結婚の無効と取消・・・
結婚の無効は、結婚が初めから効力を生じない場合をいい、結婚の取消は、結婚が形式的には成立していても実質的要件をそなえていないため、これを取消すことによってその結婚は将来に向かって効力を失う場合をいいます。
結婚は、次の2つの原因がある場合、無効となります。
①当事者間に結婚する意思がないとき
②結婚届をしないとき
結婚届をしないときは、法律上結婚の成立はしませんから、無効が問題になることはありません。
結婚の無効原因は、結婚の当事者間に結婚の意思がなく、しかも形式的には結婚が成立しているという状態の場合だけに限られるといえます。
当事者間に結婚の意思がない場合の例としては、次のような場合があります。
①当事者の一方が、相手方を人違いして結婚した場合
②本人が知らないうちに結婚届が提出された場合
③被後見人の精神状態が平常に復していないときに届出がなされた場合
④甲と結婚するつもりで届出をしたのが、錯誤によって乙との結婚届が提出された場合
結婚の取消原因は、次の2つがあります。
①結婚の実質的要件を欠く場合は、取消の原因となります。
例えば、不適齢の結婚、重婚、近親婚、待婚期間無視の結婚などは、これに当たります。
②詐欺、強迫にもとづく結婚
結婚が無効であるときは、戸籍訂正の手続として、結婚の無効の判決又は審判が必要となります。
家事審判法に基づく調停手続によりますが、その不調のときは審判手続によります。
また、人事訴訟手続法にしたがって判決を求めたうえで、戸籍訂正の手続をとります。
結婚の取消については、無効の場合と同じように調停又は審判あるいは判決によって、取消の手続が必要です。
結婚の無効又は取消しは、いずれも裁判所によって行なわれ、当事者の合意でその効力を生ずるものではありません。
合意によって事実上の結婚の無効、取消しをしたときは、法律的には協議離婚となります。
結婚の無効は結婚の時に遡ってその効力を生じます。
当事者間には初めから夫婦としての法律関係を生ぜず、その間に生まれた子も嫡出子となりません。
結婚の取消しは、遡ることなく、将来に向かって効力を失います。
夫婦間に生まれた子は嫡出子となり、準正子の嫡出子である身分にも変更がありません。
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夫婦の同居の義務・・・
夫婦は同居の義務を負います。
この同居は、夫婦としての同居であって、たんに場所的同一ではありません。
夫婦は男女両性の終生の共同生活を目的とする性的結合関係であることから、夫婦には同居の義務があるとされます。
これに反して、場所的同一性がないと認められるものでも、職業、社会的地位、財産、収入その他の事情で、一時的に別居している夫婦の場合には、同居でないとはいいきれません。
夫婦の別居の合意は、それが無期限であるときは無効とされます。
また、一定期間の別居の合意も、相手方からの同居の請求を拒否する理由とはなりません。
夫婦の同居の場所は、夫婦の協議によって定めます。
また、夫婦の一方は他方に対して同居することを求めることができます。
結婚が適法に成立すると、当事者である夫婦間に次の法律上の効果を生じます。
<身分上の効果>
①当事者は配偶者である身分を取得し、貞操義務が生じ、氏を同じくします。
②同居、協力、扶助の義務を生じます。
③未成年は成年とみなされます。
④結婚当事者以外の者、すなわち配偶者の親族との間に姻族関係を生じます。
⑤父の認知した子は、父母の結婚によって準正を生じ嫡出子となります。
<財産上の効果>
①夫婦が結婚の届出前に、契約を結び、これを登記したときは、夫婦財産契約として夫婦の承継人及び第三者に対抗することができます。
②契約しなかったときは、その財産関係は、法定財産制とよばれ、
□結婚費用の共同分担
□日常家事の連帯責任
□別産制
となってあらわれます。
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夫婦同氏の原則・・・
結婚すると、夫婦は同一の氏を称しなければなりません。
これを、夫婦同氏の原則といいます。
氏は、名と合わせて各人の同一性を示す符号的呼称とされています。
夫婦とその間に生まれた子は、親族法上の一単位であるとして取り扱われることから、氏の取得及び変動は、夫婦同氏の原則を基本とします。
①夫婦は結婚するとき、夫か妻の氏のどちらを称するか任意に決めます。
②夫婦が別氏のまま結婚することは認められません。
③結婚に際して、全く新しい氏を称することはできません。
④結婚のとき届出した氏を、後で変更することはできません。
ただし、特別の事由があるときは、家庭裁判所の許可の審判を得て変更することが認められます。
結婚の届出があったときは、夫婦の戸籍が新しく作られ、親とは別の戸籍になります。
夫婦は同氏を称しますが、配偶者が死亡すると、生存配偶者は、市区町村長に届出をして、結婚前の氏に戻ることができます。
また、夫と死別した妻は、届出によって結婚前の氏に戻っても、依然として亡き夫の三親等内の親族とは親族関係にあります。
この親族関係をなくするには、姻族関係終了の届出が必要です。
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