機械や器具の担保とは・・・

機械や器具の担保とは・・・

工場に備え付けられている機械や器具は、工場財団を組成している設備の一つですから、工場財団抵当が設定される場合はその目的財団を構成する集合物に含まれ、抵当権をつけることができます。

この場合は、工場の企業設備をひとまとめにして抵当権を設定しますから、機械・器具の集合物として、担保を取ります。

工場の所有者が工場に属する土地、建物に抵当権を設定した時は、その土地や工場に備え付けられている機械や器具にも抵当権の効力が及ぶ事になります。

抵当権者が第三者に対してこれを対抗するためには、土地、建物の抵当権設定登記の申請をする場合に、機械や器具を記載した目録を提出することが必要です。

抵当権設定契約にも抵当物件の表示にはこれら機械・器具をあげておき、契約では工場抵当法による抵当権をこれらの物件に対して設定する旨を記載する必要があります。

このほかにも機械・器具の担保方法として特殊なものに、建設業法によって登録を受けた建設業者が所有する掘削機械や起重機など一定の建設工事機械に、建設機械抵当法にもとづく抵当権を設定する方法もあります。

また、譲渡担保を設定する方法もあります。

譲渡担保契約は、債権者と機械・器具の所有者との間で結びますが、この場合、契約上の物件の表示は正確に機械・器具のメーカー、製造年月日から型、番号などを記載します。

機械・器具を代金割賦の方法で買い入れ、使用している場合は、売主によって代金完済まで所有権の留保されていますから、譲渡担保契約を結ぶ場合には注意が必要です。

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借地権と借家権の担保とは・・・

借地人は、建物所有のたまに敷地の借地権を有しています。

この借地権には法律上、地上権と土地賃借権とがあります。

地上権というのは、他人の土地において建物などの工作物とか竹木を所有するために、その土地を使用しうる物権をいい、支配権能をもつ強い権利です。

これに対し、土地について地主と賃貸借契約を結び、その契約にもとづいて賃借人が有している権利の事を土地賃借権といいます。

この賃借権は債権です。

担保提供者が地上権だと言うだけで、法律上の地上権であるとは限りません。

ほとんどが土地賃借権です。

借地も地上権によっている時は、その地上権について抵当権を設定する事が可能です。

この場合は、地上権を抵当権の目的物とする抵当権設定契約を債権者と地上権者とで結ぶ事になります。

土地賃借権については、質権の設定もできますし、譲渡担保にとることもできます。

譲渡担保の場合は賃借権の譲渡にあたりますから、それについて地主の承諾を取り付けなければなりません。

民法では、賃借人が賃借権を譲渡するについては賃借人の承諾が必要ということになっていて、賃借人が賃貸人の承諾を得ないまま、無断で賃借権を譲渡すると、賃貸人から賃貸借契約を解除されるおそれがあります。

通常は、地主において無条件に承諾する事はありません。

地主に対し、承諾料を支払う事になります。

実際は、借地権を担保にとるときは、建物とともに担保に取ります。

この場合、建物に抵当権を設定しておき、この抵当権実行という手続を踏みます。

建物の競売の場合に、競落人は土地賃借権の取得するには、地主の承諾が必要になります。

建物競落人が土地賃借権を取得するについて地主の承諾を得られないときは、競売代金の支払い後2ヶ月以内に、裁判所に対して地主の承諾に代わる許可の裁判を申し立てることができます。

競落人が賃借権を取得しても地主に不利にならない場合には、裁判所はいっさいの事情を考慮した上で、地主の承諾に代わる許可の裁判をしますが、必要のあるときは、借地条件を変更し、または財産上の給付を命じます。

借家権は、譲渡担保にとることや質権設定することができます。

借家の場合は、賃借人から家主に対し、敷金を差し入れている場合が多く、その場合には、敷金返還請求権についても同時に担保にとることができます。

借家権を譲渡担保に取る場合は、家主の承諾を得なければなりません。

質権設定をする場合も借家権の性質上、借地権と同様に家主の承諾を取ることが必要です。

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債権質の設定とは・・・

質権という担保権は、債権者が質権設定者から受け取った物を債務が弁済されるまで債権者の手許に置き、弁済がなされない場合に、その物から他の債権者に優先して弁済を受ける権利です。

質権は、物についての制度ですが、物と並んで無形の財産権も質権目的物となり、これを権利質といいます。

債権質は権利質の典型的なものです。

債権質を設定するに当たり、債権者と質権設定者との間で質権設定契約を結ぶ事が必要です。

平成15年以前の民法では、債権証書がある場合には、これを債権者に引き渡さなければならなかったのですが、改正により質権者への債権証書の引渡しの必要性はなくなりました。

ただし、手形、小切手、貨物引換証など、譲渡にあたり証書の交付が必要なものについては、その交付がなければ質権設定の効力は生じません。

譲渡性が認められない債権については質権設定はできません。

質権では、債務者が弁済をしないときに質物を法律上の手続によって換価するすることになりますが、これを行うためには質権の目的物が他に譲渡することができるものでなければなりません。

債権者がこの取得した債権質を第三債務者その他の第三者に対抗するためには、質権設定者から第三債務者に対し、質権設定を通知するか、または第三債務者から承諾を得る事を要します。

質権設定者から第三債務者への通知や第三債務者の承諾は、これを確定日付のある証書によって行わなければ、第三債務者以外の第三者に対抗できない事になっています。

第三債務者への通知は配達証明付の内容証明郵便によって発信し、承諾については承諾書を公証役場に持って行って確定日付を押印してもらいます。

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債権質権設定契約書のひな形とは・・・

金銭消費貸借並びに債権質権設定契約書

債権者****株式会社を甲、債務者****を乙とし、甲乙は、本日、以下の内容による債権質権契約を締結する。

第1条 甲は、乙に対し、本日、次の契約のもとに乙の事業運転資金として金**万円を貸し渡し、乙はこれを受領し、借用した。

1、弁済期 平成**年**月**日

2、利率 年**割**分

3、利息の支払方法 毎月末日に限り当月分を支払うこと

4、遅延損害金 年**割**分

5、弁済方法 甲の本社に持参または送金して支払う

第2条 乙が次の各号の一つにあたる場合は、乙は、期限の利益を失い、ただちに前条の金員から既払い金を控除した残額及びこれに対する前条4条の割合による遅延損害金を支払わなければならない。

1、仮差押、仮処分、差押又は競売開始の決定を受け、又は滞納処分を受けたとき

2、手形、小切手の不渡りにより銀行等から取引停止処分を受け、又は支払不能の状態に陥ったとき

3、破産、民事再生、会社更正手続若しくは特別清算開始の申立を受け、又は申立をしたとき

4、解散したとき

5、本契約の条項に違反したとき

第3条 前条の場合、甲と乙は、甲乙間の取引によって生じる甲の乙に対する債務と本契約上の乙の甲に対する債務とを、対等額において相殺することができる。

第4条 乙は、本件債務の履行を担保するため、次の債権の上に質権を設定し、債権者甲は、その債権証書(売買契約書)を受領した。

1、債権者 乙

2、債務者 ****株式会社 ****(以下「丙」という。)

3、債権の種類と額 平成**年**月**日付の乙と丙の間の売買契約により、同日、乙が丙に販売した**商品**ダース(単価**円)の商品代金(代金支払時期平成**年**月末日)、金**円也

第5条 乙は、丙に対し、本契約締結後遅滞なく前条の質権者設定を通知し、又はその承諾を得なければならない。

第6条 第4条記載の質権は、本件債権の元本、利息、遅延損害金及び質権実行の費用を担保する。

本契約の成立を証するため本書2通を作成し、各その1通を所持するものとする。

平成**年**月**日

住所 ****************

(甲) ****株式会社

代表取締役 ****  印

住所 ****************

(乙) ****  印

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