権利質とは・・・

権利質とは・・・

質権には動産質、不動産質、権利質という種類があります。

目的物が動産、不動産、財産権のいずれかであるかによって、民法にそれぞれの特則がおかれていますので、質権設定や対抗要件をそなえるためには、動産質、不動産質、権利質の特則について、手続を進める必要があります。

民法は債権、株主権、無体財産権などの財産について質権の設定を認めています。

権利質の目的となる財産権も、譲渡可能性のある権利でなければなりません。

平成15年の民法改正で、指名債権に質権を設定する場合には債権証書の交付が必要ではなくなりましたが、手形、小切手、貨物引換証など、譲渡にあたり証書の交付が必要なものについては、その交付がなければ質権設定の効力が生じません。

権利質の第三者に対する対抗要件は、質権の目的である債権の種類によって異なります。

その対抗要件は次になります。

①指名債権(債権者が特定されている普通の債権)

債権者からの債務者への通知または承諾が対抗要件になっています。

②指図債権(特定の人又はその指図人に弁済すべき証書的債権、手形、小切手等)

民法では証書の裏書が対抗要件になっています。

③無記名債権

無記名債権は動産とみなされ、動産質の規定が適用されます。

証書の占有の継続が質入の対抗要件となります。

債権質権者は質入債権の利息などを取り立てて、それを弁済に充当する事ができますし、質権の目的となっている債権を直接取り立てることもできます。

質権者の債権のほうが弁済期に達する前に、質入債権のほうが先に弁済期に達した時は、質権者は第三債務者にその弁済金額を供託される事ができ、供託されたときは供託金返還請求権のうえに質権が存続する事になります。

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債権質設定契約書のひな形とは・・・

債務弁済並びに債権質設定契約

****株式会社を甲、株式会社****を乙とし、甲乙は、本日、次の通り契約を締結する。

第1条 乙は、甲に対し、本日現在、甲乙間の平成**年**月**日より平成**年**月**日までの間の****取引により生じた代金***万円の未払債務を負担していることを確認する。

第2条 乙は、前条記載の甲に対する債務を次の通り、甲の本店に持参又は送金して支払うものとする。

(1)平成**年**月**日 金***万円

(2)平成**年**月**日 金***万円

(3)平成**年**月**日 金***万円

(4)平成**年**月**日 金***万円

計***万円

第3条 乙が前条記載の弁済を一度でも遅滞したときは、期限の利益を失い、乙は残額を一括で、甲に支払わなければならない。

二 乙が前条記載の弁済期に支払いを怠ったときは、乙は、甲に対し、期限の利益を喪失した日の翌日から支払い済みに至るまで、年**%の割合による遅延損害金を支払わなければならない。

第4条 乙は、甲に対する本件債務の履行を担保するため、次の債権のうえに質権を設定し、甲は、その債権の証書を受け取った。

1、債権者 株式会社****(乙)

2、債務者 ****(第三債務者)

3、元金  金***万円(平成**年**月**日貸付)

4、利息  年**%(平成**年**月分までは支払い済み)

5、弁済期 平成**年**月**日

第5条 乙は、質権設定者として、前条第2号の第三債務者に対し、遅滞なく前条の質権設定を通知するか又は承諾を得なければならない。

二 前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書をもって行う。

第6条 第4条記載の質権は、甲の本件債権元本、遅延損害金及び質権実行の費用を負担するものとする。

本契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙各1通を所持する。

平成**年**月**日

住所 ***********

債権者(甲) ****株式会社
代表取締役 **** 印

住所 ***********

債務者兼質権設定者(乙) 株式会社****
代表取締役 **** 印

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債権質入の通知書のひな形とは・・・

平成**年**月**日

住所 ***********

****株式会社
代表取締役 **** 殿

住所 ***********

株式会社****
代表取締役 **** 殿

ご通知

貴社ご清栄の段大慶に存じます。

さて、貴社当社間の平成**年**月**日付****契約に基づき、当社が貴社に有している末尾記載の****債権につき、当社は平成**年**月**日付をもって、東京都****** ****株式会社のために質権を設定いたしました。

弁済期到来の際には同社にお支払いくださるようお願い申し上げます。

債権の表示

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以上

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流質契約とは・・・

被担保債権について、債務者が弁済期に債務の弁済を行わない時は、質権者はその質権を実行する事ができます。

質権の実行も民事執行法の規定によるのが原則ですが、質権については質権の種類によって、特別な方法による質権実行が認められています。

動産質の場合、裁判所に請求して鑑定人の評価によって質物を弁済に充当する簡易な換価方法や、債権質の場合、質入債権の利息や債権そのものの取立てによる弁済充当があります。

そして、問題になるのが、流質契約です。

流質契約とは、質権設定契約又は債務の弁済期前の契約で、債務者が弁済期に債務の弁済をしないときは質権者に質物の所有権を取得させるという約定です。

質権者にしてみれば、流質契約にすれば、簡単に債権を回収できます。

しかし、民法ではこの流質契約を無効としています。

それは資金繰りに困っている債務者が、被担保債権より高価な質物を要求されれば、それに応じなければならない、などの状況が起こる可能性があるからです。

ただ、質屋に関しては、質屋営業法などで許されています。

また、商行為によって生じた債権を担保するために設定された質権についても、流質契約は許容されています。

なお、流質に関して、当事者の設定契約又は弁済期前の契約によって、被担保債権について、弁済がなかった場合に抵当権者に対して抵当権の目的物の所有権を取得させる流抵当は禁止されていません。

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