らなかったときは現在残っている分だけを返済すればよいことになっています。

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