融資後の担保提供要求には・・・

融資後の担保提供要求には・・・

例えば、継続的な取引関係にある会社に融資を申し込んだ場合に、先方の会社から取引の範囲内の金額で了承し、融資が実行されました。

その後、先方から所有不動産を担保に提供するよう言われたの場合、応じなければならないのでしょうか?

融資が実行されているのでしたら、土地の担保提供を条件に先方の会社から融資を受けたのではなく、また既に借入金の弁済期が到来して期限の猶予を依頼しているのでもない以上、担保提供義務を負っているわけでもないので、担保を提供する必要はありません。

また、先方の会社とは継続的な取引をしており、取引の範囲内での金額を融資したということは、常にその金額以上の売掛金を有しているか、商品を預けているわけです。

であるとすれば、先方の会社は十分な担保を有していることになりますから、担保提供を要求する必要もないわけです。

先方の会社は、買掛金と貸付債権を対等額において相殺することができるわけです。

最高裁判所も、相殺制度のこの担保的機能を強調し、買掛金の弁済期と借入金の弁済期との前後関係を問わず、両者が相殺適状に達しさえすれば、相殺することができる旨の判決を出しています。

なお、上記の相殺の意思表示は、配達証明付内容証明で行ないます。

また、先方の会社が、商品を預かっていた場合には、商品を留置することができます。

これを「商事留置権」といいます。

もし、弁済が受けられないときは、留置商品につき競売申立をして、競売代金から優先的に弁済を受けることができます。

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融通手形とは・・・

融通手形で融資した場合に利息は取れるのでしょうか?

まず融通手形についてですが、融通手形とは、売買など現実の商取引に基づかないで、単に資金融通のため自己の信用を他人に利用させる目的で授受された手形をいいます。

手形の授受には売買代金とか、賃料とかといった裏付けがあるのが通常で、これを商業手形といいます。

例えば、A社の手形を、B社が貸してくれといってきた場合、B社は資金繰りをするためにA社の手形を借りたわけですから、必ずどこかの金融機関で手形の割引をするわけです。

または、どこかでその手形で債務の決済をするかもしれません。

すると、A社はその出回った手形を決済しなければならなくなります。

ですので、余裕も覚悟も無く手形を貸すと、不渡りを起こす可能性もあり、第三者から訴訟を起こされる可能性も出てきます。

例えば、手形所持人の第三者から手形訴訟を起こされたとしても、貸した手形で支払期日に返還してもらう約束であった、なんて言えそうです。

しかし、融通手形の抗弁は、当事者間においては主張できますが、手形が第三者に譲渡され、第三者が手形所持人として支払を求めてきた場合、その者が融通手形であることを知って取得したと否とを問わず、原則としてこれに対抗することができないというのが判例です。

手形を貸す場合には、この手形と同じ額面で、この手形の支払期日よりも3、4日早い支払期日の手形をB社から振り出してもらい、かつ、B社の社長個人に裏書をしてもらってこれを受け取っておくのが良いです。

これを見返手形といいます。

融通手形の抗弁が認められる例外の一つとして、見返手形が支払期日に支払われることを条件として支払の責任を負う特約の下に融通手形が振り出される場合に、融通手形の振出人は、事情を知っていた手形取得者に対して、手形支払の義務を負わない旨の判決もあります。

結論として、手形を貸すことは、お金を貸すことではありませんので、利息を取ることはできません。

その条件として謝礼金ないし手数料名目の金員を要求することは大丈夫です。

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譲渡担保契約とは・・・

取引先に貸付をしているのですが、返済不能になった時には、取引先から預かっている商品を、即刻、処分しても良いのでしょうか?

返済不能になったときに取引先の商品を即刻処分するためには、取引先との間において事前に一定の契約書を取り交わしておく必要があります。

その契約で適切なのは、譲渡担保契約になります。

担保物の所有権自体を債権者に移転し、一定期間内に債権を弁済すれば所有権を再び担保提供者に返還し、仮に弁済期に弁済しなければ、現物の引渡を受けた債権者はこれを適当評価し、あるいは任意処分し、その評価額あるいは処分代金額を充当して過不足分の清算をする、という担保方法です。

下記の譲渡担保契約書を参考にしてください。

また、取引先の商品が保管されているのであれば、譲渡担保契約を取り交わさなくても法律上商事留置権が発生し、債権の返済があるまで商品を引き続き留置し、なお返済がないときは競売の申立を行い、競売代金から優先的に弁済を受けることができます。

<ここから>

譲渡担保等設定契約書

山田太郎(以下甲という)と株式会社田中(以下乙という)と株式会社田中代表取締役田中一郎(以下丙という)とは、本日次のとおり契約を締結した。

第1条 甲は乙に対し、本日、金***万円を、弁済期平成**年**月**日、遅延損害金年30%の約定で貸し渡し、乙はこれを借り受けた。

第2条 乙は、乙の甲に対する前条の債務の支払を担保するため、その所有する別紙目録記載の製品(以下本件物件という)を、本日、甲に譲渡し、甲はこれを譲り受け、現実に引渡を受けた。

第3条 乙が弁済期に債務を弁済しないときは、甲は本件各物件を適当価格をもって、もしくは任意に処分した代金をもって、第1条記載の元金および損害金の弁済に充当することができる。この場合、甲はもし残余があればこれを乙に返還し、不足があれば乙に請求することができる。

第4条 丙は、乙の本契約上の債務につき連帯保証し、その責に任ずる。

以上の契約を証するため、本書3通を作成し、甲、乙、丙は各1通を所持する。

平成**年**月**日

東京都**********
債権者(甲) 山田太郎  印

東京都**********
債務者(乙) 株式会社田中 代表取締役田中一郎 印

東京都**********
連帯保証人(丙) 田中一郎 印

<ここまで>

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