訴状を作成するには・・・
訴訟は訴状を提出して始まります。
訴状やその他の訴訟の書類は、裁判所と被告と原告の控えとして、最低3通作成することになります。
相手が複数の場合は、その分だけ必要になります。
まずは訴状の1枚目を作成します。
これはあらゆる訴訟に共通で、既製のものは該当する欄にチェックを入れるようになっています。
原告の欄には、郵便番号、住所、氏名、電話番号、FAX番号、送達場所を書きます。
被告の欄には、郵便番号、住所、氏名を書き、その他もわかる範囲で書きます。
原告・被告が複数のときは、並べて書きます。
当事者が会社の場合は、会社名だけでなく、代表者の肩書きをつけて代表者が記名押印します。
会社の実際上の本店所在地と登記上の所在地が異なる時は併記しておきます。
括弧書きで、(事実上の本店所在地)(登記上の本店所在地)のように書きます。
この場合の訴状は事実上の本店に送達されます。
なお、会社の事務所がない場合には、代表取締役の住所を記載します。
代表取締役に送達されれば会社に送達されたことになります。
事件名の欄には、「貸金請求事件」とか「家屋明渡請求事件」などと、事件の性質を書きます。
最後に訴訟物の価額と訴状を提出する時に印紙で納める手数料の額を書きます。
訴訟物の価額と手数料の額がわからない場合は、この部分は書かないで裁判所で聞きます。
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訴状のひな形とは・・・
訴状
平成**年**月**日
**地方裁判所民事部 御中
原告 山田太郎 印
〒***-**** 東京都*********
原告 山田太郎
電話 03-****-****
FAX 03-****-****
〒***-**** 東京都*********
被告 鈴木一郎
貸金請求事件
訴訟物の価額 200万円
帖用印紙額 15,000円
請求の趣旨
被告は原告に対し、金200万円及びこれに対する平成**年**月**日から完済に至るまで年15%の割合による金員の支払いをせよ。
訴訟費用は、被告の負担とする。
との判決及び仮執行の宣言を求める。
請求の原因
1、原告は被告に対し、次の通り金員を貸し付けた。
(1)貸付年月日 平成**年**月**日
(2)貸付金額 金200万円也
(3)弁済期 平成**年**月**日
(4)利息の割合 年15%
(5)利息支払期 弁済期と同じ
(6)その他の特約 期限に履行しないときは、年20%の割合による遅延損害金を支払うこと
2、鈴木一郎は期限になっても元金も利息も支払わず、その後、原告が再三催促しても全く支払わない。
3、そこで、原告は被告に対し次の金員の支払いを求める。
(1)元金 金200万円也
(2)上記金員に対する平成**年**月**日から完済に至るまで、年15%の割合による利息及び遅延損害金
証拠方法
1、甲1号証(借用証書) 1通
原告被告間の本件金銭貸借の事実を立証する。
2、甲2号証(受取書) 1通
本件金銭授受の事実を立証する。
付属書類
1、甲1、2号証 各1通
2、資格証明書 1通
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請求の趣旨と原因の記載とは・・・
「請求の趣旨」は、その訴訟で何を請求するかの結論を説明抜きで書き、「請求の原因」はその説明、理由を書きます。
訴状には証拠について全部を記載する必要はありませんが、出すことになりそうな主要な証拠書類の写しを訴状に添えます。
不動産事件であれば登記簿謄本、人事事件であれば戸籍謄本、手形小切手事件であれば手形小切手の写しを添付しなければなりません。
このように証拠書類を添付した場合は、訴状の末尾に、その題名と立証の趣旨とを記載します。
原告の出す証拠は「甲**号証」と番号をふり、その証拠書類の肩に書きます。
訴状の最後には、訴状に添えて出す「付属書類」を付記しておきます。
付属書類としては、証拠書類の写しや、原告又は被告が法人の場合には、代表者の資格を明らかにする資格証明書、代理人がつく場合は代理権の存在を証明するための委任状などです。
資格証明書と委任状は裁判所へ提出する訴状の正本に1通ずつ添付し、副本には添付しません。
被告が会社である時も、原告が被告の資格証明書を取って添付しなければなりません。
訴状は正本と副本を裁判所に提出します。
被告が2人以上の場合には、それぞれの被告に1通ずつ提出します。
訴状が出来た後で書き間違えがあれば、訂正します。
訂正は字数を数え、右欄に「*字訂正」又は「*字削除」「*字加入」と記載します。
正本と副本に押印します。
原告として、自分の名前の横に押し、訂正があれば訂正印を押します。
そして、印紙を1枚目に貼り、貼った印紙には印を押しません。
これは裁判所が押します。
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訴状を提出するには・・・
訴状は裁判所の窓口に正本と副本を提出します。
裁判所の窓口では、法律の定めでは訴状の受理を拒む事ができないとされています。
訴状に不備があっても、印紙の額が不足でも必ず受理しなければならず、その不備な点の補正を命じることができるのは裁判長だけとされています。
この裁判長の命令による補正をしないと、訴状は却下されます。
また、管轄違いの場合は管轄裁判所へ移送されます。
訴状を提出する際には、郵便切手を納めなければなりません。
これは訴状の副本と呼出状を被告へ送達するために必要です。
訴状を提出すると、その訴状の番号が決められます。
これを事件番号といいます。
地方裁判所なら「平成**年(ワ)第***号」となり、簡易裁判所なら「平成**年(ハ)第***号」と付けられます。
この番号は、後でその訴訟について問い合わせをする時に必要ですし、その訴訟が続く限り、この番号が必要になります。
大きい裁判所で部がいくつもあるところでは、第**部の係も控えておく必要があります。
その後、訴訟の問い合わせや打ち合わせには、直接その部の書記官へすることになるからです。
訴状を提出すると、数日して期日の呼び出しの通知がきます。
この通知状には、日時とどこの法廷に出廷するかが記載されています。