不倫の妊娠中絶の慰謝料・・・

不倫の妊娠中絶の慰謝料・・・

妻子のある男性と関係をもち、妊娠中絶して、しかも体調が悪くなり仕事もできなくなったが、その男性は何一つ責任を取ろうしない場合、損害賠償請求するには、その損害が何かが問題になります。

その場合の損害は、妊娠中絶の費用、身体を悪くして病院通いをしたとすれば治療費、勤めを辞めざるを得なくなったり、後遺症が残って労働能力が失われた場合の逸失利益、それと慰謝料があります。

しかし、これらの損害を相手の男性に賠償させるためには、男性に貞操などの侵害を理由とする不法行為責任が認められなければなりません。

女性が、男性に妻のあることを知りながら情交関係を結んだとしても、情交の動機が、主として男性の詐言を信じたことに原因している場合で、男性側の情交関係を結んだ動機、詐言の内容・程度、及びその内容についての女性の諸般の事情を斟酌し、女性側における動機に内在する不法の程度に比し、男性側における違法性が著しく大きいものと評価できるときは、貞操等の侵害を理由とする女性からの男性に対する慰謝料請求が許されるとしています。

27歳の独身ピアノ演奏家が、妻ある番組のディレクターと、テレビ番組に出演したことから知り合い、「妻と離婚して結婚したい」という詐言を信じて、10年余り情交関係を続け、一子まで出産しながら破局に至った。

ピアノ演奏家としての逸失利益、出産費、慰謝料を請求しましたが、双方の年齢、経歴、情交に至る経緯などからみて、主として男の側の違法性が大きいとはいえず双方の共同責任であり、貞操権侵害を理由とする損害賠償請求は、民法708条の法の精神に反するものであるから許されないとしたものがあります。

(不法原因給付)
民法第708条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

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同棲と婚約の違い・・・

婚約とは、将来夫婦になろういう男女の合意のことをいいます。

この合意がなければ、同棲していても婚約は成立しません。

しかし、この合意がありさえすれば、同棲をしていなくても婚約は成立するのです。

この合意は確定的なものでなければならないとされています。

婚約者は当事者である男女の合意だけで成立し、特別な儀式や書類を必要としないとしています。

判例も、婚約は結納を取り交わし、その他慣習上の儀式をあげて男女が将来婚姻しようと約束した場合に限定されるべきものではなく、男女が誠心誠意をもって将来夫婦となるべき約束したときに成立するとしています。

しかし、具体的事案では口約束だけで婚約の成立を立証することは困難なことが多いのです。

この約束に結納とか、婚約披露パーティとは、婚約の挨拶状を出すなどの外形的事実が伴えば、結婚の確定的な意思があるとされます。

婚約したのであれば、少なくとも、両親や知人に婚約者を紹介するとか、婚約指輪の交わすなど外形的行為により婚約した事実が必要とされているのです。

同棲は結婚の外形的事実であるかのように思えますが、婚約というのは、あくまで将来夫婦になろうという男女間の合意であるから、同棲しているからといって、将来夫婦になる確定的意思があるとは限らないのです。

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婚約破棄立証の指輪・・・

婚約した際に指輪をもらっている場合、婚約を立証する場合の証拠になります。

婚約というのは、将来において適法な結婚をしようという約束ですから、別段、物の授受がなければならないものではありませんが、婚約指輪や結納の交換があったということになりますと、2人の間の約束を証明する証拠となります。

この物的証拠をもって、婚約違反をした場合の慰謝料の請求ができます。

婚約違反も、契約違反又は不法行為として損害賠償である慰謝料の請求ができるのです。

ただし、この婚約破棄の慰謝料請求の主張をするには、相手が故意又は過失によって、婚約を破棄した事実が必要なのです。

ですので、ご自身の方から先に婚約を破棄した場合は、相手方に責任はありません。

さらに時効について、婚約が破棄されたのを知った時から3年経過すると、損害賠償を請求できなくなります。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
民法第724条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。

まずは、内容証明郵便などで請求し、それでも話にならないときは、家庭裁判所で、調停により話し合いで解決を図り、それでも話にならないときは、裁判所で損害賠償の訴訟を提起することになります。

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