主張や証拠の準備手続とは・・・
原告や被告の主張や立証申出がないときには、口頭弁論とは別に争点や証拠を整理するための手続をすることができます。
この整理手続には、次の3種類があります。
①準備的口頭弁論
②弁論準備手続
③書面による準備手続
このうち準備的口頭弁論は口頭弁論期日に法廷で行います。
弁論準備手続は裁判官が主催して、訴状や答弁書に書かれている事実関係や証拠調べの予定について整理をします。
双方の証人申請書の提出も準備手続で行います。
この弁論準備手続は口頭弁論期日以外の日に法廷外で争点や証拠の整理をする手続です。
裁判官室か準備室で行われます。
書面による準備手続は、主に遠隔地に住む当事者の双方の意見を聞いて、当事者が裁判所に出頭することなく準備書面の交換だけをするものです。
この手続では、裁判長が必要と認めた電話会議システムによって手続を進めることがあります。
裁判所と当事者双方が音声の送受信により同時に通話できる方法です。
また、争点や証拠の整理に関する事項その他口頭弁論の準備のための必要事項について当事者双方と協議することもできるとされています。
弁論準備手続で、一方の当事者は裁判所に出頭したが、遠隔地居住の他方の当事者が出頭しない時にも、電話などの音声の送受信によって同時に通話する方法で準備手続を行うことができます。
電話で準備手続をするときは、書記官が相手を呼び出し、裁判長が電話に出て相手方に質問します。
相手方の回答は出頭している当事者にも聞こえる設備ですから、相手方の回答について出頭当事者に意見があればそれを伝えます。
準備手続で主張や証拠が整理された後に新しい主張をしたり証拠を出したときは、なぜ準備手続で陳述又は確認前に提出できなかったのか、その理由を説明する事になっています。
理由に正当性がないときには、訴訟の完結を遅延するものと認定され、却下される可能性があります。
準備手続で主張の争点の整理ができますと、証拠の申出をすることになります。
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証拠の提出とは・・・
双方の主張が整理されますと、主張を裏付ける証拠を提出します。
証拠には書類や証人や鑑定や検証など、様々あります。
最初に提出するのは書面の証拠書類です。
この書証には整理番号をふり、原告のときは甲第*号証、被告のときは乙第*号証とします。
書証には立証趣旨を明確にするため、証拠説明書を作成して、書証と事実との関係を説明します。
訴状や答弁書の中で要件事実を記載した項の末尾に当該事実を証拠付ける書証の証拠番号を記載してあれば、それで足ります。
この書証についても、相手方は認否することになります。
認否は口頭でも書面でもできます。
書証のほかに証人の申請もする必要があります。
証拠の申出は、全てその申出の内容を書面にして提出します。
書面で申し出ても、実際にその証拠を取り調べるのは、続いて被告の証拠申出が一応終わった後の期日になります。
裁判所は申し出られた証拠について、調べるかどうかを決定し、調べる期日を指定します。
また、準備不足などで次回までに準備書面を提出する事に決まったとき、証人尋問をするかどうか決めかねるときなど、その日はこれ以上審理を続けても意味がないところまでいきますと、その日の審理を打ち切り、次回期日にその続きをすることとします。
これを審理の続行といいます。
また、審理に入らないで事前に期日を変更することもあります。
これが延期といいます。
訴訟関係者がそろわないときや、予定された準備ができなかったときに日を改めるような場合です。
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原告が訴訟欠席すると・・・
原告が訴訟を欠席した場合、被告が出席して、被告が裁判所に申し出て延期してもらうのであれば、裁判所も依存はありません。
当日の訴訟期日は延期ということになり、次回期日が定められ、原告にも通知が来ます。
しかし、原告も被告も欠席した場合や、被告は出頭していても、法廷で何も陳述しなかったような場合、裁判所は休止という処置を取ることがあります。
休止とは、裁判所が原告も被告も本気で訴訟をしないなら、次回期日は定めないで放っておくことをいいます。
そして、これをそのままにしておくと、原告が訴えを取り下げたものとみなされます。
訴状も印紙も無駄になってしまいます。
休止になったときでも、原告が1ヶ月以内に期日指定の申立をすれば、訴訟は再開されます。
被告が出席して何らかの陳述をするときは、原告は欠席していても、擬制陳述といって訴状を陳述したものとみなしてもらえます。
原告と被告が陳述したことになりますので、それだけで争点が整理されたと思われれば、被告提出の有利な証拠だけによって判決されることもありますし、期日を続行されることもあります。
陳述したものとみなしてもらえるものは、訴状などの書面でその期日までに提出されているものです。
擬制陳述は第1回期日だけのことで、簡易裁判所では制度が別で、第2回以後の期日においてもこれらの書面は、陳述したものとみなしてもらえます。
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被告が訴訟欠席すると・・・
被告と原告が欠席した場合、休止扱いされることがあります。
また、原告の好意によって、期日を変更することもできます。
第1回期日に被告が欠席したとき、原告が出席して訴状を陳述すると、被告の答弁書や準備書面が提出されている場合は、これを陳述したものとして手続を進めます。
被告が答弁書で争っていないとき、または原告の提出証拠だけで判決をすることができると思われるときは、そのまま訴訟の審理を終え、判決されることもあります。
この場合は、原告が勝訴します。
被告が欠席した上に、答弁書その他の書面の提出が全くない場合で、しかも訴状など原告提出の書面や裁判所の呼び出しが第1回目の期日までに被告の手に届いている場合には、被告は原告の主張を認めたものとして扱われるのです。
ですので、原告の主張する事実が全て真実であると認められたことになりますので、原告が勝つことになるのです。
一方が欠席しているのに判決をするのを、欠席判決といいます。
裁判所が独自の立場で、進んで欠席判決にしてくれることもありますが、すぐに欠席判決にしてくれるとは限りません。
職権で延期する場合もあります。
相手が欠席し、しかもこちらから出した訴状などが相手に届いている事を確認したうえで、裁判長に対し、結審して判決するよう申し出ます。
書類が相手に届いているかどうかを確かめる方法は、審理の開始前に事件の記録を見せてもらい、送達報告書を見れば、相手に届いているかどうかが確認できます。
公示送達の審理とは・・・
被告が行方不明になっていたり、転居していたが住民票の移動もなく住所を確かめる事ができなくて訴状の送達ができないような場合、調査した結果を上申書の形で裁判所に提出して公示送達の申立をすることができます。
被告は公示送達で訴訟を起こされたことを知りませんから、当然欠席することになります。
この場合は、送達を擬制しただけですから、欠席判決にはできません。
原告は主張を立証する必要があるのです。
第1回の期日に原告の本人尋問や証人調べを行い、同日結審して即決で判決してくれることもあります。
この場合は、書記官による調書判決になります。
ただし、証拠調べにも事前の送達が必要です。
公示送達の方法で訴状を被告に送達するとき、あらかじめ書証の写しや原告や証人尋問の申出書も裁判所に提出し、訴状と同時に公示送達の方法で送達しておかなければなりません。