万引きと間違われて損害賠償・・・
スーパーで買い物中、持っていたバックの中に他の店で買った商品を入れておいたため、警備員に万引きと間違われて、取調べを受けました。
持ち物を洗いざらい調べられ、着衣のままですが身体まで調べられました。
疑いは晴れないまま、帰してもらいましたが、この精神的苦痛を賠償請求したいのですが?
お店の店員などがこのように万引きの発見や取締りを継続的にやっていると、それに慣れてきて、自分が権限や権力を持っているかのように思い込んでしまうことも多く、警察まがいに取り調べたり、有無を言わさず文書を書かせたりすることもあるようです。
しかし、防犯担当といっても、民間人であって警察ではありませんから、仮に犯人がいたとしてもできることは一般の私人ができるとされている以上にできるものではないのです。
一般の私人が犯人に対してできることは、現行犯又は現行犯と思われる者を、逮捕することです。
逮捕した後は、直ちに警察官などに引き渡す必要があり、取調べをしたりする権限は一切ありません。
スーパーの警備員も同じで、できることといえば、現行犯あるいはそうと思われる一定の者を逮捕、身体の事由を一時的に奪って拘束しておくことだけです。
その後は速やかに警察に連絡して引き渡さなければなりません。
これは法律的な権限であり、強制的にできることです。
任意に相手の同意を得てなす場合には、それ以上のこと、例えば住所氏名を聞くとか持ち物を見せてもらうとかも一定の範囲でできます。
ですので、真の犯人かの確認のためや、大したことではないので警察に引き渡さないが、今後のこともあるので氏名等を聞いておく等のために、一応の調査をする程度は許されます。
しかし、本件のように強制的に身体を調べるようなことは許されず、慰謝料請求することができます。
大した根拠がないのに窃盗と疑われて警察に通報され、駐在所で取調べを受けたという事件について慰謝料3万円とされた事例があります。
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死者の名誉毀損の損害賠償・・・
学者である恩師が亡くなり、その死後、この恩師が生前に女生徒に子供を産ませていたという事実無根の話を週刊誌が掲載しました。
恩師の名誉のためにも謝罪広告を求めようと考えています。
死者の名誉が毀損された場合、死者にも人格権があると考えて、これを侵害すると不法行為になるかが問題となります。
死者は当然おりませんので、遺族などの一定の身分関係のある者が死者を代位して権利を行使することになります。
しかし、裁判所は、死者に対する不法行為の成立を認めず、その遺族などに対する不法行為として認めるとしています。
死者の名誉を毀損する行為が、遺族の名誉や死者に対する敬愛の念などを侵害するから、遺族に対する不法行為になるとするのです。
判例では、死亡したエイズ患者の写真掲載の事件の判決は、死者の人格権はこれを認めることができないとしました。
加えて、このような報道により亡**に対する敬愛追慕の情を侵害されたから、本件報道は、原告らの右人格権を侵害するものである、としています。
死者の名誉毀損は、死者に対する不法行為は成立せず、遺族などの人格権的利益を侵害するものとしてそれらの者に対する不法行為を認めています。
死者の名誉毀損によって直接に不法行為の成立が認められるのは、遺族等何らかの身分関係のある者に限っています。
現に恩師に関する事件についての判例は、原告の恩師に対する敬愛追慕の情が仮に毀損されてたとしても、同人の遺族でもない原告の右の情念は法律上保護される範囲外のものであるとしています。
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ネット上の名誉毀損の損害賠償・・・
インターネット上で、セクハラ行為ををしていると書き込みがされ続け、また誰が書き込んでいるかもわかりません。
措置のしようがないのですが?
インターネット上の掲示板への書き込みは、1日に数十万件にも上ると言われ、また書き込みをする者は、誰であるかを知られることなくできるため、勝手な内容を書き込むことができます。
書き込みが不当なものであれば、法的には、刑法の名誉毀損罪、侮辱罪に該当するので告訴ができ、また、民事的には不法行為として損害賠償の請求ができるのですが、書き込みをしている加害者がどこの誰かがわかりません。
(名誉毀損)
刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(侮辱)
刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。
(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
ホームページや掲示板のサービスを提供しているインターネット・サービス・プロバイダーを相手にしても、プロバイダーが加害行為をしているわけではないので、法的責任は問えませんし、書き込みの削除や事前チェックによる防止を求めても書き込み者の表現の自由の侵害となることなどを理由として拒否されます。
書き込み者を明らかにするよう求めても、プライバシーや書き込み者との約束などを理由に応じてくれません。
しかし、このような状況の下でも、プロバイダーの責任を認めた判例もあります。
「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」通称「プロバイダ責任法」が制定されました。
この法律は、プロバイダーが違法と思われる内容でも削除をためらっていた主な理由が発信者に対する責任を生ずることにあったことから、一定の場合には削除してもその責任を生じないとしています。
被害者はその場合には削除を求めることができることになりました。
逆に一定の場合には、削除しなくても被害者に責任を負わないことも定められています、
また、一定の場合には被害者からの発信情報の開示の請求の権利も認めており、同法に基づき発信者情報の開示を命ずる判例も出されています。
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覗き見の損害賠償・・・
寝室や風呂場に向いた窓が隣家の2階にあり、そこから隣の大学生が、見下ろして覗き見するので困っているのですが、どうにかできませんか?
他人の住居や浴場を盗み見することは、法律上、犯罪となります。
他人の住居とか浴場、便所などの、他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかに覗き見る行為は、軽犯罪法違反として勾留又は科料に処せられます。
隣家の大学生が覗き見を継続するようなら、写真等の証拠をとって警察へ相談できます。
また、家を見下ろせるような窓の存在も問題です。
民法では、窓が土地境界より1メートル未満の距離内にある場合は目隠しをつけなればならないと定めています。
民法第235条 境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
2 前項の距離は、窓又は縁側の最も隣地に近い点から垂直線によって境界線に至るまでを測定して算出する。
この条件に合う場合は、覗き見があったか否かにかかわらず、目隠しをつけるよう請求できます。
覗き見されたことによる損害賠償については、プライバシーの侵害として精神的苦痛の慰謝料を請求することができます。
覗き見のプライバシー侵害の賠償を、覗き見した者ではなく覗き見可能な建物の所有者に対して請求したところ、一応の観望の遮断を講じていることなどを理由として認められなかった事例があります。
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