譲渡担保の清算方法・・・

譲渡担保の清算方法・・・

譲渡担保とは、債務者又は第三者が、債務の担保として、債権者に対し物の所有権を移転する担保をいいます。

譲渡担保には、次の場合があるとされます。

①債権者に対して債務者が担保目的をいったん売却し、一定期間内に債務者が債権者に売買代金を返還すれば担保物を取り戻すことができるもの。

これは売渡担保といわれるもので、債権者には売買代金の返還請求権がありません。

いったん、清算がすんだ形になり、お互いの債権債務関係は残りません。

②債務者が債権者に対して担保として所有権を移転するもの。

この場合に、債権者は債務者に対して本来の債権の弁済を請求することができるとされます。

譲渡担保は、担保化のための明確な規定のない財産を担保に取る場合に利用されます。

例えば、倉庫に存在する商品全部であっても、「その種類、所在場所及び量的範囲を指定する場合など何らかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、一個の集合物として」譲渡担保にとることができます。

不動産を担保に取る場合や、占有を債権者に移す形で動産を担保に取る場合、それぞれ抵当権や質権という法律で認められた担保があるにもかかわらず、譲渡担保とすることがあります。

質権については流質が禁じられていることがあったり、抵当権や質権では、競売手続きによらなければ回収できないのに対して、譲渡担保では、担保権者と設定者が自由に清算方法を定めることができるからです。

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買戻と再売買の予約の規定・・・

融資を受けようとする者が、自己の有する不動産をいったん融資実行者に対して売却し、後日債務を弁済することによって当該不動産を取り戻すという方法が用いられ、債務を弁済し不動産を取り戻す場合を買戻といい、再び融資実行者が融資を受けた者に売却する場合を再売買の予約といいます。

買戻しの特約は、融資を受ける者の融資実行者への売却と同時に行なわれなければならず、買戻代金は最初の売買代金に契約費用を加えたものに限られ、さらに買戻期間は10年を超えることができません。

(買戻しの特約)
民法第579条 不動産の売主は、売買契約と同時にした買戻しの特約により、買主が支払った代金及び契約の費用を返還して、売買の解除をすることができる。この場合において、当事者が別段の意思を表示しなかったときは、不動産の果実と代金の利息とは相殺したものとみなす。

(買戻しの期間)
民法第580条 買戻しの期間は、10年を超えることができない。特約でこれより長い期間を定めたときは、その期間は、10年とする。
2 買戻しについて期間を定めたときは、その後にこれを伸長することができない。
3 買戻しについて期間を定めなかったときは、5年以内に買戻しをしなければならない。

買戻しと再売買の予約は、理論的には同じことで、買戻については民法の規定があるのに対して、再売買の予約は民法の規定はなく、根拠規定となるのは下記の規定です。

(売買の一方の予約)
民法第556条 売買の一方の予約は、相手方が売買を完結する意思を表示した時から、売買の効力を生ずる。
2 前項の意思表示について期間を定めなかったときは、予約者は、相手方に対し、相当の期間を定めて、その期間内に売買を完結するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、相手方がその期間内に確答をしないときは、売買の一方の予約は、その効力を失う。

では、何故同じような行為が存在するのかについて、買戻には民法上の厳しい要件があるため使い勝手が悪く、契約の自由の原則により、2度目の売買代金などを自由に定めることができる再売買予約が活用され、判例でも認められるようになったのです。

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代物弁済予約と売買予約と所有権留保・・・

代物弁済予約とは、融資を受けるに当たって、債務を弁済できない場合には、債務者所有の不動産の所有権を債権者に移転する旨を予め合意することをいい、債務不履行があれば、債権者は弁済に代えて当該不動産の所有権を確定的に取得します。

売買予約とは、債務者が弁済すべき金額を売買代金として、債務者所有の不動産を債権者に売却する旨の合意をすることをいい、債権者は売買代金債務と債務者から弁済を受けるべき債権と相殺して、当該不動産の所有権を取得します。

代物弁済や売買予約は、融資に当たって、これらを予約することによって担保として用いられます。

仮登記担保とは、これらの代物弁済予約や売買予約を仮登記を用いて行なう担保をいいます。

所有権留保とは、売買代金が支払われるまでは、売買目的物の所有権を売主に留保し、代金不払いの場合には、債権者が売買契約を解除し、所有権に基づいて当該目的物の返還を受けることができるものです。

割賦払い売買契約の場合に用いられ、売買目的物は動産・不動産を問いません。

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