社員がした契約調印はどうなる・・・

社員がした契約調印はどうなる・・・

取引先が「会社の営業部員の契約は無効である」などといってきた場合には、その契約は会社の契約になるのでしょうか?

会社の営業部員が取ってきた契約というのは、特に会社の契約であると断らなくても、当然に会社の業務として会社の契約と見られます。

営業部員の行なった行為は、通常会社のために行なった行為と見られるからです。

そして、もちろん契約書には会社の印を押しますよね。

たとえ、まだ契約書を取り交わしていない場合でも、契約の申込があれば申込みを受けた相手方がその契約を取りやめにするには、早めに相手に知らせる義務があります。

それを怠りますと、相手方の申し込みを承諾したことになりますので、早めにはっきりと断っておかなければなりません。

取引先が、どうしても契約を見合わせて欲しいということであれば、契約時期を延ばすというような円満な解決法を取るのがベストではないでしょうか。

もし、取引先が強引な契約解除をするのであれば、会社が被った全損害を請求することができます。

そして、この契約で会社が得られたはずの利益についても、損害として請求することができます。

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定期行為の契約解除は・・・

季節物の商取引について事故が起こった場合には、どのように契約解除するのでしょうか?

普通の取引ですと、約束した時期に納品がないときは、一定の期間を定めてその履行の催告をし、それでも履行しないときにはじめて契約を解除することができます。

しかし、定期行為といって、契約の性質または当事者の約束によって、一定の日時または一定の期間内に履行しなければ、契約した目的が達せられないような場合には、当事者の一方は、催告をしないで、直ちに契約を解除することが認められます。

結婚式場に届ける花や礼装用の衣装は、結婚式が終わってから届けられても意味がありませんから、約束の日時に遅れたときには、直ちに契約を解除でき、損害賠償もできます。

また、商法では、被害者の方から直ちに請求が無ければ、契約は当然に解除されてしまったものとみなしてしまうことになります。

要するに解除権の行使の手続きも必要ないわけです。

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勝手に送付された商品代金はどうする・・・

商品が突然送られてきた場合には、代金支払いはどうなるのでしょうか?

商人間の取引(継続的な取引のある商人間)の場合には、一定の取引をした場合に、そのままほおってくと、法律上の義務を課されることがあります。

これについては、送られてきた商品について、遅滞なく、返事をしなければなりません。

これを放置しますと、買付を承諾したものとされてしまいます。

商品の送付に対して、遅滞なく申し込みを拒否した場合には、代金支払の義務はありませんが、送られてきた商品を保管しておかなければなりません。

この保管費用は、後で相手方に対して請求できます。

もし、保管の費用が商品の代金よりも高くつくようなものであるときは、保管の必要はありません。

例えば、注文したのだけれども、注文したものと異なる商品を送ってきた場合であるならば、遅滞なく、商品を検査して、商品違いであることを相手方に通知しなければなりません。

この通知をしなければ、本来ならば主張できるはずの商品違いによる代金の減額請求や損害賠償の請求ができなくなります。

ただし、これは相手方に悪意があった場合には適用されません。

商品違いで、結局は取引がなかったこととして処理する場合の保管は、相手方の費用で商品を保管しなくてはなりません。

もし、その商品が滅失または毀損のおそれがあるときは、裁判所に頼んで競売してもらって、この代金を供託する義務があります。

競売したときには、相手方に対して、遅滞なく、通知をしなくてはなりません。

このような商品の検査、遅滞なくする通知、商品の保管、供託、競売の通知など一連の手続きは、商法上の義務として要求されているのです。

これに対し、通信販売会社から勝手に送りつけられた商品については、返答の必要もありませんし、放置しておいてからといって、代金支払義務が生じることはありません。

送料を相手方持ちで返送するよう連絡するのが、最良の方法かもしれません。