担保権に基づく執行の特徴・・・

担保権に基づく執行の特徴・・・

担保権に基づく執行では、担保権が設定された財産に対してのみ競売などの申立てをすることができます。

担保権が設定されていると、多くの場合、その財産が第三者に移転されても競売を申し立てることができます。

例えば、不動産に抵当権が設定された後、抵当権が設定されたまま第三者に譲渡されても、抵当権者はその不動産に対して抵当権に基づき競売の申立てをすることができます。

担保権を設定することは、債務者にとって執行のされるおそれがある行為をすることなのです。

債務者にとって不利益な行為ですから、金融機関などは融資を行う機会には、不動産に抵当権の設定を求め、金銭消費貸借契約書を公正証書にすることを求めるのです。

抵当権は、登記することにより登記簿謄本が担保権に基づく執行の根拠になりますし、執行証書は債務名義として強制執行の根拠となります。

債務者がこのような行為に応じるのは、融資を受けなければならないという立場にいるからです。

しかし、融資を受けた後では、まず自分の不動産に抵当権をつけることなどしません。

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強制執行の手続きの流れ・・・

強制執行を申し立てるには、執行の根拠となる文書が必要であり、原則として債務名義、執行文、送達証明が要求されます。

債務名義とは、確定判決、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促、執行証書、和解調書などがあります。

執行文とは、債務名義に記された債権者と債務者との間の債権が現存し、存在することを公に証明する文言です。

債務名義の末尾に添付されます。

ただし、仮執行宣言付支払督促は執行文が必要とされません。

執行文は執行証書を除き裁判所の書記官が付し、執行証書は公証人が付します。

書記官などはその時点で債務名義が取消されていないかといったことについて記録を見て確認し、執行文を付与しますので、その時点で債務名義に記載された債権の存在が公証されることになります。

送達証明書は債務名義が相手方に到達していることを証明するものです。

債務者の所有する財産であれば、法律上の制限がない限り、動産、不動産、債権の全てが執行の対象となります。

請求債権を超えて執行することはできませんが、その財産に対して強制執行の申立てをするかは、債権者の自由です。

強制執行の前に債務者から第三者に移転された財産に対しては、強制執行することはできません。

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担保権に基づく執行手続きの流れ・・・

担保権に基づく執行では、担保権の存在を証明する文書が必要です。

担保権の存在を証明する文書は限定されており、例えば、不動産競売等では担保権の登記がされている登記簿の謄本がこれにあたります。

執行手続きは、対象となる財産は担保権が設定されている財産となります。

担保権に基づく不動産執行においては、目的物を換価してしまう方法と不動産からあがる収益をもって弁済にあてる方法とがあります。

不動産からの収益を弁済にあてることを担保不動産収益執行といいます。

物上代位などの方法により賃料債権を差押えることができましたが、問題は、賃料を差押えると物件が荒廃してしまうことでした。

賃料を差押えられた所有者は物件を管理する意欲を失うからです。

担保不動産収益執行では、管理人が選任され、管理に当たりますので、このようなことを防止できます。

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