民事訴訟で被告がするべきことは・・・
被告が訴訟に応じないで放っておけば、原告の主張を全面的に認めたものとして扱われ、敗訴になります。
しかし、1度でも法廷へ出て原告の請求と主張に対して反論しておけば、裁判所としても、被告が原告の主張を認めていないことを認識し、その後1度も被告が出廷しなくても、原告の主張を認めたことにはなりません。
原告としては自分の主張を証拠を出して証明しなければ勝てないことになります。
ただし、その後、被告が出廷しないとなれば、原告は勝手な証拠を出せることになります。
その勝手な証拠も被告が指摘しない限り裁判所にはわかりませんから、原告側に有利になり、原告が勝つことになります。
被告は、やはり最後まで訴訟に応じて出廷しなければ負けてしまうのです。
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答弁書の作成とは・・・
答弁書は準備書面の一種です。
答弁書も訴状と同様、被告用の控えと裁判所への提出用が必要です。
「請求の趣旨に対する答弁」は、どの答弁書も同じで、「請求の棄却を求める」という内容になります。
訴えそのものの手続が違法であったり、訴えの利益がない場合などには、「本件訴訟の却下を求める」となります。
「請求の原因」に対する答弁は、その事件によって異なります。
原告の訴状の中の「請求の原因」の内容をよく読んで、事項ごとに認めるか認めないかを答えていきます。
ただし、1つの項の内容の中に認める部分と認めない部分が混じっているのが普通ですから、認める部分は、相手の文章を引用してその箇所を限定して認め、その他の部分は否認する事を明記しなければなりません。
原告の「請求の原因」に対する答弁として、次の種類が考えられます。
①請求の認諾
原告の請求を被告が肯定してしまうことです。
これは被告の敗北を宣言することです。
②認める
「請求の認諾」と似ていますが、別物です。
原告が「被告に金100万円を貸したから返せ」というのに対し、「100万円借りたのは認めるが、その後被告の友人を通じて返した。だから再度返す義務はない」と答えるような場合です。
訴訟そのものは争うが、個々の事実については認めることをいいます。
③否認
これは「認める」の反対で、個々の事実について否定することです。
④不知または知らない
これも個々の事実についてではありますが、そんなことがあったかどうかを知らないと答えることです。
これは「否認」と答えることと同じですが、「不知」はそれがあったのかどうか知らないが、あったのなら証拠を出してくれという意味です。
⑤沈黙して答えない
この場合は「認める」場合と同じになります。
書面で争う旨を言及しない場合も同じ事です。
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答弁書ひな形とは・・・
平成**年(ワ)第****号
原告 ****株式会社
被告 株式会社****
答弁書
平成**年**月**日
**地方裁判所民事第**部 御中
被告 株式会社****
代表取締役 山田太郎 印
請求の趣旨に対する答弁
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
との裁判を求める。
請求の原因に対する答弁
1、請求の原因第1項は否認。
2、第2項のうち、*****の点は認めるが、その他の点は否認。
3、第3項は不知。
被告の主張
仮に原告主張のように被告が原告から金100万円を借りたとしても、原告、被告はともに商人であり、本件金銭消費貸借は商行為である。原告主張の本件貸借の日から商事債権の消滅時効期間たる5年をすでに経過したので、被告は右時効を援用する。よって被告には支払い義務はないから、原告の請求は失当である。
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認諾と認める、否認と沈黙とは・・・
「認諾」と「認める」は違います。
「認諾」とは、原告の主張の全てを認めるわけですから、被告が負けて、全てが終わります。
しかし、「認める」とか「否認」とは個々の事実について言うわけですから、原告の主張に対して、ある部分は「認める」、別の部分は「否認」というように部分ごとの答えなのです。
被告としては、「認諾」つまり「負けました」という場合は別として、そうでない限りは、原告の主張について「認める」という部分と「否認」という部分が出てきます。
被告の答弁とは、事実の一つ一つについて認めるか否認するかを答弁していくのです。
その答弁の中で、「認める」とも「否認」とも答えない部分については、「沈黙して答えない」わけですから、「認める」となるのです。