親権の消滅・・・

親権の消滅・・・

親権は、親が子を保護教育するためにあり、子が成年に達するか、又は結婚によって成年とみなされるようになったとき、当然に消滅します。

親権は法律の上で子が未成年である期間だけのものです。

子が養子縁組をすると、その子に対する実親の親権はなくなり、養子が離縁となると養親の養子に対する親権がなくなります。

このほか、父母が離婚したときや、父が非嫡出子を認知したときには、親権者指定とか親権者変更の協議や、家庭裁判所の調停、審判によって、親権者であった者が親権者でなくなります。

これらは、親権者がその責任を問われて親権者の地位を失うというのではなく、子が親権を必要としない年齢に達したか、又は子の生活環境の変化などによって親権を行なうことが困難になったため、親権者を変更する必要の生じたことが原因となっています。

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親権喪失の宣告・・・

民法834条は「父又は母が、親権を乱用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる」と規定しています。

(親権の喪失の宣告)
民法第834条 父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる。

親権の乱用というのは、居所指定、懲戒、職業許可、財産管理、代理などの権限を行き過ぎて行使することを指します。

また、著しく不行跡であるときというのは、例えば、父又は母が遊蕩、賭博、酒乱、麻薬常用などの不品行があって、子の心身の保護教育に害があるとみられるような場合を指します。

父母の一方だけが親権者であるとき、例えば、子が非嫡出子であるときの親権者は母だけであるのが通常ですが、この母が不行跡で子のために悪影響があるような場合には、その親権を剥奪するという強い手段をとらず、親権者変更の手続をとることもあります。

また、子に親がある場合でも、親でない者が親権者となるほうが子のためによいと考えられるときは、親でないものが親権者となることもあります。

親権喪失の宣告は、父母の一方について、又は多数の子のうち1人に対する親権だけについて、その喪失を宣告することもあります。

親権喪失の申立てがあったときは、家庭裁判所でその審判をすることになりますが、この審判では、親権者の権利の乱用又は不行跡が、どの程度のものであるかが検討されます。

また、母の再婚が不行跡とはいえず、親権喪失の原因とすることはできません。

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親権の管理権の喪失宣告・・・

親権者である父又は母が、管理の失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告することができます。

これを管理権の喪失宣告といいます。

管理権の喪失宣告は、親権者から子の財産の管理権を剥奪しますが、親権そのものを剥奪するのではなく、親権の一部である管理権を剥奪します。

管理権の喪失宣告は、子の親族又は検察官の請求によって、家庭裁判所が審判をします。

この請求は、親権者が管理の失当であったことによってその子の財産を危うくした場合であって、子の財産の滅失や減少をまねいたこと、及びそのことが親権者の失当な管理に起因するものであることを立証しなければなりません。

例えば、親権者が投機のために子の財産を支出したり、自己の用途に子の財産を費消したような場合には、子の財産を危うくしたことになります。

失当であるとは、必ずしも親権者の悪意に基づくことを要件とせず、善意に基づくものであってもその責を免れません。

管理権の喪失宣言があったときは、その確定によって、親権者は子の財産の管理権を失います。

共同管理者の一方について管理権の喪失宣告があったときは、未成年の子に対する身上の監護は、共同して行ないますが、財産の管理は、管理権の喪失宣告を受けてない他方が単独で行なうことになります。

単独親権者が管理権の喪失宣告を受けたときは、管理権だけを行なう後見人が選任されて、この後見人が財産の管理をします。

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