根抵当権とは・・・

根抵当権とは・・・

根抵当権とは、一定の範囲に属する不特定の債権を一定額の限度において担保しようとするものです。

根抵当権設定の時点では、それが担保すべき債権の金額は確定していません。

例えば銀行と商人との当座貸越契約のような継続的な取引関係がある場合に、それから生ずる債権につき、最高額を決めておき、ある時期において現存する債権額を担保するのが根抵当権です。

普通の抵当権の場合は、被担保債権が弁済などによって消滅してしまうと、抵当権も消滅してしまいます。

しかし、根抵当権は、債権が増減し、又は債権額がゼロになったとしても、根抵当権は消滅することなく、債権が発生すれば根抵当権による被担保債権になります。

担保物権の原則として、抵当権は被担保債権とその成立、変更、消滅に附従する附従性があります。

この根抵当権では、継続的な取引期間を通じ、債権額が随時増減しても、根抵当権自体に影響される事はなく、約定された一定の時期に存在する極度額までの債権を担保します。

ですので、根抵当権については、附従性はありません。

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根抵当権の債権の範囲とは・・・

根抵当権は、設定行為で定める一定の範囲に属する不特定の債権を極度額を限度として担保します。

債権者、債務者間で、何の限定もせずに取得する全ての債権を担保するというような担保設定契約を結ぼうとしても、それは認められません。

根抵当によって担保される不特定の債権の範囲は、次の方法によって定められています。

①債務者との特定の継続的取引契約によって生ずる債権

②債務者との一定の種類の取引によって生ずる債権

③特定の原因に基づいて債務者との間に継続して生ずる債権

④手形、小切手上の債権

根抵当権は上記の方法によって定められた範囲に属する債権を極度額を限度として担保します。

極度額については、かつて債権極度額と元本極度額という定め方が行われていましたが、債権極度額に統一されました。

債権極度額とは、元本のみに限らず、利息や損害金などを含めての金額の限度をいいます。

元本極度額とは、元本債権の限度額をいいます。

根抵当権の設定にあたっては、この極度額が定められる事が必要です。

また、極度額の変更は後順位抵当権者その他の利害関係人の承諾がある場合に限って認められる事になっています。

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根抵当権の確定とは・・・

根抵当権とは、一定の範囲に属する不特定の債権を担保するもので、ある時点において存在する債権額を極度額を限度として担保します。

増減変動する不特定の債権を担保する根抵当権も、被担保債権が特定され、新たに担保すべき債権が以後現れないという状態になるときが来ます。

根抵当権の被担保債権である元本債権が特定した状態になる事を根抵当権の確定といいます。

ある継続的取引関係から生ずる債権を担保にする根抵当権は、その継続的な取引が終了すれば、新たな元本債権が被担保債権になることもなくなり、根抵当権はそれまでに発生し存続する債権だけを担保するものになります。

このように被担保債権が特定する事を根抵当権の確定というわけです。

根抵当権は確定すると、確定時における被担保債権の額を担保する事になります。

根抵当権が確定する事由は次になります。

①根抵当権者と設定者との間で確定すべき期日を定めている場合に、その確定日が到来した時。

確定日を定めるかどうかは当事者の自由ですが、これを定める場合には、その定めをした日から5年以内の日でなければなりません。

②根抵当権設定の時より3年を経過し、根抵当権設定者が確定の請求をした時。

確定の請求があったときは、その請求ののち2週間を経過した時に根抵当権は確定します。

③根抵当権者が元本確定を請求した時。

④根抵当権者が抵当不動産につき競売、担保不動産収益執行又は物上代位による差押(滞納処分による差押を含む)を申し立てた時。

⑤他の債権者による根抵当権不動産に対する競売の開始又は滞納処分による差押があった場合において、根抵当権者がそのことを知ってから2週間が経過した時。

⑥債務者又は根抵当権設定者が破産手続開始の決定を受けた時。

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根抵当権設定契約書のひな形とは・・・

根抵当権設定契約書

****株式会社を甲、株式会社****を乙とし、甲乙は、次の通り根抵当権設定契約を締結する。

第1条 乙は、甲に対し、乙の甲に対する下記の債務を担保するため、その所有する後記土地(以下「本抵当物件」という。)に次の根抵当権を設定する。

1、被担保債権の範囲

(1)甲乙間の平成**年**月**日付継続的****契約により甲が取得する債権

(2)金銭消費貸借取引による一切の債権

(3)手形、小切手債権

2、極度額 金***万円也

3、確定期日 平成**年**月**日

4、債務者 株式会社****

第2条 乙は、甲に対し、本根抵当物件について、ただちに根抵当権設定登記手続をし、その登記事項証明書を提出しなければならない。

第3条 乙は、甲の承諾なくして本根抵当物件を他に譲渡、賃貸又は担保に供するなど、その他甲に損害を及ぼす行為をしてはならない。

第4条 本契約による根抵当権について、甲から被担保債権の範囲の変更、極度額の増減、確定期日の延長の申出があったときは、乙は、異議なくこれに応ずるものとする。

第5条 本契約書の作成並びに登記手続に要する費用は、乙の負担とする。

物権の表示

所在 東京都************

地番 **番

地目 宅地

地籍 ******平方メートル

平成**年**月**日

住所 ***********

債権者(甲) ****株式会社
代表取締役 **** 印

住所 ***********

債務者(乙) 株式会社****
代表取締役 **** 印

根抵当権設定等契約書のひな形(代物弁済)とは・・・

根抵当権設定等契約書

****株式会社を甲、株式会社****を乙とし、甲乙は、次の通り根抵当権設定契約を締結する。

第1条 乙は、甲に対し、乙の甲に対する下記の債務を担保するため、その所有する後記土地(以下「本抵当物件」という。)に次の根抵当権を設定する。

1、被担保債権の範囲

(1)甲乙間の平成**年**月**日付継続的****契約により甲が取得する債権

(2)金銭消費貸借取引による一切の債権

(3)手形、小切手債権

2、極度額 金***万円也

3、確定期日 平成**年**月**日

4、債務者 株式会社****

第2条 乙は、甲に対し、本根抵当物件について、ただちに根抵当権設定登記手続をし、その登記事項証明書を提出しなければならない。その登記手続費用は、乙の負担とする。

第3条 乙は、甲の承諾なくして本根抵当物件を他に譲渡、賃貸又は担保に供するなど、その他甲に損害を及ぼす行為をしてはならない。

第4条 本契約による根抵当権について、甲から被担保債権の範囲の変更、極度額の増減、確定期日の延長の申出があったときは、乙は、異議なくこれに応ずるものとする。

第5条 甲が増担保又は代わり担保の提供を乙に対し請求するときは、乙は、遅滞なくこれを提供し、それについて甲の指示する手続を行うものとする。

第6条 乙は、本根抵当物件を善良な管理者の注意をもって使用、管理し、その担保価値の保全に努めなければならない。本根抵当物件の全部又は一部につき滅失又は毀損を生じたときは、乙は、ただちに甲に通知するものとする。

第7条 甲は、その選択により、本根抵当権の実行に代え、本根抵当物件全部を代物弁済としてその所有権を取得することができる。

二 乙は、本契約後ただちに本根抵当物件につき、甲のための上記代物弁済予約に基づく所有権移転請求保全仮登記手続をする。その登記費用は、乙の負担とする。

第8条 乙において第1条記載の債務を弁済せず、甲が前条1項により本根抵当物件の所有権を取得しようとするときは、甲は、乙に対し、代物弁済を求める意思表示を、下記事項を記載した配達証明付内容証明郵便で表示することによって完結する。

1、通知が乙に到達した日から2ヶ月の期間(以下「清算期間」という。)経過するときの見積金額

2、前号のときの債権(元本、利息、遅延損害金)並びに乙が負担すべき費用で甲が乙に代わって負担したもの(以下「本件債務等」と総称する。)の額

3、1号の見積額が本件債権等の額を超えるときは、乙に支払うべき精算金の見積額

第9条 清算期間内に乙が甲に対し、本件債務等を弁済した時には、甲は、乙に対し、第7条2項の所有権移転請求権保全仮登記の抹消手続をする。その登記手続費用は、乙の負担とする。

第10条 乙が清算期間内に本件債務等の弁済をしなかったときは、甲は、本根抵当物件の所有権を確定的に取得し、乙は、甲に対し、ただちに本根抵当物件を引渡し、第7条2項の仮登記の所有権移転本登記手続をしなければならない。その登記手続費用は、乙の負担とする。

二 前項の場合、清算期間経過時の本根抵当物件の時価が本件債務等の金額を超過するときは、甲は、乙に対し、本根抵当物件の引渡し及び前条の本登記を受けるのと引き換えに精算金を支払う。

三 第1項の場合、清算期間経過時の本根抵当物件の時価が本件債務等の金額に満たないときは、乙は、甲に対し、ただちにその不足額を支払わなければならない。

物権の表示

所在 東京都************

地番 **番

地目 宅地

地籍 ******平方メートル

上記契約成立の証として本書2通を作成し、甲乙、各その1通を所持する。

平成**年**月**日

住所 ***********

債権者(甲) ****株式会社
代表取締役 **** 印

住所 ***********

債務者(乙) 株式会社****
代表取締役 **** 印

根抵当権設定契約書を作成する・・・

根抵当権の設定にあたっては、被担保債権の範囲を定める必要があります。

極度額も定めます。

債務者も根抵当権設定契約書で定めておきます。

確定期日を契約で定めておくかは自由です。

定める場合は、その定めをした日から5年内の日でなければなりません。

根抵当権を設定すべき不動産も、登記簿の表題部と一致するよう正確に記載します。

登記をすべき義務についても定めておきます。

登記に要する費用は、債務者側が負担する場合が多いですが、債権者と双方で負担すると定めてもよいわけです。

数個の不動産に根抵当権を設定する場合は共同担保とするかどうかを明記します。

建物を根抵当物件とする場合は、建物につき、火災保険契約を締結し、根抵当権者のためにその保険金請求権のうえに質権を設定する旨の約定をしておきます。

「第*条 本根抵当権の存続中、乙は、本根抵当物件について、甲の承認する保険会社に保険金***万円以上の火災保険契約を締結し、甲のために、その保険金請求債権の上に質権を設定するものとする。」

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