保証人と連帯保証人の責任・・・

保証人と連帯保証人の責任・・・

保証とは、債務者が債務の履行をしない場合に、債務者に代わって履行する責任を負うもので、債権者と保証人との合意によって成立します。

この場合の債務者の債務を主債務といい、保証人の債務を保証債務といいます。

保証債務には次のような性質があります。

①付従性

主債務が成立しなければ、保証債務も成立しませんし、主債務が消滅すれば保証債務も消滅することをいいます。

また、保証債務が主債務より軽いことはよいのですが、保証債務のほうが主債務よりも重くなってしまうことは許されず、このような合意をなしても、保証債務は主債務の範囲まで減縮されます。

②随伴性

主債務が債権譲渡や債権者の相続・合併などにより移転する場合には、保証債務もこれに伴って移転します。

③補充性

保証人は、主債務者が履行しない場合に初めて自らの保証債務を履行すれば足ります。

保証人は債権者からの請求を受けた場合には、まず債務者に請求するように抗弁することができ、これを催告の抗弁といいます。

執行に対しても、まず主債務者の財産に執行するように抗弁することが認められており、これを検索の抗弁といいます。

しかし、これは連帯保証には、認められておらず、債権者は債務者への請求や執行を行なうことなく、いきなり連帯保証人から回収することができます。

連帯保証をすることによって、単純保証の場合に認められている分別の利益も排除されます。

(数人の保証人がある場合)
民法第456条 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第427条の規定を適用する。

(分割債権及び分割債務)
民法第427条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。

例えば、主債務が100万円の場合、保証人が1人の場合は100万円を全額保証しなければならないのですが、2人になれば、各自50万円ずつというように、主債務を単純な保証人の人数で割った部分についてしか責任を負わなくてよいことを分別の利益といいます。

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根保証人の判例での制限・・・

継続的な取引がある場合には、債権額が増減するため、取引のたびに保証契約を結ぶのは大変なので、売買代金債権、手形小切手取引による債権のように、一定の範囲に属する主債務を包括的に保証するために、根保証がされます。

根保証は、保証人の責任が重大なものとなることから、極度額の定めや期間の定めがない場合には、判例は、責任の範囲を制限するとされています。

また、根保証人が死亡した場合には、死亡当時に発生している部分についてしか相続が認められないとしています。

ですので、根保証をとる場合には、合理的な範囲で極度額を定め、また、保証期間満了時には自動更新ではなく、新たな根保証契約を結び直し、根保証人が死亡した場合には、新たな根保証人を立てるように債務者に請求するなどをする必要があります。

保証には分類されませんが、債務者の状況が悪化した時期、あるいは極端な場合には債務者が支払えなくなった場合に、債務者に発生している債務を第三者に引き受けさせる債務引受けがあります。

従来の債務者の債務を免除して引受人に引き継がせる免責的債務引受けと、従来の債務者と引受人とが連帯して債務を負担する重畳的債務引受けがあります。

債務者に保証人を立てさせやすいのは、取引の開始時ですが、万一何らかの事情でこれができなかった場合でも、債務の引受人を見つけさせることも重要な債権保全の方法です。

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追加担保と追加保証の交渉・・・

担保を取っていても担保目的物の時価の変動により担保割れをすることがあります。

この場合には、債務者に対して、追加担保や追加保証を求めることが必要になりますが、債務者がこれに同意してくれるとは限りません。

金融機関の担保約款では、このような場合に備えて、抵当権者が債務者に対して相当な担保を追加するように請求できる旨の規定を置いています。

また、保証をとっていても保証人の資産状況が悪化したり、当初の目的が達成できなくなる場合があり、債権者は債務者に対して資力を有する他の者を保証人に立てる立てることを請求することができます。

(保証人の要件)
民法第450条 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
1.行為能力者であること。
2.弁済をする資力を有すること。
2 保証人が前項第2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに代えることを請求することができる。
3 前2項の規定は、債権者が保証人を指名した場合には、適用しない。

根抵当権をとっていても取引量の増大に伴い、極度額を上回る債権が発生する場合も考えられ、この場合には、追加担保をとったり、根抵当権の極度額の増額を求めることになります。

ただし、後順位者がいる場合には、極度額の変更をするためにはその承諾が必要です。

どちらにしても、追加担保や追加保証をとるためには、債務者との交渉が必要となるので、大変な労力にはなりそうです。

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