離婚と子の連れ去り・・・
判例では、離婚係争中の夫が妻のもとに監護されている2歳の子を実力で連れ去った行為について、未成年者略取誘拐罪が成立するとした事例があります。
(未成年者略取及び誘拐)
刑法第224条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
父母の婚姻中は、原則として、父母が共同して親権を行ないます。
親権の中身は、身上監護権と財産管理権に分かれます。
身上監護権とは、子の身の回りの世話をしたり、しつけをしたりすることです。
親権者は通常、監護権者でもあるわけですが、監護権だけを他の人に委託することもできます。
親権者、監護権者が勝手に子を連れ去られたときは、相手に対し、その子の引渡しを請求する権利があります。
離婚のときは、必ずどちらか一方を親権者と決めなければ離婚届は受け付けられません。
話し合いがつかなければ、家庭裁判所の調停で決めることになります。
離婚に至らなくても、別居状態になれば、どちらかが引き取って監護しなければなりません。
そこで、監護に関する申立てとは別に、審判前の保全処分を申立て、審判で看護者と定め、仮に引き渡せ、いう仮処分を求めることができます。
この仮処分には強制執行力があります。
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外国人との離婚・・・
外国人との離婚の手続については、外国で離婚する場合と日本で離婚する場合とで異なります。
外国で離婚する場合にその離婚が日本法からみても有効であるためには、離婚手続が次の順序で法律にのっとっていることが必要です。
①夫婦の本国法が共通である場合はその本国法
②夫婦に共通の本国法がない場合は夫婦の共通の常居所所在の法律
③夫婦に共通の本国法も共通の常居所地法もない場合には夫婦に最も密接な関係がある地の法律
外国で日本人妻と外国人夫が離婚する場合には、夫婦共通の本国法はないので、夫婦の共通の常居所地法か、夫婦に最も密接な関係ある地の法律に従って離婚することになります。
ただし、日本人は日本の戸籍役場にすでに離婚が成立した旨の報告的な離婚届書を提出しなければなりません。
国際結婚をした夫婦が日本で離婚する場合、夫婦の本国法が同一であればその法律を、そのような法律がない場合は夫婦が実際に住んでいる国が同一であればその国の法律を、その法律がない場合は夫婦に最も密接な関係を有する国の法律を段階的に適用するとした上で、日本人配偶者が日本に常居所地を有する場合に常に日本法を適用するとしています。
日本人と外国人の夫婦についてはもともと同一の本国法はありません。
常居所地とは、現実に生活の本拠としている場所とされています。
日本人の場合は住民登録がされていれば、日本に常居所地があると認められます。
外国に住んでいる間に日本の住民登録を抹消しても、日本に帰国し住民登録をすれば帰国後の期間を問わず常居所地があると認められます。
外国人の場合は、日本における在留資格により常居所地があるかどうかの認定が異なります。
①観光・親族訪問などの短期滞在の場合は、たとえ更新し結果的に長く滞在していても日本に常居所地があるとは認められません。
②永住者、日本人の配偶者等などの場合は日本に1年以上在留していればよいとされます。
③投資・経営、留学、研究などの場合は、日本に5年以上在留していることが必要です。
ですので、日本人と外国人が日本で離婚する場合には、ほとんどの場合に日本法が適用されます。
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妻の性交渉拒否の慰謝料・・・
妻が性交渉を拒否し続けている場合、離婚請求し、慰謝料を請求できるかについて、判例では、離婚請求でき、また慰謝料も請求できるとしています。
性交渉をしないことを承知で結婚したというような特別な事情のない限り、夫婦の一方が性交渉を拒否し続ければ、もう一方はこれを理由に離婚することができます。
(裁判上の離婚)
民法第770条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第1号から第4号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
この正当な理由のない性交渉の拒否は、民法770条の「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するとして、原則として相手方の意思にかかわらず離婚することが認められるとされます。
この「正当な理由」とは、傷病や高齢などの理由により、性交渉を行なうことが身体に危険である場合や、妊娠中の妻で母体や胎児に悪影響を与えるおそれがある場合、性交渉しないことを合意のうえで結婚していた場合などをいいます。
一年の婚姻期間中、一度も性交渉に応じなかった妻に対して、夫に対する債務不履行ないしは不法行為責任が認められ、妻に慰謝料150万円が命じられた事例があります。
ポルノにのめりこんだ夫が妻との性交渉を拒否したため、妻から離婚された上、500万円の慰謝料を支払いを命じた事例があります。
もし夫が暴力などで無理に性交渉に及んだ場合は、妻に対する強姦罪が成立します。
夫婦や恋人同士であれば強姦はありえないと考えがちですが、強姦罪は親告罪なのでこれにより起訴されるのが少ないというだけで、0%ではないのです。
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