会社とその社長は法律的に別個の存在・・・
経済取引は多種多様に行なわれています。
その中で、会社であっても、個人であっても、利潤を求めて取引するものを商取引と言います。
商人が取引するものを商取引と言うわけです。
そして、商人間の取引に伴う「債権・債務」が発生し、また決済が繰り返されているわけです。
商人とは、個人でも会社でもどちらとも言えます。
しかし、会社(法人)とは個人とは別個独立の存在になります。
というのは、会社とその会社の社長を同一視するような錯覚に陥るからです。
会社とその会社の社長個人とは、法律的に別個の存在であり、原則として会社と社長は全く無関係です。
ですので、債務者が会社であれば、会社の財産から債務を返済していくということになります。
社長個人が財産を持っていたとしても、そこから回収することはできない、ということになるわけです。
商取引慣行としては、会社を主債務者、社長を連帯保証人とする契約が一般的のようですね。
それの方が債権の回収の可能性が上がるということです。
そして、商取引とは、原則としては契約です。
その契約とは相対する二つ以上の意思表示の合致によって成立します。
世間一般に同じなわけです。
しかし、商取引には商習慣などがあり、それが少し個人間の取引と違う部分です。
商習慣については、社会生活の中で繰り返された一つの事実に、法的な確信が備わった場合には、慣習法となり、法としての効力を持つようになります。
その商取引で繰り返し行われたものが、商習慣と言います。
以上、誤解しがちな商取引について抜粋しておきました。
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商取引の利息は・・・
法律の建前として「契約自由の原則」というのがあります。
法律に触れない範囲においては、当事者間の約束事が法律に優先するということです。
利息の定め方も金銭貸借の利息だけは「利息制限法」で上限が設定されていますが、それ以外は当事者間の約束が優先します。
当事者間に何の約束もないときは、法律による規定が適用されます。
民法と商法で、利息について規定していますが、それぞれに違う規定になっていました。
利息については、民法は年5%、商法は年6%と規定していました。
しかし、民法の改正により、民法では施行時年3%に定められ、施行後、3年ごとに法定利率を1%単位で見直すようです。
また、商法の法定利率は廃止されましたので、民法と同じ3%が適用されます。
この利率というのは、簡単に言うと、契約で規定していない場合の法定利率ですので、契約で当事者間で利率を決めることができるということなんです。
金銭貸借の利息については、利息制限法が適用されます。
・元本が10万円未満の場合は、年20%
・元本が10万円以上100万円未満の場合は、年18%
・元本が100万円以上の場合は、年15%
これを超えるものは、無効になります。
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改正後の民法での消滅時効は・・・
令和2年4月1日施行の民法改正では、①消滅時効の時効期間、②起算点、③時効障害事由が変更されました。
①②消滅時効の時効期間は、原則として「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年」または「権利を行使することができる時から10年」のいずれか早い方とされました。
わかりやすくいうと、例えば、契約書に弁済期などの権利行使できる時期が記載されているような場合には、時効期間は5年となります。
これは債権者が権利行使できることと、その時期を知っていることが明らかなので、短い時効期間の5年となるわけです。
ですので、契約書などを交わし、弁済期を決めているような場合には、消滅時効の時効期間はすべて5年になるということです。
また、この改正によって商法による消滅時効の規定「商取引から生じた債権の消滅時効期間を原則5年とする」が廃止され、民法の規定に統一されました。
③時効障害事由とは、改正前は時効の「中断」と時効の「停止」と呼ばれていました。
改正後は「中断」を「更新」、「停止」を「完成猶予」と呼ぶようになりました。
ちなみに更新とは、時効の更新事由があった時点から新たに時効が進行を始めるという制度です。
完成猶予とは、時効の完成猶予事由があった場合に、その事由が終了するまで時効が完成しないという制度です。