抵当不動産競売の入札から配当・・・

抵当不動産競売の入札から配当・・・

抵当不動産競売の不動産の売却は、裁判所の定める売却の方法によって行われますが、この方法には、入札又は競り売り、特別売却があります。

これらのいずれの売却方法をとるかは、裁判所の裁量に委ねられています。

入札には、入札期日に入札をさせた後に開札を行う期日入札と、入札期間内に入札書によって入札をさせ、開札を行う期間入札という方法があります。

入札又は競り売りの方法によって売却をするときは、裁判所は売却の日時と場所を定め、執行官に売却を実施させなければなりませんが、その場合は売却すべき不動産の表示、最低売却価額並びに売却の日時、場所が公告されます。

期日入札の方法による場合は、入札期日の2週間前までに裁判所は所定の事項を公告します。

入札期日等の日時、場所は差押債権者や債務者に、配当要求している債権者など利害関係人に通知されます。

入札は入札期日に所定の事項を記載した入札書を執行官に差し出す方法によって行われます。

入札が締め切られると開札されることになり、執行官は開札が終わったときは最高価買受申出人を定め、その氏名や入札価額を告げます。

最高価買受申出人が決まり、裁判所が売却決定期日に売却許可決定をし、これが確定すると、換価手続は終了する。

買受人は代金納付期限までに代金を裁判所に納付し、この代金納付した時にその不動産を取得することとなり、登記も受けることになります。

裁判所は買受人から代金が納付された場合、債権者が1人のとき又は2人以上であっても売却代金で各債権者の債権と執行費用全部を弁済することができるときは、弁済金交付の日を定め、売却代金の交付計算者によって債権者に弁済金を交付します。

そうでないときは、配当期日を定め、配当表を作り、これに基づいて配当が行われます。

なお、差押債権者の申立に基づき、執行官が不動産の買受を希望する者をこれに立ち入らせて見学させる内覧制度があります。

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抵当権の優先弁済の範囲・・・

抵当権の競売によって優先弁済を受ける範囲はどこまでかについて、被担保債権の元本は、当然担保されます。

利息、遅延損害金などについても優先弁済を受けることができますが、これは満期となった最後の2年分だけになります。

(抵当権の被担保債権の範囲)
民法第375条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の2年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない。

ただし、他に後順位抵当権者や他の債権者がいない場合は、抵当権者は延滞している利息全額の弁済を受けることができますし、また、そうでない場合でも抵当権者のほうで、延滞されている利息などについて、満期後、特別に登記をすれば、その事情を後順位抵当権者や一般債権者も知ることができるので、その延滞利息等についても、登記の時より優先弁済権を取得することとされています。

抵当権者が利息のほかに弁済期経過後の遅延損害金についても、優先弁済を受けようという場合で、延滞利息があるときは、優先弁済を受けようという場合で、延滞利息があるときは、優先弁済を受けられる遅延損害金は、延滞利息と通算して満期となった最後の2年分です。

根抵当権は、確定時において存在する元本及び利息、遅延損害金、並びに確定後配当時までに生ずる利息、遅延賠償の全部を極度額で担保しますから、制限はありません。

極度額の範囲内であれば、何年分でも優先弁済を受けられます。

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担保不動産収益執行の仕組み・・・

担保不動産収益執行の申立は、抵当権者のほか、一般先取権者、不動産先取権者、不動産質権者にも認められています。

管轄裁判所は、不動産所在地を管轄する地方裁判所です。

申立権者の申立により、執行裁判所は不動産収益執行の開始を決定します。

その開始決定において、当該不動産を差押さえる旨が宣言され、債務者に対して収益の処分を禁止し、債務者に賃料等を支払うべき給付義務者がいるときは、その者に賃料等を管理人に交付すべき旨が命じられます。

執行裁判所は、開始決定と同時に管理人を選任し、管理人の資格に制限はないとされます。

管理人は、管理、収益の収受、換価することができ、債務者の占有を解いて、自ら不動産を占有することも可能です。

管理権限が認められているので、管理人は、賃貸借契約の解除、更新等を行い、新たに賃貸借契約を締結することもできます。

収益の収受は、後に収穫すべき天然果実及び既に弁済期が到来し、又は後に弁済期が到来すべき法定果実を対象としています。

法定果実とは、物の使用の対価として受けるべき金銭その他の物をいい、不動産の賃料等を指します。

管理人は、賃料等の収益を収受した上で、不動産に課される租税その他の公課及び管理人の報酬とその他の費用を控除した残額について執行裁判所の定める期間ごとに、配当等に充てるべき金銭の額を計算して、配当等を実施しなければなりません。

ただし、管理人が配当するのは、配当額について債権者間の協議が調った場合に限られ、協議不調の場合は、管理人がその執行裁判所にその旨を届け出て、執行裁判所が配当を実施することになります。

配当を受けられるのは、執行裁判所が定める配当金計算期間の満了までに、強制管理の申立をした者、一般の先取特権の実行として不動産収益執行の申立をした者及び不動産収益執行の開始決定の差押登記前に登記された担保権に基づき不動産収益執行の申立をした者です。

また、不動産収益執行の開始決定前に、物上代位による差押、仮差押命令を得ていた者も、不動産収益執行手続の中で配当を受けることができます。

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