調停の申立を取り下げるには・・・

調停の申立を取り下げるには・・・

調停を申し立てた者は、調停の成立、不成立、調停にかかわる決定があるまで、理由を問わず、申立を取り下げる事ができます。

調停委員会は、事件が性質上、調停をするのに適当でないと認めるとき、または当事者が不当な目的でみだりに調停の申立をしたと認めるときは調停をしないものとして、事件を終了させる事ができます。

調停委員会は、当事者間に合意が成立する見込がない、または成立した合意が相当でないと認める場合、調停にかわる決定をしないときは、調停が成立しないものとして事件を終了させる事ができます。

これらを不調といいます。

調停において、当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとして事件は終了します。

この調書に記載されたことは確定判決と同一の効力があります。

この調停調書を債務名義として、強制執行ができます。

裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込がない場合において、相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聞き、当事者双方のために公平に考慮し、一切の事情を見て、職権で当事者双方の申立の趣旨に反しない限度で、事件解決のために必要な決定をすることができます。

これは調停委員会での当事者及び調停委員会のそれまでの努力を無駄にしないためです。

ただし、この決定の告知を受けた日から2週間以内に、当事者又は利害関係人が異議を述べれば効力を失います。

調停不成立および調停にかわる決定が異議申し立てにより失効した場合に、申立内容の実現を図るには、訴訟を提起せざるを得ません。

訴訟をする場合には、調停終了の通知を受けた日から2週間以内に調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、調停を申し立てたときに、その訴えがあったものとみなされます。

調停申立は時効中断の効力がありますが、不成立の場合は、1ヶ月以内に訴えの提起をしないと中断の効力を生じません。

訴えの提起の手数料については、調停申立時に納めた手数料相当額は控除されます。

ちなみに、調停の期日に出席できないときは、「期日変更申請書」を裁判所に提出して期日の変更をしてもらう方法があります。

また、家族、友人などに頼んで代理人として出席してもらう方法もあります。

これには裁判所の許可が必要です。

裁判所に対して「代理人許可申請書」を提出する事になります。

民事調停法17条(調停に代わる決定)

裁判所は、調停委員会の調停が成立する見込がない場合において相当であると認めるときは、当該調停委員会を組織する民事調停委員の意見を聴き、当事者双方のために公平に考慮し、一切の事情を見て、職権で、当事者双方の申立の趣旨に反しない限度で、事件の解決のために必要な決定をすることができる。

この決定においては、金銭の支払、物の引渡しその他財産上の給付を命ずることができる。

スポンサードリンク

訴え提起前の和解(即決和解)とは・・・

簡易裁判所で行われる紛争解決のための手段として「訴え提起前の和解」があります。

訴え提起前の和解は、民事上の争いについて、訴訟を起こす前に、簡易裁判所に対して和解の申立を行い、当事者の話し合いにより成立した和解の内容を調書に記載してもらう和解のことで、即決和解ともいいます。

訴え提起前の和解で、和解した和解調書は判決と同じように債務名義となり、これにもとづいて強制執行が認められます。

また、時効更新の効力もあります。

訴え提起前の和解の利点は、裁判外で話し合いが成立している場合に、裁判所の仲介により、裁判上の和解として成立させ、和解調書を作成してもらって、これを債務名義として強制執行することができる点にあります。

訴え提起前の和解の申立は口頭でもよいとされていますが、実務上は書面にし、書面に次のことを記載します。

①当事者の住所氏名

②申立の趣旨及び申立の実情

あらかじめ当事者間の話し合いで決まったことを「和解条項」として、別紙で添付する事になります。

申立書には、2,000円の印紙を貼用し、送達用郵券を添えて申立書の副本とともに、相手方の住所地または営業所を管轄する簡易裁判所に提出します。

訴え提起前の和解申立書

民事訴訟法275条(訴え提起前の和解)

一 民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立をすることができる。

二 前項の和解が調わない場合において、和解の期日に出頭した当事者双方の申立があるときは、裁判所は、直ちに訴訟の弁論を命ずる。

この場合においては、和解の申立をした者は、その申立をした時に、訴えを提起したものとみなし、和解の費用は、訴訟費用の一部とする。

三 申立人又は相手方が第1項の和解の期日に出頭しないときは、裁判所は、和解が調わないものとみなすことができる。

スポンサードリンク

訴え提起前の和解(即決和解)の注意点とは・・・

訴え提起前の和解(即決和解)を申し立てる際の注意点は次のとおりです。

①申立には紛争が前提

当事者間に紛争がなければ和解は成り立ちません。

お互いが譲歩し紛争解決を図るのが和解だからです。

②当事者のどちらが申しててもよい

紛争当事者の一方が、相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申立書を提出することで、訴え提起前の和解手続は始まります。

③和解期日に出頭する

裁判所は、申立があると、和解期日を定めて当事者を呼び出します。

④裁判所ですること

紛争当事者(または代理人)は、裁判官の面前で、紛争解決のため、お互いが譲歩しあって争いを止めることを述べます。

⑤合意内容は書面に

合意ができていなければ、申立をしても訴訟に移行するだけですから、事前に合意内容を書面にしておくべきです。

⑥時効中断の効力

債権者が訴え提起前の和解を申し立てた場合には、民法上、消滅時効が中断する効力が認められています。

スポンサードリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする