精神病の離婚・・・

精神病の離婚・・・

アルツハイマー病の妻52歳の介護を続けてきた夫42歳からの妻に対する離婚の請求を認めた事例があります。

妻に回復の見込がないとしながら、アルツハイマー病が精神病に該当するかどうかの判断はせず、婚姻を継続し難い重大な事由に該当すると認定して離婚を認めるとしました。

(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

精神病離婚については、判例の法理は、単に不治の精神病になったという一事をもって離婚を認めるものではなく、病者の今後の療養、生活について、できるだけの具体的な方策を講じ、ある程度その前途に見込みをつけた上でなければ離婚は認めないとしています。

精神病の程度が不治とまでいえない場合、婚姻を継続し難い重大な事由に該当するかを判断するとされます。

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別居中の夫の婚姻費用・・・

民法では、「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と定め、また、「夫婦は、その資産・収入をその他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と定めています。

(同居、協力及び扶助の義務)
民法第752条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

(婚姻費用の分担)
民法第760条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

夫は別居しているからといって、妻と子に対して生活費を支払わなければなりません。

この生活費を婚姻費用といいます。

夫が応じなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担の申立てをします。

調停で話し合いがまとまらないと、裁判所は審判で支払を命ずることになります。

この婚姻費用分担義務は、家庭生活の基盤ですから、離婚を求めて協議中、調停中、訴訟中であっても免れることはできません。

別居して生活を共にしていないからという抗弁は許されないとされます。

少なくとも婚姻が継続している以上、夫は妻に対し婚姻費用を分担する義務があるといわなければならず、その額は、双方が同じ程度の生活を維持するに足りるものでなければならないとした事例があります。

家庭裁判所は、調停が成立する前であっても、とりあえず臨時の処分として毎月の応分の生活費の支払を命ずることができるし、事情のいかんによっては夫の財産の仮差押や仮処分などの必要な保全処分をとる方法もあります。

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離婚の際の財産の清算・・・

離婚の際には、夫婦の財産をどのように清算するかが問題になります。

夫婦各自が結婚前から持っていた財産や結婚後に第三者からの相続や贈与など各自の名義で得た財産は、それぞれ自分のものであり、夫婦が共同で作り上げた財産はたとえその名義が誰のものにしていようと実質上夫婦のものであるならば、これを平等に分けることができます。

これを財産分与といいます。

財産分与の請求権は、とくに働いて収入を得なくても、家事をし、子供を育てるというだけをしていた妻にも、当然に認められています。

夫が名義人だと言い張り、店も住宅も貯えも妻に与えないというならば、財産分与請求を家庭裁判所に申し立てます。

このようにして夫婦の財産を分けても夫婦の一方がただちに生活に困るとき、他の一方は相当の額を与えなければなりません。

この財産分与の請求は、離婚に際して行うものであって、婚姻継続中はすることはできませんし、離婚後2年が経つと請求することができなくなります。

また、財産分与とは別に、不貞などの離婚原因がある場合には、併せて慰謝料の請求ができます。

(財産分与)
民法第768条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から2年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。

(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

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